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劇場版・少年少女の戦極時代

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天下分け目の戦国MOVIE大合戦
  ダンス会場襲撃

 沢芽市のとある大ホールにて、一日限りの祭典が幕を上げた。

 スポットライトが点き、バックミュージックが流れ始める。それに合わせて踊るビートライダーズの中には、チーム鎧武やチームバロンなど、咲たちリトルスターマインと縁浅からぬチームもある。

 中央で踊れるのはランキングのベスト5まで。残念ながらそもそもランキング外のリトルスターマインは彼らと一緒に踊れない。
 ベスト5入りしなかったインヴィットの城乃内、レイドワイルドの初瀬も待ちぼうけだ。

「うおーっ、かっけー!」
「ステキ――」

 それでも咲たちは楽しんでいた。仲良しリトルスターマインだが、実はそれぞれにご贔屓チームが違う。例えばモン太はチームバロン、ナッツはPOPUP。それらが一堂に会して踊っているのだ。楽しくないはずがない。

 それに、咲の出番は、ダンスの後にこそ控えている。

 派手な音を上げて金銀の紙吹雪が飛んだ。ダンスが終わったのだ。


《ビートライダーズの諸君。ダンスで盛り上げてくれてありがとう!》

「……咲、出番」
「いってらー」
「がんばってね」
「さんきゅうっ」

 咲はぴょこんとステージに飛び出し、中央に集まった男たちの輪に飛び込んだ。

「おっ。よう、咲ちゃん」
「紘汰くん、いぇいっ」

 咲は紘汰と、続いて光実とハイタッチした。もっとも咲の身長差では、「ハイ」タッチというよりはただのタッチになったが。

《今日はビートライダーズによる、specialなゲームを生配信だ!》

 今回の大会のメインはこれ。アーマードライダーを擁するチーム同士によるバトルロイヤルだ。

 ルールは簡単。最後まで残っていた者が勝者となり、勝者のチームには大量のロックシードが贈呈される。

「今日は手かげんしないからね」
「うえっ。味方してくんねえのかよ」
「いーじゃん。せっかくゲームなんだから、たまにはちがうシチュをたのしみましょーよ」

 咲は唇に弧を描き、自分のロックシードにいたずらっぽくキスした。

「紘汰くんとミッチくんが敵って、とってもすてきなシチュエーションだと思うわ」
「――確かにな」

 紘汰もニヤリと笑い、ロックシードを構えた。

 開錠されるロックシード。オレンジ、ブドウ、バナナ、ドングリ、マツボックリ、ドラゴンフルーツ。

「変身」

 6人の声が重なった。それぞれのドライバーにセットされ、カットされた果実に対応する鎧が頭上に浮いた。
 果実は彼らの頭に落ち、彼らを鎧った。

 アーマードライダー鎧武、龍玄、バロン、グリドン、黒影、月花。トップランカーが擁するアーマードライダーがその場に勢ぞろいした。

 そして、バトルロイヤルは始まった。




 歓声の中、入り乱れる6人のライダーたち。一度でも刃を交えたかと思えば、次には別の相手が襲ってくる。
 その上、月花は大の男たちの中で唯一の幼女。小柄な体を活かして避けるのは簡単だが、室内であるここでは決定打になりうるDFボムが放てない。

 だというのに、仮面の下の咲の口元は、勝手に笑みを形作る。

(純粋な力と力のぶつかり合い。なんてすてきなゲーム)

 観客の興奮や声援を受けて、自分自身がヒートアップしていくのが分かった。オトナと戦うことを許された自分、渡り合っている自分に、胸の高鳴りが治まらない。

 一度、鎧武の大橙丸にDFバトンを叩きつけてから、下がった時だった。

 客席近くに、突如として裂け目が開いた。

『え!? な、なに!?』

 二足歩行で人間大のウツボカズラが裂け目から飛び出してきた。
 ウツボカズラの怪人は、月花たちに目もくれず、チーム鎧武――舞へと近寄っていく。

『運命ノ巫女!』

 ウツボカズラ怪人の手が舞に伸びようとする寸前、紫の光弾がウツボカズラ怪人の背中に着弾した。その間に鎧武が舞の下へ駆けつけ、大橙丸をウツボカズラ怪人に向けて構えた。

 龍玄も合流し、再びブドウ龍砲を撃った。ウツボカズラ怪人がよろけた先にはちょうどバロンがいて。

『戦いの邪魔をするモノは許さん!』

 バナスピアの強烈な一突きをウツボカズラ怪人に見舞った。

 すると、ウツボカズラ怪人が転がった先に、再び裂け目が開いた。ウツボカズラ怪人はその裂け目に入って逃げて行った。

『待て!!』

 鎧武が一番に追いかけ、裂け目に飛び込んだ。鎧武を追って龍玄が、さらにバロンが裂け目に飛び込んだ。
 月花も追いかけようとしたが、月花が突入するちょうど直前、裂け目が閉じた。

 残された月花は、唖然とその場に立ち尽くすしかなかった。 
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