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インフィニット・ストラトス ―蒼炎の大鴉―

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学園祭準備期間

全校集会で[各部対抗織斑一夏争奪戦]が発表されたw

なぜ織斑だけかって?楯無さんが勝手に俺と兼次を生徒会のメンバーってことにしたからだよ。

そして今日の放課後、特別HRでクラスの出し物を決めていた。

だが、こいつらまともな意見を出さない。

[織斑一夏のポッキーゲーム]
[黒鉄和也と王様ゲーム]
[坂上兼次とポーカー]
[男子3名によるホストクラブ]

じょ、冗談じゃ…

後ろを振り向くと、兼次が頭を抱えている。そうとう堪えているようだ。

「却下」

織斑が言うと、ブーイングの嵐となる。

「アホか!誰がうれしいんだ、こんなもの!」

と言う織斑の主張に対し

「私はうれしいわね。断言する」

「そうだそうだ。女子を喜ばせる義務を全うせよ」

「男子は共有財産である」

などという反論多数。もうどうしようもない。

「山田先生、ダメですよね?こういうおかしな企画は」

「え!?私に振るんですか!?」

仕事しろ山田先生

「え、えーと…うーん、わ、私はポッキーなんかいいと思いますよ…?」

じょ、冗談じゃ…

「とにかく、もっと普通の意見をだな」

「メイド喫茶はどうだ?」

そう言ったのはボーデヴィッヒだった。

じょ、冗談じゃ…

その後、ボーデヴィッヒによる講義があり、なんだかんだで俺たち男子は執事をやらされることになった。

それなら厨房をやりたかったな…。俺ってこう見えてファミレスで料理出せるくらいにはできるんだぜ…

HRが終わり、織斑が職員室に報告へ向かった。俺は兼次と帰ろうと教室を出たところで楯無さんに捕まり、生徒会室に連れていかれた。

「ねぇ~和也くん。副会長になってくれる気にはなった?」

「まだ諦めてなかったのか…」

「だって和也くんって強いじゃない」

「だったら兼次でいいだろ。あいつ、俺と互角だし」

「俺!?」

「お前強いじゃん」

「いや…でも俺さ、お前ほど賢くないし」

「やっぱりここは和也くんがなるべきよ。それに福音の時、私も捜索を手伝ったのよ」

「見つけたのはウチの社員だし」

「む~う」

膨れっ面になる楯無さん

「大体、あのときの一騎討ちで俺が勝ったんだからこの話はなしってことになっただろ」

「う゛」

「そういうわけで、諦めてね」

「…生徒会長権限」

「あ゛?」

「できれば使いたくなかったけど、生徒会長の権限を使えば強制的にあなたを副会長にできるわ」

「あ゛ぁ?やってみろよぉ!」

といいつつも内心「じょ、冗談じゃ…」だった

「それはさておき、兼次くん、私と手合わせしてみない?君の実力が気になるの」

話題の対象が兼次に移る。

「いいですけど…」

あまり乗り気ではないみたいだな。

「それじゃあ明日の放課後、第二アリーナに来てね」

「あ、はい」

流されたな、兼次…

その後、のほほんさんと虚さんが生徒会室に来て、お茶を出してくれた。結構うまかった。

寮に戻ると、既に簪は戻っていた。

そんな簪に、話題をきり出す。

「簪、楯無さんと仲直りする気はないか…?」

「…え…!?」

「お前が楯無さんに対してコンプレックスを持ってるのはわかるが、いつまでもこうしているわけにはいかんだろう。楯無さんも、お前のこと心配してたぜ」

「…知ってたんだ…」

「大体予想はついてたんだよ。お前が楯無さんのことを話題に挙げたがらないこととかさ」

「…うん…」

「俺としてもさ、やっぱ家族は仲良くするべきだと思うんだよね。俺さ、母さんと喧嘩別れしてな、そのことを凄く後悔してるんだ。あのとき謝っておけばってね。だからお前には同じ思いをして欲しくないんだよ」

「………」

「不安なのもわかる。でも楯無さんは本気で簪のことを心配してるんだ。その気持ちは、汲んでやってもいいんじゃないか?」

「…そのときに…和也くんは一緒にいてくれる…?」

「俺でよければ喜んで」

「…ありがとう…」

「明日、楯無さんに会う予定があるからさ、一緒に来ないか?」

「…なんで…?」

「明日、楯無さんと兼次が試合するんだよ。俺は兼次の付き添い」

「…わかった…。…付いてく…」

「よし。それじゃあ、明日の放課後に第二アリーナだ」

「うん…」

俺もうまくやらないとな。

――――――――――――――――――――

次の日、朝早く登校した俺は兼次が来ると、楯無さんのIS[ミステリアス・レイディ]の性質、楯無さんの戦術を兼次に一通り教えた。

授業が全て終わり、俺と兼次、簪は第二アリーナに行った。

まだ楯無さんは来ていない。

「なあ簪」

「何…?」

「お前のことはサプライズにしたいから、試合が終わるまで隠れといて」

「…いいよ…」

簪は適当なスペースに隠れる。

3分後、楯無さんがISスーツに着替えた姿で来た。

「遅かったじゃないか…。言葉は不要か」

「お前ほんとAC好きだな」

「始めましょうか、兼次くん」

兼次と楯無さんがISを纏い、ピットを出る。

兼次はHWSを装着している。

ヴーーー

ブザーが鳴り、両者が動く。

兼次は開幕早々、垂直に上昇し、ハイパーメガライフルで上から攻撃する。3次元戦闘で相手の上をとるのは有効な戦術の1つだ。

弾速の速いビームは水のバリアを貫通し、楯無さんに直撃する。

さらにスラスターを巧みに使い、動きながら狙撃していく。

無論、簡単にやられる楯無さんではなく、躱しながらガトリングガンで迎撃していく。

射撃では仕留められないと判断した兼次はライフルを格納し、ハイパーメガシールドをバックパックに装着、ファンネルラックからビームサーベルを取り出し青いビーム刃を発振、スラスターを最大で噴射しながら接近する。

ガトリングガンの弾幕を左腕のシールドで跳弾させ、格闘戦の間合いに入った。

2本のビームサーベルでランスを熔断し、さらに右腕ガトリングガンと左腕予備ビームサーベル、隠し腕に保持したビームサーベルからビーム刃を発振、6本のビームサーベルで斬撃を浴びせていく。

直撃は避けられつつも、膨大な熱はスリップダメージのようにシールドエネルギーを削っていく。

そして、兼次の周りに、霧が形成されていく。クリア・パッションの予兆だ。

兼次は即座にファンネルを5基、自身の周りに展開し、ファンネルバリアを形成、その0.1秒後に蒸発による爆発が兼次を包む。

楯無さんは勝ちを確信していたみたいだ。

しかし、現れたのは無傷の兼次、一瞬の隙を突いたビームサーベルの連撃は、ミステリアス・レイディのシールドエネルギーを0にした。

やはり、流石は兼次。余裕で勝つか。

「簪、そろそろ出てこい」

「…あ、うん…」

一緒に、楯無さんのピットに向かった。

ゆっくりと楯無さんがピットに戻ってきた。

「え…簪ちゃん!?」

「…お姉ちゃん…」

「ほら、簪」

「私…自分のIS、作れたよ。和也くんに手伝ってもらえて」

「…………」

「これで、お姉ちゃんに近づけたよね…?」

「簪ちゃん」

楯無さんが簪に抱きつき、しっかりと抱き締める。

「今までごめんね。簪ちゃんの気持ちも考えないで…」

「いいの。私も…ごめんなさい…。今まで…」

「いいのよ。あなたは私の大切な妹よ。私の自慢の…」

「お姉ちゃん…お姉ちゃぁん……」

簪が泣き出す。今までの我慢が溶けた結果だろう。

俺はその様子を、保護者のような目で見ていた。 
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