魔法科高校~黒衣の人間主神~
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九校戦編〈上〉
吉田幹比古登場
次の日の体育だった、魔法科高校にも魔法以外の一般科目である体育もある。試合形式の授業に俺以下の少年達が必要以上の熱い闘志を燃やしたりしていた。俺?俺は外見は少年だけど中身は大人だ、だから少年ではなく青年の方が捉え方としては可笑しくも何ともない。今日の授業はレッグボール、フットサルから派生した競技で、無数の小さな穴が開いた透明の箱でフィールドすっぽり覆ったフットサル。選手は頭部保護のヘッドギアを着け、ヘディングはハンドと同じ扱いで禁止のようだ。この競技形態は、2080年代以降のスポーツトレンドの特徴の一つらしい。魔法を併用した競技として行われている事もあるが、通常は魔法を使わないルールを採用されていて今回はそのルールでやっている。百年前のルールと同じだなと思っても今では魔法があるので、不思議と思ってるのはフィールド外にいる蒼太と俺くらいだろうとな。
レッグボールは反発力を極端に高めた軽量ボールを使用していて、フィールドを囲む壁と天井で跳ね返る効果を持つらしいがホントに跳ね返るようだった。上下左右からピンボールのような目まぐるしさで跳ね返るボールを追いかけ、相手ゴールに蹴り込むという速度と力を持たせた球技であるが百年前のサッカーと似ているなーと思った。あとは見た目が派手なので観戦するスポーツとしても人気が高い。今でも休憩中の1-Eと1-Fの女子生徒が、自分たちの授業そっちのけで声援を送っていた。
「オラオラ、どきやがれ!」
こぼれ球にレオが突進する。レッグボールは使用されるボールの反発力が極端に高いからなのか、ドリブルが異常に難しいからなのかほとんど使われない。五人のフィールドプレーヤーの間で、壁や天井を利用してパスを繋いでから相手ゴールにシュートを放つのが一般的な戦術でこぼれ球を拾う運動量は勝敗を大きく左右される。
「一真!」
縦横無尽に走り回るレオが、シュートの勢いで中盤の俺にパスを送る。胸や腹でトラップしよう者ならノックダウンを喰らいそうなパスを、俺は真上に蹴りあげる事でその勢いを殺し、天井から跳ね返ってきたところを踏みつけて押さえる。精密なボール捌きで、側面の壁に向けて撃つ時に言った。
「吉田!」
その少年の名を言いながら蹴り込むと、俺のパスを後ろに逸らす事なくワントラップで処理してからそのまま相手ゴールにシュートした。ゴールを告げる電子ブザーが鳴り響き、見物の女子生徒から歓声が上がる。
「やるな、あいつ」
「ああ。読みがいいし、見かけより身体が動く」
レオが俺と並ぶと素直な賞賛をしたのだった。予想以上の身体能力に俺と蒼太は意外だと思わせた。体育の授業はこれが初ではないが、相手の能力を把握して今のパスも処理できる範囲内と判断した力加減で蹴ったら俺らが思っている以上だった、彼、吉田幹比古の動きには余裕があった。25名のクラスメイトだからか、誰でも互いの名前くらいは知っている。そして俺らは名前以上の情報も知っていた、吉田幹比古は古式魔法の名門で吉田家の直系。吉田家は「精霊魔法」に分類される系統外魔法に伝承する古い家系で、伝統的な修行方法を受け継いでいると聞いている。
精霊魔法という事は俺で言うなら、炎・風・地・水の精霊を使って魔法を使うという考えである。まあ俺は精霊が見えるというより、各精霊で情報探査する時もあれば攻撃に使う時もある。俺もだが彼も爪を隠した鷹だと言う事も、俺は規格外な魔法の名を語る超能力者兼創造神だがアイツの魔法は古式魔法だから魔法師の一員のはず。そういう事を考えていると飛んできたボールを回し蹴りでゴールを決めたのだった。試合は俺とレオと吉田の三人の活躍で圧勝した、見学ゾーンに戻った俺を待っていた蒼太は飲み物とタオルを渡してくる。ついでにレオにも飲み物だけを渡した。
「さすが護衛の蒼太さんだ、気が利くねぇー」
「私は一真様の護衛ですので、一真様の友人にも渡すように気配りをするようにと」
俺とレオは飲み物を飲みながら、俺らと少し離れた位置に腰を下ろした吉田幹比古の近くに移動した。
「ナイスプレーだった、吉田」
声をかける俺の呼吸は試合後でも、既に落ち着いていた。代わりにレオは突進力で走り回ったのか、蒼太が飲み物渡すまで息が上がっていたがもう大丈夫のように呼吸を整えていた。
「そっちもね、にしても試合後でも息が乱れないのはさすがと言いたいよ」
応える吉田も息は既に乱れはないが、俺が試合後でも息が上がってない事に賞賛を言うのだった。まあ俺と蒼太ならこれぐらいの運動量で息は上がらないだろうな、毎日の鍛錬の賜物だと言いたいね。俺はクラス全員と同じように交友関係を築けている訳ではない、護衛付きと蒼い翼という肩書を持つ生徒なのか余所余所しい態度で接する時もあるが1-Eで普通に会話する相手は今の所レオ、エリカ、美月くらいだ。吉田も愛想は悪くクラスの中で孤独感を出しているのか、それとも入学直後のオリエンテーションで一人だけ退室したくらいだ。俺より交友関係が広いレオでも挨拶程度の間柄だった。
「やるじゃねえか、吉田。こう言っちゃ何だが、予想外だぜ」
レオは今の吉田の活躍を見て何やら思う所があったらしい、俺を誘って声をかけたのは俺だがそうしようと言ったのはレオの方である。
「幹比古」
だが幹比古は、レオの開けっ広げた態度で感化されたようで、孤独感を出さずに言ったのだった。
「苗字で呼ばれるのは好きじゃない。僕の事は名前で呼んでくれ」
これまでにない打ち解けた感な態度で応対してくれた幹比古。
「おう。じゃあ、俺の事はレオって呼んでくれ」
「レオに便乗するが、俺の事も一真でいい。が、蒼太にはさん付けな?俺の護衛だからな」
入学から三ヶ月が経過している今の時期に交わす会話としては、いくら百年前のようなクラス単位の活動が少なくなったからと言ってこの場はおかしくはない。幹比古はクラスメイトの人間に対し、声をかけないでほしいと言わせているような壁があったからか。それともスポーツで汗を流した後の爽快感で今だけ気まぐれなのかもしれないが、これはこれで壁をぶっ壊したというきっかけになると思われる。
「オーケー、一真と蒼太さん。実を言うと僕は、前から君達と話をしてみたいと思っていたんだ。護衛付きだからってのもあるかもしれないけど、こうして話せるのもある意味できっかけが作れたと思えるから」
俺の言葉でフレンドリーな会話となり、俺と蒼太に簡単な自己紹介をする。対人対象というのは、最初の印象と一つの一言でそれまでの印象が大きく変わる。例えば俺は護衛持ちで入学式前から異様な空気を漂わせていたかもしれないが、話してみるとそれがなかったかのように空気を打ち解けている感じであった。俺らの幹比古の印象は人嫌いから人見知りと変更されたように。
「奇遇だな、俺もだ。二科生とはいえ、理論だけでトップ3に俺と幹比古が入るんだからな。いつ話そうかタイミングを待っていた、ま、それをレオが進めてくれたお陰かもしれん」
「褒められているのか、よく分からないぜ。でもまあ一真の場合はしょうがないと俺は思うぜ、護衛付きにバックには蒼い翼だしな」
「僕もタイミングを計っていたんだから、レオには感謝しているよ。護衛が目を光らせているからね、それにレオにも話をしたいと思ったからさ」
護衛付きと言うキーワードでは二人とも同意していたレオと幹比古、まあ護衛の目を光らせているから俺と仲良くなりたいと思っても護衛の目があるのかあまり会話が出来ないようだった。なので、蒼太に脳量子波で今度からもう少し目を光らせるレベル下げろと注意をした。蒼太も理解してたのか今度からそうしますとは言ってたが、そう簡単にはいかないだろう。
「何と言っても、あのエリカにあれだけ根気よく付き合える人間は珍しいからね」
「・・・・何か釈然としねえなぁ」
「あれだけコントして付き合えるんだから、他人から見てもそう見えるさ」
コントというのはエリカとレオの喧嘩風景なのだが、ワンセットで俺らといるか不思議でしょうがない者もいたりする。コントではなく、買い言葉に売り言葉でやっている風に見えるからなのか仲が良いと見えるような感じだと蒼太は言っていた。いつも後ろの壁にいるからなのか。
「幹比古、エリカとは以前から知り合いなのか?」
深い意味で言った訳ではないが、幹比古側からしたらしまった!という顔をしているがもう遅い。俺は話題を変えようとしたら本人が来たから、話題を変えるを止めたけど
な。
「まあね。所謂、幼馴染ってヤツ?」
「エリカちゃん、何で疑問形なの?」
「知り合ったのが十歳だからね。幼馴染って呼べるかどうかは、微妙なトコだと思うのよ。それにここ半年くらい、学校外では全く顔を合わせてなかったし。教室じゃずっと避けられてたしね、ま、その原因は護衛持ちの一真君が近くにいるからかもしれないけど」
会話に乱入してきたエリカは、そのまま俺達を放置して美月の質問に答える。その原因の一つが俺というのは納得がいく、護衛持ちに強い権限持ちの人間がいたら友達として話し合うレオ達と違って挨拶程度の方だとエリカが俺のとこにいたら話しかけるのに勇気がいると俺は思うのだった。それにいきなり話題振ってきたのですぐに返す力もあるからか、マイペースなエリカに合せているという感じでもある。
「一真君や蒼太さんはどう思う?」
「「幼馴染だと言える関係だと思うよ/幼馴染だと言える関係だと思われますね」」
同音口調で言った俺と蒼太だったが、少しだけ違う事であった。俺は友達としての会話を蒼太は護衛という事で年下の少女にも敬語を使う事だけだ。レオと幹比古が無言になる理由はエリカの格好であった。女子体操服だが、百年前と現代ではかなり違う。俺と蒼太は見慣れたモノでむしろ懐かしいなーと思った。西暦2095年現在におけるドレスコードは、公式の場に置いて肌を露出しない事を良しとしている。学校もまた公式の場として、夏冬関係なく上着着用が義務付けられている。百年前はクール・ビズと言って、夏期に環境省が中心となって行われる環境対策などを目的とした衣服の軽装化キャンペーンである。学生も仕事をしている者もスーツは上着無しノーネクタイで半袖シャツを着ているし、学生も同じく上着は無しでポロシャツか半袖シャツを着ていたが。
それは死語のように今の学生は上着を着てるし、女子生徒はスカートの下に肌の透けてないタイツか足首まで隠すレギンス着用が義務付けられているからなのか、俺や蒼太的には女子生徒のスカートが長いなという事を互いに話しては百年前の姿をしていたファッションをデータ化して纏めていたのを見ている時がある。このルールは何も体操着まで適用される事はない、運動系クラブのユニフォームは普通に手足を露出していてもそれが咎められる事はないし体育の授業中もこのドレスコードは通用されない。現に俺達男子も膝上丈のトランクスを穿いているし、美月も腿の半分を隠すスパッツ姿で2000年以降は女子生徒は男子生徒と同じズボンを穿いていた事を俺と蒼太は覚えている。あの時から生産は打ち切られていたが犯罪に使われたから、そうなったと言いたい。なのでエリカを見た時は、脚の付け根から、真夏の暑気に曝されている。パッと見半袖シャツの裾丈が中途半端なのか、下着しか着用していないかのように見えてしまうがこれはこれで懐かしさを感じた。引き締まっていながら少しも筋張ったところがない太もも、素肌を彩る僅かな日焼けがかえって元々の色白さを強調しているかのようだ。
「エリカ、何て格好をしているんだ!」
ようやく再起動した幹比古の声が裏返ったのも、まあ無理は無いと思われる。学校以外の場所で女性の素足を見る機会何てないのだから、まあ俺の妹兼娘も外だと素足を出さないが家の中だと素足を出したりニーソを穿いたりしてからのスカートだったりと、俺の好みを理解している深雪である。たまに深夜と一緒に家の中でファッションショーをやる事もあるが、主に現代ではないドレスコードの時にあった服を出してみたりと。あとはたまに俺と深雪の擬態解除してから家族での買い物で素足を出した服装をして行くからな。その時は結衣や沙紀もちゃっかりと便乗している。話が脱線したが、女子の素足を見る機会がないからか男子生徒は顔を赤くしたり見ない素振りをしているけど俺と蒼太は見られても文句はないから別に赤くならない。大人はいいとして少年から平常心を奪う「艶」が出ているからかもしれない。
「何って、伝統的な女子用体操服だけど?」
幹比古がどんな精神状態かは見て分かるが、エリカはまるで気にしてないかのようにそこを一切触れてないのでキョトンとした表情で首を傾げていた。幼馴染でからかう為にこういう格好でない事ぐらい俺達は分かっている。
『まあ確かに1990年代の時は女子体操服では普通でしたもんね』
『まあな、だが2000年代にそれで犯罪が起こったから生産中止となり男女共通の体操服となった。ブルマーをここで見るとは思わなかったが、俺らは動揺しないもんな?』
『そうですね、我々は元々その時代からスタートしたとはいえ、拠点の時代風景は普通にありました。あとはスク水も2000年代で絶滅しましたね』
『そういえばあったな、拠点にいたアーシアと白音が着ていたから懐かしく感じてしまう』
と俺達はそれぞれの感想を言ったのだった。俺達は見慣れているが、彼らからしてみれば破廉恥なモノだと見ているのかもしれない。リアクションから見てな。
「伝統!?」
幹比古本人はからかわれたと思っているらしく、ますます顔を赤く染める幹比古であった。ここで助け舟を出すかと思い俺が会話に割って入ったのだった。
「その服装は随分前にあったブルマーじゃねえか」
「一真は知っているのか?」
「ああ、現代よりも百年前にあった体操服の事だ。2000年代になったら絶滅危惧種と言われてたのを思い出したんだ」
「一真君はよく分かっているじゃない、まあ現代の男子には露出度高いと言われるけど一真君と蒼太さんは顔を赤くはしないんだー」
「それはそうだ、蒼い翼は百年前からあった会社だ。一世紀前にあった体操着だが、とある犯罪があったので廃止となったのさ。で、現代の女子体操服は美月が着ているような感じになったのさ」
「ブルマーって使われた犯罪ってアレの事か?」
レオがようやく再起動を果たしたがいらん事を言ったので、エリカが顔を真っ赤に染まったのだった。
「昔のモラル崩壊時代に、女子中学生が小遣い稼ぎに中年親父へ売ったっていう・・・・・」
フリーズしたままの方がよかったかもしれなかったが、もう遅かった。
「口を塞げ!レオ!『黙れバカっ!』あーあー、遅かったか」
顔を真っ赤に染め上がったエリカだったので、口を閉ざそうと注意したと瞬間にエリカの怒鳴り声と共に片膝を立てて座っていたレオの向こう脛を思い切り蹴飛ばしたのだった。脛を押さえて悶絶するレオと肩足でピョンピョン跳ね回るエリカだったが、今回は言葉と手足の暴力はドローなのか痛み分けなのかは分からんが終わったのだった。
そんで俺らがやった試合と比べれば今度の試合は接戦であった、先ほどから交互に点が入っている。両チームの技術が高校生らしいレベルなのか、先ほど俺達がやってた時より女子生徒のギャラリーもほとんどいなくなっていた。まあ女子生徒側も授業があるからか、サボってられないだろうね。体育の授業は他の学科や魔法実技と違い、トレーナー資格を持つ職員が見ているけど、その職員は俺らにとっては顔馴染みの奴だった。魔法とトレーニングを指導できるの稀少性の差ではあるが、俺らの知っている職員は両方とも資格を持っていて俺らのスパイでもある。四月の時にあったような事は一切ないように、蒼い翼から派遣されて来た者でここのOBでもあるからなのか学内をよく知っている人物だ。無論記憶共有者だから、何かあったり会話する時は言葉ではなく脳量子波でやっている。
『今は私の紹介ですかな?織斑少将』
『一応な、それとその呼称はやめろといつも言っているだろうに』
『おっと失礼しました、私は教える立場でありますがいつもは教えられる側ですので』
『余計な詮索はすんなよ?』
とそういう会話をしながらだったが、まだここに女子生徒がいたが教師は注意する事なく俺が見ているのが条件である。
「全く、一真君が遠回しに言ったのに台無しになったわね!アンタの頭の中にはそういう知識しか詰まっていない訳?」
「うっせえな。オレが読んだ本にはそう書いてあったんだよ」
男子の見学ゾーンには残っている女子はエリカと美月だけだった。先程ので、本気で軽蔑の眼差しを向けるエリカに対して今回ばかりは分が悪いと思ったのか、答えるレオはやや投げやりな口調である。その本ってもしかしてあれか?蒼い翼関連の出版社が出した過去にあった事件を紹介と共に歴史と一緒のアレかな?そう考えながら俺は空間からある本を取り出すが、その本は別に十八禁とかではないから誰でも買える本だ。ただ百年前の歴史と共に過去にあった事件を本にしてるので、沖縄海戦の時や大漢崩壊の時はソレスタルビーイングが活躍した時も載っているけど詳細な事は書かれてないし俺が確認させてから売り出した本だ。
「レオの読んだ本はもしかしてこれか?」
「それだよそれそれ!ってなんで一真が持っているんだ?」
「何々・・・・『百年前からの歴史と事件簿』って全十巻ある分厚い本じゃない!何でこれを持っているのよ、一真君は?」
「阿呆、俺は蒼い翼とは関係する者だ。知っているに決まっているさ、それよりエリカのブルマーは何とかした方がいいぞ?幹比古も他の男子もそういう視線していたからな。普通のスパッツにした方が身のためだと俺は思うぞ」
そう言いながら本を空間にしまう俺は、その作業を見ながら美月も俺の意見に賛成でエリカに言っていた。俺の空間に物を入れるのはマジックしか見えないとも言われるが、俺の知り合いであるアイツとかが進言しているから問題ない。それでも空間から物を取り出す事を禁じようとした教師がいると、校長先生からのお呼び出しを喰らったので今後一切俺に注意をしなくなった教師一同。俺に物言いする=校長先生によるO・HA・NA・SIがあるので、教師達では暗黙のルールとなった。無論定期試験後に呼び出しをした教師も喰らったようだ。
「そうだねぇ・・・・思ったほど動きやすくもなかったし。むしろ、ちょっと締め付けられているような感じがするし、男子の視線を感じるしねぇ~」
「だいたいそれは一世紀前に生産中止となったもんだぞ?一体どこにあったんだそれ」
「う~んとね、タンスの奥から発掘した時は、未使用だったしサイズもジャストだったし良いと思ったんだけどな。一真君と美月の言う通り、スパッツに戻すか」
タンスの奥にあったという事は、曾々祖母さんのじゃないのか?エリカの家系で長男は現在26歳だったか、2070年生まれだからその前となるとやっぱ曾々祖母ぐらいの計算になるな。まあ俺も蒼太も年齢は停まっているので、ブルマーがなかった時代からスタートとされているんだっけな。でまあ俺らはエリカが呼ぶミキと呼ぶのをスルーしていたが確か苗字で呼ばれるのが嫌がるはずなんだがシーンはここだった気がする。そんでそこにいる同業者である体育教師がこちらを見て渋い顔していたから、エリカ達に知らせたらとっとと駆け出す二人であった。
『申し訳ありませんねー、わざわざ織斑少将から注意してくれるだなんて』
『本来なら幹比古に関してのがあった気がするが、そのシーンごと無くしたからな。あとその呼称はやめろと何度言えば分かる』
そう言った後渋い顔していたヤツは、冷や汗をかいていたけど。渋い顔をしていたのは、エリカ達に対する事ではなく俺がエリカ達に言った事に関してだった。そいつは俺の呼称を何度も言い間違える。今の俺は国連軍第00独立特殊機動部隊ブラック・シャークの大隊長兼司令官していた頃の織斑少将ではないと何度も言い直したけど、言葉では直っていても脳量子波では直していなかった。
「それにしても一真は落ち着いていられるんだね」
「何の事だ?」
「何って、エリカの格好を見ても全然動じていないからさ」
「ああその事か、動じる訳ないだろうに。俺には可愛い妹がいるし護衛の沙紀もいるが、外だと現代のドレスコード向きの服装だが家内だと露出度が多い服装を着る時があるからな。俺の母親とその護衛者もだけどな」
ブルマーは地味に動揺しないクラスだし、水着やレオタードよりかは大人しい方だ。それに俺の妹兼娘である深雪と家内だと妻だが外だと母親である深夜に護衛役の穂波さん、それと運転手役の結衣に深雪の護衛者の沙紀。桜花は月中基地支部にいて、IS訓練をするがたまに出撃の時はこっちに来させている。
「ああ・・・・確かに。深雪さんだっけ?入学式で彼女と後ろにいる護衛さんを見た時は、見とれるよりビックリしたよ。あんな綺麗な女の子が実在するなんて思わなかった」
「兄貴としてはどうなのさ?一真」
「それはそれで意見の一つとして受け取っておく、彼女にするなら是非と言いたいほどだな。でもまあ俺と深雪のブラコン度合は物凄いと小耳に挟んだぐらいだ」
そう言いながら幹比古は俺とレオを見比べた。身体は一回りレオの方が大きいし、手足の太さも見合うものだ、さっき一緒にプレーした感触では、敏捷性もそれほど差はないように見える。噂では一真は、蒼い翼から送られた諜報員じゃないかと噂が絶えないほどの強さを持っている。今はないが、入学当初は一真の目の前でウィードという差別用語を言い放つと逮捕されるという事が山ほどあったという。今では常習犯や未遂犯を捕まえるほどの地獄耳を持っているのと、高名な忍術使いかエレメンツ使いとも言われている。一真は魔法とはいえない力を持ち、体術や剣術では上の者はいないとも言われている。幹比古は一年前は神童とも言われる吉田家期待の星だったが、ある事故により失ってしまった「力」の差を埋めるために勉学や武術に真剣に取り組んだと言う。
「幹比古?どうしたんだよ、考え込んだと思ったら今度は戦闘態勢か?」
「あ、いや、・・・・・ゴメン、何でもない」
幹比古としては、決まり悪い思いで謝りながらも、友好的な雰囲気は何とかなった。俺や蒼太にここにいる体育教師は、俺の事で考えているに違いないと俺がそう言うと蒼太も体育教師も静かに頷いたけどな。そんで体育が終わった後は、微妙な空気になりながら着替えに行ったのだった。俺?俺はもちろん量子変換機で体操着から制服になる事は歩きながらだったから、誰も見ていない。
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