美しき異形達
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第二十七話 光の力その九
「別にね」
「俺を倒すからか」
「そうよ、私が苦しむことはないわ」
この闘いにおいて、というのだ。
「全くね」
「そう言うか、ではそうしてもらうぜ」
「いいわ、是非ね」
鈴蘭はこう返してだ、そのうえで。
今度は仕掛けなかった、中段の構えで怪人を見据えていた。そのうえで間合いを取っていた。その鈴蘭を見てだった。
怪人も動きを止めた、両者は互いに睨み合いに入った。薊はそれを見てまた黒蘭に対して問うたのだった。
「こうした場合はあれだよな」
「ええ、先に動いた方がね」
まさにとだ、黒蘭も答えた。
「負けるわ」
「動くその瞬間が一番隙が出来るからな」
「そうよ。ただね」
「ああ、隙はな」
「作ってはいけないわ」
このことも言う黒蘭だった。
「そもそもね」
「そうだよな、けれどな」
薊は黒蘭の言いたいことをすぐに察した、そして言うのだった。
「それはな」
「ええ、作ってはいけないものはね」
「作ることもな」
「勝負のうちよ」
それもだというのだ。
「それは薊さんもわかっているわね」
「ああ、そうしたこともしてきたからな」
だからわかっているとだ、薊も返事を返した。
「まあ駆け引きの一つだな」
「そういうことよ、ただそれはね」
「相手もだよな」
「ええ、わかっているわ」
怪人の方もというのだ。
「相手もね」
「こっちがわかっていることはな
「相手もわかっているわ」
「勝負ってのはそうしたものだからな」
「そうなるわ、どちらが仕掛けるか」
「そうした勝負になってきたか」
「そう思うわ。ただ」
「ただ?」
「動かない、最初からね」
こうも言った黒蘭だった。
「そうした方法もあるわ」
「動かない、かよ」
「見ていればわかるわ」
それが、というのだ。
「姉さんをね」
「そうか、それじゃあな」
薊も黒蘭の言葉に頷いた、そうして。
二人で闘いを見守った、両者は動かない。しかし。
鈴蘭の目が光った、そのうえでだった。
持っている刀の刀身が光り、そこからだった。
鈴蘭は動かなかった、だがその刃にだった。
空から雷が落ちた、その雷が動かない刃からだった。
雷が地面に落ちた、そうしてだった。
その雷が地面から荒れ狂う様に出て来た、それも一つではなく。
無数になってそうして地面から蛇の様に動いてだった、怪人を襲った。その雷達を見て。
怪人は己に襲い掛かって来るそれから跳んでかわした、これは防御本能によるものだったが確かに動いた。
そしてそこにだ、鈴蘭は。
刀を一閃させた、思い切り突きを入れた。その突きからもだった。
雷が出た、今度は一直線に矢となった。そしてその雷がだった。
跳んだ怪人の腹を直撃した、跳んだ瞬間で一瞬だが無防備になっていたがその腹にだった。雷が貫いたのだ。
それが致命傷になった、怪人は何とか着地したがその背中にだった。北斗七星の符号が白く出たのだった。
その符号を見てだ、鈴蘭は言った。
「勝負あったわね」
「やられたな、おい」
「こうした攻撃が出来るとは思っていなかったでしょ」
「ああ、動くと思っていたさ」
攻撃をするのなら、というのだ。
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