戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~
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二十四章
神との約束×各勢力の仕切り
皆が皆、口々にそう言ってくれるが一人だけ、別の事を考えていたのだった。
「・・・・皆様は本当にそれが日の本のためになると?」
葵だった、まあこのあとの事を知った我に関してもだったけど。日の本のためならばと、冷静な口調で疑問を言ったのだった。
「鬼を駆逐し、日の本の民草を守るため、武士である我らが力を合わせる。それがこの連合の主旨。しかし鬼と戦えば、我ら武士だけではなく、農民を主とする足軽たちにも大きな犠牲が出るでしょう。被害を最小限に抑えるために、敵の目的のものを目の前にぶら下げるというのも、武略として至極当然の事ではないのでしょうか?皆様。務めて冷静に。・・・・本義をお忘れ無きよう、切にお願い申し上げます」
トレミー内部であるこの大部屋にて盛り上がりを水に差す行為は、我だけでなく我の仲間たちも怒りを覚えていたのだった。
「確かに我を差し出せば、その大戦も犠牲はないと仰ること。それについては良く分かる、だがな鬼を倒さなければその先の未来が左右するぐらいは分かってんだろ?」
「それはそうですが、何か策があるとお考えなのでしょうか?」
「(葵様のためにも一真様には消えてもらいたいですな)『おい!聞こえてんぞ、女狐。お前はどうやら死にたいようだな』ひいっ!!!!!!」
葵に策があるかと聞かれたあとに、悠季の心の声を聞こえたので我は、また瞬間移動をしての真剣を抜いて頸に当てているところだった。それについては桃香たちも久遠たちも気付かないくらいのスピードだったために、声が出た悠季で剣の刃が首筋に当たっていたのだった。それも少し血が出ていたけど。
「貴様、先ほどと言い今と言い、ちょっと我をバカにしているんじゃねえだろうな?」
「(フルフルフル)」
「一真様!悠季の事に関しましては、後程謝罪と共に申しに参りますので、悠季の処分はどうかおやめ下さると助かります」
「・・・・・・。良かろう、仏は三度までと言うが神は一度のみだ。そこんとこを理解してから申せ、女狐。我がやらなかったら今頃ここは血の海と化しているんでな、命拾いしたと思え」
何か無意識だったけど、名言が出ました的な空気と化したがまあいい。そしてまた瞬間移動で我の席に戻った事にまた驚く久遠たちだった。桃香たちは我の瞬間移動の仕組みを知ったようだった。まあ瞬間移動=クロックアップだからな。これは神の力じゃなくて身体的技能だ、まあここにいる嫁達でも出来ないことだけど。こういうのは人間の領域を越えたのみ出来る技だ。
「それでどのような策があると?」
「策と言っても、これは策ではなく我ら奥方衆がお前らの兵士たちの前に立って戦うことだ。俺の嫁達は、一言でいえば最強だ。世界最強な、そこの戦国最強と名乗る予定の綾那ではなく正真正銘の最強だ。まあ後は手がある、が、まだこの場では言えない。これについては光璃が何かしら考えていることだ。そうだな?光璃」
「・・・・(コクッ)今はまだ秘密だけど、時がくれば自然と分かること」
「・・・・・・分かりました。ならば大戦のときにお約束していただきますか、最後の大戦では最小限の犠牲で勝つということを。あとは貴方様の考えている後々名乗るはずだった徳川について、お教えできますでしょうか?」
そう言った葵だったが、久遠たちは絶賛ザワザワ中だ。そりゃそうだ、金ヶ崎ではあんなに犠牲が多かったのに今度の戦では最小限の犠牲で勝利できるかという約束事を我に言ったからだった。あとは松平から徳川になる予定だったのに、それについて教えろという要求付きだったけど。吉音と詠美は字は違うけど、徳川幕府ではないが徳河財閥宗家継承者だ。徳河財閥を俺らで言うなら、大企業蒼い翼のようなもんだ。
「まあいいだろう。今度の戦では、我らの奥方衆が主に前に出ての最小限の犠牲で勝利するという事をここに宣言する。今言った事を録音させたので、口頭での約束ではなく誓約書での約束事にしよう。愛紗たち、次の戦は手本を見せろ。負ける事は断じて許さん!」
『御意!/応!/了解!』
人それぞれだったが、葵との約束をしたので引き下がったのだった。
「連合の皆様と一真様の奥方衆の意志を了承した意味でご理解できました。皆様が本義を忘れないのであれば、この松平次郎三郎元康、身命を賭して、この日の本のために鬼と戦いましょう。それとそのお約束、必ず果たすという事を信じた意味でのご了承と共に悠季への数々のご無礼をお許し願いたい」
「神に二言はない。期待はしておく」
「二言はないということを、理解した上でお任せください」
我と葵の言葉にしーん、となったがこれでいい。答えた上で、神に二言はないというのでこの話はとりあえず終わった感じであった。まあこの後は、ドウターについてだけどまだ早いと思った我であった。松平葵、いや後々の徳川家康となる人物は、久遠達が考えている未来ではないと改めて知った。
「さぁて。鬼がどんな奴かって、復習が出来た所で、これからのことなんだけど」
沈んだ空気を嫌った美空は、場の空気を変えるように話題を転換したのだった。けど復習はこれからなんだけどなーと思ったのだった。光璃も昨日の打ち合わせの時点では、ドウターについても話すとは言ってあるが、どこでドウターの話題については我から話すことにしたのだったけど。
「創造神様のご意見をお聞かせ願いたい」
「そこんところは、光璃。頼む」
「・・・・(コクッ)今はひとまず鬼・・・・ザビエルの動きを待つのが得策」
「ザビエルが動くと、そのような確証はあるのか?」
「動かなければ、それはそれで良いと考えている。けど光璃も創造神様も動くと考えている」
「・・・・絶好の隙となっているであろうかならな」
「そうね。・・・・」
目線を交わし、頷き合うこの世界の当主たちに後ろに控えている者から声が投げかけられる。ちなみに葵と悠季は織田の一番後ろにいるからなのか、先ほどの銃撃は空間移動をしての狙い通りの射撃だったからだ。我が空間切断をしなければ、前にいる者に被害が出たからな。
「殿。そもザビエルやらは一体何者で?お口振りからするに、すでに判明しているようですが・・・・」
「今はまだ伝えん、それに創造神様もすでに知っているが・・・・・」
「やはり・・・・・」
「・・・・殿に創造神様。では我らはいかように?」
「その事に関しては久遠。そちの発言に任せる」
「では、畿内連合の仕切りを頼む。白百合も手を貸してやれ」
「織田殿の頼みとあらば力を貸すが・・・・貸し一つだな」
「ぬかせ」
「ふふっ、任せておけ。・・・・では何なりと頼るが良い。鬼柴田に米五郎左」
「あまり乗り気にはなれませんね・・・・」
「ほっ。正面から良くいう」
「あなたには多少の皮肉は効きませんから」
「面の皮の厚さこそ我が持ち味よ」
「開き直るな数寄者が。・・・・では殿。我らは畿内連合を仕切り、長尾衆、武田衆との親和に努めましょう。眞琴様もそれで宜しいでしょうか?」
「うん。壬月に浅井衆の仕切りも任せるよ」
「はっ。不肖の身なれど、全力を尽くします」
「織田は鬼柴田が仕切る、か。じゃあ長尾の方は秋子。あなたに任せるわ」
「はっ。長尾衆の仕切りは私が担いましょう。柴田殿、丹羽殿、よろしくお願い致します」
「こちらこそ」
「・・・・春日」
「御意。武田衆は拙が取り次ぎを行いましょう。馬場美濃守春日信房。各々方、お見知りおきを」
「よろしくお願い致します」
各家の家老たちが挨拶を交わらすのを見守っていた光璃だったが、こちらを見て頷いたが。まだこちらの奥方衆の仕切りについては、だけど。今はそれどころではない。
「これにて状況は整った」
「あとは事態の推移に合せる。・・・・皆の衆、態勢を整えつつ、親睦に励め」
「殴り合いの喧嘩は良いけど、殺し合いの喧嘩は駄目だからね?」
美空の言葉で、ドッと笑いが起きたのを最後にして立ち上がろうとするがここは俺らの船だということにすっかり忘れていた関係者以外の者たち。
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