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インフィニット・ストラトス~黒衣の創造神~

作者:黒鐡
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第3巻
  臨海学校前の買い物

週末の日曜日、俺とセシリアとシャルは街に出かけていた。そういえばもうすぐ臨海学校だし、水着を買わなきゃなと思ったらちょうどセシリアとシャルも水着を買いに行くと言ってたので一緒に行くことになった。駅前に向かおうとしたが、なんか尾行されてるような気がした。気のせいか?

「どうしましたの?一夏さん」

「いや、何か尾行されてるような気がしてな」

「尾行ね、まあ僕たちは気にしないで行こうよ」

俺はああと言いながら二人の手を繋ぎ歩いていた。気配だけだと、これは箒と鈴とラウラか。

「・・・・あのさあ」

「・・・・なんだ?」

「・・・・あれ、手握ってない?」

「・・・・握ってるな、一夏め。私ではなくセシリアとシャルロットを誘うとは私がいながら」

箒はそれを見て手に持っていたペットボトルを握りしめていた。

「そっかー、やっぱりそうか。白昼夢でもないのなら、よし、殺そう」

握りしめた鈴の拳は、既にISアーマーが部分展開していて準戦闘モードに入っていた。衝撃砲発射までのタイムラグはおよそ二秒といったところか。何とも恐ろしい十代乙女の純情だった。

「ほう、楽しそうだな。では私も交ぜるがいい」

「「!?」」

いきなり背後からかけられた声に、驚いて振り返る二人。そこに立っていたのは、忘れもしない先月、鈴が敗北を喫した相手、ラウラだった。

「な!?あ、あんたいつの間に!」

「そう警戒するな。今のところ、お前に危害を加えるつもりはないぞ」

「そう、ならいいけど。あんたはこれからどうするのよ」

「一夏を追うが、その腕しまっておけ。大佐を殺そうとしたら国連軍が中国に抗議しかねん」

鈴は部分展開した腕を元に戻した。確かに一理はある、国連軍のしかも大佐を殺したら最悪牢屋行になるかもしれないからだ。

「一緒に追うぞ、あの二人の関係について調べる必要がある」

と箒はそう言って鈴とラウラと共に後を追った。

「えーと、水着売り場はここだな。と言っても男は3階で女は4階か」

俺達は駅前のショッピングモールに来ていた。交通網の中心であるここは電車に地下鉄、バス、タクシーと何でもござれの揃い済み。市のどこからでもアクセス可能、そして市のどこへでもアクセス可能。駅舎を含み周囲の地下街全てと繋がっている当ショッピングモール『レゾナンス』は食べ物は欧・中・和を問わずに完備、衣服も量販店から海外の一流ブランドまで網羅している。その他にも各種レジャーはぬかりなく、子供からお年寄りまで幅広く対応可能。曰く『ここで無ければ市内のどこにも無い』と言われるほどらしい。ちなみに駅と完全にくっついているここを『駅前』というが、俺は昔の記憶は曖昧だ。しかも来るのは久々だしな。

「セシリアとシャルは4階にある水着選んで来いよ、俺はさっさと決めて買うから。ちなみに二人ともの水着は俺が買ってやるから」

「わかりましたわ、正直に甘えさせてもらいます。シャルロットさん行きますわよ」

「わかったから引っ張らないでよ、セシリア」

上の階に行ってしまったが、まあいいと思い俺の水着を選んだ。シンプルな青と白のを選んでサイズが合うか見てから買った。で上に行くと、女性用水着売り場に入るとセシリアとシャルがまだ選んでいたのか俺には気付いていなかったが。とそこへ見知らぬ女が俺に話しかけてきた。

「そこのあなた」

「俺に何か用か?」

「ええ、そこの水着片づけておいて」

ああ、こういう人間は苦手なんだよな。ISが普及してからは、男より女の方が偉いという勘違い女がたびたび出てくる。

「ふざけるのはいい加減にしろ。自分で片づけな」

「ふうん、そういうこと言うの。自分の立場がわかっていないわね」

と言って警備員を呼んだ見知らぬ女。で警備員が来た。

「どうかしましたか?」

「この男が私に暴力振ったのよ」

「ではあなたの身柄を確保します」

と思いつつも警備員からの手から逃れて言った。

「そんな証拠もないのによく言うな、そこの女は。いいか、ここら辺の監視カメラで確認してから身柄を拘束するんだな。それに俺は国連軍の軍人でもあるしIS学園の生徒でもある」

と俺は国連軍の手帳とIS学園の生徒手帳を警備員と女に見せた。女は逃げようとしたが、俺は肩を掴み逃がさないようにした。

「そこの警備員、この女を連行しろ。女性優遇制度だろうが関係ない。この俺に濡れ衣を着せようとしたからな」

「は、はい。わかりました。君、来なさい。濡れ衣を着せた罪は重いぞ」

女は顔を青く連行された。しばらくして、セシリアとシャルがきたけど。

「どうかされまして?」

「ああ、俺に濡れ衣を着せようとしたバカな女がいたから警備員に連行させた」

「今は女尊男卑で女性が偉いと思っているからね、それにしてもその女は許さないね」

「まあ俺は気にしてないからな、ところで選んだか?それとも俺が選んでやろうか?」

「(それよりあの三人のほうに行った方がよろしいかと。お説教ですわ)」

「(そうそう。それに前に改造したときにGNドライブを入れたから僕達を追っても無駄だけどね)」

言いながら気配で、箒と鈴とラウラが尾行されてるのは既に気付いている。なので、二人の水着を選んで、試着をしてる間に空間からハリセンを出して箒たちの後ろに立った。

「あの三人どこに行ったのだ」

「コア・ネットワークで探しても見つからないってのは、潜伏モードにしてるんじゃない」

「それか他の方法でまいたか」

俺は密かに後ろに立ってから三人の頭に向かってハリセンを殴り叩いた。

『パシイィィィィィィィイン・パシイィィィィィィィイン・パシイィィィィィィィイン』

「いったあーーー、誰よ?ってい、一夏」

「お前らが尾行してるのはとっくに気づいていた、わざと泳がせていたけどな」

「こ、これが一夏のハリセンの威力。教官のより強い」

この音につられたのか、他の女性客が出てくるが俺が説教をしてるところを見たらすぐ引き返して行ったが、ここに千冬と山田先生がおった。

「なんだ、一夏も来てたのか」

「セシリアとシャルに水着を買いにね、あと軽くデートでもしようと思ったらこいつらが尾行してた」

「な、なるほど。さっきの音は織斑さんのハリセンの音でしたか」

「それより千冬と真耶さんはどうしてここに?」

「私たちも水着を買いに来たのですよ。あっそうだ、私買い忘れたのがあったので篠ノ之さんと凰さんは私と一緒についてきてください」

と言って退散した、あれか。俺と千冬での水着選びをしろということか。

「・・・・まったく、山田先生は余計な気を使う」

「そうだな、それより水着買うんだろう」

「ああ、別に気を遣わなくてもよかったんだが。それより一夏、どっちの水着がいいと思う?」

そう言って千冬が見せたのは専用のハンガーにかけられてた水着二着。片方はスポーティーでありながらメッシュ状にクロスした部分がセクシーさを演出している黒の水着。もう片方はこれまた対極で、一切の無駄を省いたかのような機能性重視の白い水着。

「そうだな、黒の方だと思うぞ」

「そうか、てっきり白の方を選ぶと思ったが」

「俺は前までは弟だったからな、そのときだったら白を選んでいたかもな。だが今は一個上になってしまい兄になってしまったからな、俺としては黒の水着のほうが似合っ
ていると俺は思う」

「なるほどな、歳が上になってからは女の気持ちもわかってきたのか」

「俺は昔から分かっていたつもりだが、まあ例えばラウラの水着姿も見てみたいけどな。可愛いし」

「ラウラのか、たしかにな」

俺と千冬は談笑しながらも、その黒い水着は俺が買ってあげた。たまにはいいだろっと言ってな。そのあと別れてセシリアとシャルと合流した。二人とも、試着をしてから待っていたそうだが。二人の水着も買ってあげてから高級レストランに向かった。一方ラウラは水着コーナーで足止めをくっていた。ハリセンの威力が強すぎたのかまだふらふらしていた。

「(そういえば私も水着がなかったな。まあ泳げればなんでもいいだろう。あの水着は機能的に優れている。代わりの物は必要ないな)」

そう思い、冷めた瞳で水着の列を見てたら、次の瞬間白い肌が赤く染まった。

「ラウラの水着姿見てみたいな。可愛いし」

どうも千冬と一夏が話してるところまでは把握していたのだが、盗み聞きをする趣味はないので会話を意識してなかったところ不意打ちである。

「・・・・・・・・・・・・・」

突然の言葉に顔は熱を放って紅潮し、心臓の動悸は一気に上がった。ドキドキとバクバクで胸が高鳴って止まらない。歳が上なので中々こういう事には慣れてなく、無論かわいいなどと言われた事がない。しかも男性から言われたことは一回もないので。

「(か、か、可愛い・・・・?私が可愛い・・・可愛い)」

一種の暴走状態になってしまったが、コールする番号を間違えながらラウラはISのプライベート・チャネルを開いた。同時刻、ドイツ国内軍施設。そこでは現在、IS配備特殊部隊『シュヴァルツェ・ハーゼ』通称『黒ウサギ隊』が訓練を行っていた。ドイツ国内の総ISは十機なのだが、そのうち三機を持っているのがこの部隊である。そして、それは名実ともに最強の部隊である事の証明となっているが、一番の最強部隊は国連軍のブラック・シャーク隊のIS部隊というのはお忘れなく。眼帯をした黒ウサギが部隊章であるこの隊は、隊長をラウラをはじめ全員が肉眼へのIS用補佐ナノマシン移植者である。元々ラウラの眼帯は機能制御装置であったのだが、現在では全員が肉眼の保護と部隊の誇りとして眼帯を装着していた。

「何をしている!現時点で三七秒の遅れだ!急げ!」

そう怒号を飛ばしているのは副隊長であるクラリッサ・ハルフォーフであった。年齢は22歳。部隊の中では最高齢であり、十代が多い隊員たちを厳しくも面倒見よく牽引する『頼れるお姉様』。その専用機『シュヴァルツェア・ツヴァイク』に緊急暗号通信と同義のプライベート・チャネルが届いた。

「受諾。クラリッサ・ハルフォーフ大尉です」

『わ、私だ・・・』

本来ならば名前と階級を言わなければいけないのだが、向こうの声が妙に落ち着き無く揺れているためクラリッサは怪訝そうな顔をする。

「ラウラ・ボーデヴィッヒ隊長、何か問題が起きたのですか?」

『あ、ああ・・・・。とても、重大な問題が発生している・・・・』

その様子からただごとではないと思ったクラリッサは、訓練中の隊員へとハンドサインで『訓練中止・緊急招集』を伝える。

「・・・部隊を向かわせますか?」

『い、いや、部隊は必要ない。軍事的な問題では、ない・・・』

「では?」

『クラリッサ。その、だな。わ、わ、私は可愛い・・・・らしい、ぞ』

「・・・・・・はい?」

それまで規律整然としたクラリッサの声が、半オクターブほど高くなる。ついでに、きりりっとした口調は突然の意味不明な事態に対して若干間の抜けたものへと変わっていた。

『い、い、一夏が、そう、言っていて、だな・・・・』

と、そこまで聞いてクラリッサはピンときた。

「ああ、織斑教官の弟、いや兄でしたか。それで隊長が好意を寄せている彼ですか」

『う、うむ・・・・ど、どうしたらいい、クラリッサ?こういう場合は、どうすべきなのだ?』

「そうですね・・・・。まずは状況把握を。直接言われたのですか?」

『い、いや、向こうはここに私がいるとは思っていないだろう』

「・・・・最高ですね」

『そ、そうなのか?』

「はい。本人のいない場所でされる褒め言葉に嘘はありません」

『そ、そうか・・・!』

さっきまで動揺十割だったラウラの声が、クラリッサの言葉でぱぁっと花開くように明るいものへと変わる。ちなみに現在集めた隊員達には、クラリッサがプライベート・チャネルをしながら筆談で状況を伝えるのだった。

【隊長の片思いの相手に脈アリ】

『おおおお~!』

と十数名の乙女が盛り上がった声を漏らす。ちなみに、この部隊でラウラは人間関係に多大な問題を抱えていたがのだが、先月のVT事件の直後に『好きな男ができた』と言う相談をクラリッサに持ちかけた時から全てのわだかまりが解けて消えた。そのときの様子を断片的に伝えると。

「えええっ!あ、あの隊長に、好きな、男!?」

「私は織斑教官を本気で好きなのだとばかり・・・・!」

「そうだろう、そうだろう。私もそう思っていた。しかし、だな。あの隊長が、あの、隊長がだぞ。『お、男の気を引くにはどうしたらいい・・・・?』と言ったんだ!」

「「「きゃああ~っ!」」」

「だから私は真摯に教えた!日本では気に入った相手を『自分の嫁にする』という風習があるということを!」

「さすが副隊長!日本に詳しい!」

「当然だ。私は伊達や酔狂で日本の少女漫画を愛読しているわけではない!」

「か、かっこいい・・・・・!」

「そんなかっこいい副隊長が好きです!」

「でも、可愛くなった隊長はもっと好きです!」

「そうだろう!私もそうだ!ああっ、どうして本国にいる間にこうして心を通わせあえなかったのだろうか!」

「たしか、こういうときに日本では赤いお米を炊くんですよね!?」

「そうらしい。おそらく、血よりなお濃いものという教訓なのだろうな」

「さすが日本、痺れます!」

「憧れます!」

「よし、部隊員諸君、現時刻をもって今日の訓練は終了する!今すぐ兵舎食堂に向かい赤い米を炊くぞ」

「「「はい、副隊長」」」

とこんな感じであったが、このあと織斑一夏大佐から連絡があり、どういう原理かはわからないがハリセンで叩かれたクラリッサ。あと『自分の嫁にする』という風習はないと断言された、あと嫁っていうのは男性が自分の好きなアニメやライトノベルや漫画の女性キャラのことを俺の嫁と言うと言われて終始落ち込んだというのは別の話だ。

『そ、それで、だな、今、その、水着売り場なのだが・・・・』

「ほう水着!そういえば来週は臨海学校でしたね。隊長はどのような水着を?」

『う、うん?学園指定の水着だが・・・』

「何をバカなことを!」

『!?』

「たしか、IS学園は旧型スクール水着でしたね。それも悪くない。悪くないでしょう。男子が少なからず持つマニア心をくすぐるでしょう。だがしかし、それでは・・・」

ごくり、ラウラがつばを飲む。

「色物の域が出ない!」

『なっ・・・・!?』

「隊長は確かに豊満なボディで男を籠絡というタイプではではありません。ですが、そこで際物に逃げるようでは『気になるあいつ』から前には進まないのです!」

『な、ならば・・・・どうする?』

「フッ。私に秘策があります」

言葉にも熱が入り出す暴走気味のクラリッサだったが、その目がキュピーンと光ったのだった。一方俺は、セシリアとシャルとは別行動をとり、あるアクセサリー屋に行った。そしてブレスレッドを買った、三つ。俺、セシリア、シャルに。それぞれ別々にしてもらってから、リュックに入れた。そして合流した後に俺がオーナーをやっているレストランに行った。しかもなぜか箒・鈴・ラウラと千冬と真耶さんもいたけど、俺はセシリアとシャルを呼んだのだが何かおごれと言われたのでしょうがねえからここに来た。来たら来たで千冬と真耶さんは入りずらそうだったが、俺が入ったため仕方がなく入って行った。

「いらっしゃいませ、あらあら、オーナーではありませんか」

「今日は客として来たのだが、個室空いてるか。全員で8人なんだが」

「少々お待ちください」

と待ったら空いていたのでそこに行って、俺のおごりだからなんでも好きなものを頼めと言ったので頼む箒たち。千冬と真耶さんは、こんな高級レストランですから払えますかと聞かれたからブラックカードを出したら沈黙した。そのあと食ったあとにブラックカードで払ってから解散、俺とセシリアとシャルは近くの公園に行ってからプレゼントを渡した。

「セシリアとシャル、これを渡したくてな」

「なんですか、これは?」

「開けてみろ」

と言われて包みを開けると十字架のブレスレッドが入っていた。しかも高級そうな物だった、しかも俺とお揃いだと言ったら素直に受け取ってくれた。夕方になったので、IS学園に戻った。 
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