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インフィニット・ストラトス~黒衣の創造神~

作者:黒鐡
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第2巻
  転校生×起動から歩行そしてお姫様抱っこ

「やっぱりハヅキ社製のがいいかなぁ」

「え?そう?ハヅキのってデザインだけって感じしない?」

「そのデザインがいいの!」

「私は性能的に見てミューレイのがいいかなぁ。特にスムーズモデル」

「あー。あれねー。モノはいいけど、高いじゃん」

月曜日の朝。クラス中の女子がわいわいと賑やかに談笑していた。ちなみに肩にはアンを乗せているけど。何か手にカタログを持っているが、あれは何だろうか。皆あれやこれやで意見を交換している。

「そういえば織斑さんはISスーツ持ってないさそうだけど、持ってるんですか?」

「ISスーツは持ってないが別のならある、が俺にとっては制服でやってもエネルギーは減らないから心配はない」

ちなみにISスーツは文字通りIS展開時の体に着ている特殊なフィットネススーツのこと、俺の場合はスーツなしでもISを動かしている。が、通常だと反応速度が鈍ってしまうようだが俺には関係ないことだ。

「ISスーツは肌表面の微弱な電位差を検知することによって、操縦者の動きをダイレクトに各部位へと、伝達、ISはそこで必要な動きを行います。また、このスーツは耐久性にも優れ、一般的な小口径拳銃の銃弾程度なら完全に受け止めることができます。あ、衝撃は消えませんのであしからず」

すらすらと説明をしながら現れたのは山田先生だった。

「山ちゃん詳しい!」

「一応先生ですから。・・・・って、や、山ちゃん?」

「山ぴー見直した!」

「今日が皆さんのスーツ申込み開始日ですからね。ちゃんと予習して来てあるんです。えへん。・・・・って、や、山ぴー?」

何か知らんが入学から二か月で、山田先生には8つくらい愛称がついていた。慕われているのはいいが教師に向かってあだ名で呼ぶのはまずい。なので片っ端からハリセンで叩いた。軽めだけど。

「諸君、教師に向かってあだ名で言うのはやめろ。お前ら同じ年齢なら構わんが、山田先生の方が年上であって教師なのだからな」

しばらく無言になっていたが「返事は?」と聞くと全員「はい!」といい返事した。俺は、後ろの席に行った。ちなみに俺の机と椅子は大人用になっていた、前は160センチぐらいだったのが、今は180センチになったからだ。

「諸君おはよう」

「お、おはようございます」

それまでざわざわしてた教室が一瞬でぴっと礼儀正しい軍隊整列(例えだ)にと変わる。俺は席に座ったままだが。お、ちゃんと俺が出した夏服のスーツ着ているなと思った。弾のところに行く前に家に寄って、掃除をしてスーツを出しておいたのだ。

「今日から本格的な実戦訓練を開始する。訓練機ではあるがISを使用しての授業になるので各人気を引き締めるように。各人のISスーツが届くまでは学校指定のものを使うので忘れないようにな。忘れたものは代わりに学校指定の水着で訓練を受けてもらう。それもないものは、まあ下着で構わんだろう」

いやよくねえよと思ったのは俺だけか?そういえば学校指定の水着ってスク水だったな、あの絶滅危惧種だといわれて他の学校は廃止になったとか聞くが。あと体操服もブルマだったな、弾が知ったら喜びそうだな。学校指定のISスーツはタンクトップとスパッツをくっつけた感じで、シンプルなのだがなぜ各人スーツを用意するかというと。ISは百人百通りの仕様へと変化するから、早いうちに自分のスタイルというのを確立するのが大事だそうだ。もちろん全員が専用機をもらえる訳ではないが、十代の女子の特権である乙女の感性を優先なのだろうな。女はおしゃれの生き物と確か隊員の誰かが言ってたな。ちなみに専用機持ちの特権、『パーソナライズ』を行うと、IS展開時にスーツも同時に展開される。着替え無しでできるから専用機持ちにとっては楽だとか。着ていた服は一度素粒子にまで分解されてISのデータ領域に格納される、まるで俺が使う量子変換機で着替えるみたいだ。だが、この特権はあくまで緊急時に使われる。エネルギーが消耗するからであって、ISスーツを着てISを展開するのがベターらしい。

「では、山田先生、ホームルームを」

「は、はいっ」

織斑先生が連絡事項を言い終えたのか、山田先生にバトンタッチする。

「ええとですね、今日はなんと転校生を紹介します!しかも二名です!」

「え・・・・」

『ええええええええっ!?』

いきなりの転校生紹介にクラス中が一気にざわつく。今の女子たちは三度の飯より噂好きの十代乙女。

「マスター、もしかして一人は私たちの知ってる者ですかね?」

「たぶん、当たりだな。前の外史もだいたいそうだったし」

とアンと喋っていたらドアが開いた。そこには女子二人がいた、一人は金髪でもう一人は銀髪。

「シャルロット・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いかと思いますが、みなさんよろしくお願いします」

転校生の一人であるシャルロットはにこやかな笑顔でそう告げて一礼する。本来だったら男として入ってくるが、シャルロットはセシリアと同じ記憶共有者。それに裏ではブラック・シャークの隊員の一人。もう一人は、軍属だな。銀髪で腰近くまで長いが伸ばしっぱなしっていう印象だ、そして左目に眼帯。医療用じゃなくてガチな眼帯だった。

「・・・・・・・・・・・」

当の本人は挨拶しないまま口を開かずにいたが。

「挨拶をしろ、ラウラ」

「はい、教官」

おいおい、ここは軍隊じゃないんだぞと思うほど敬礼をしていた。

「ここではそう呼ぶな。もう私は教官ではないし、ここではお前も一般生徒だ。私のことは織斑先生と呼べ」

「了解しました」

そう答えるとラウラといったな、ラウラは手を真横につけて足をかかとで合わせて背筋を伸ばしてる。どう見ても軍人だな、俺もだけど。千冬を『教官』と呼んでるで間違いなくドイツだな。俺が転校=国連軍に入った時に、千冬はドイツで軍隊教官として1年働いたとメールで読んだ。

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

「・・・・・・・・・・・・」

クラスメイト達は沈黙した、次に聞く言葉を聞きたいがあいにくまた無言になってしまった。

「あ、あの、以上・・・ですか?」

「以上だ」

山田先生ができる限りの笑顔で聞くが、返ってきたのは無慈悲な即答だけだった。あーあ、山田先生泣きそうだぞ。と俺と目があった。

「!貴様が」

なんだ?こちらに来たと思ったら平手で殴ろうとしたので、即手首を掴んだ。

「くっ、離せ!貴様」

「離したらまた平手打ちするつもりだろう、それに俺の歳と君の歳では差があるけどな」

「私は認めない。貴様があの人の弟であるなど、認めるものか」

「正しく言うと俺は千冬の兄になっている、そこだけは勘違いするな。小娘」

「なっ!」

驚いたあと、手首を離したら空いてる席に向かった。腕を組んで目を閉じ、微動だにしなくなる。

「あー・・・・ゴホンゴホン!ではHRを終わる。各人はすぐに着替えて第二グラウンドに集合。今日は二組と合同でIS模擬戦闘を行う。解散」

ぱんぱんと手を叩いて千冬が行動を促す。俺はセシリアのとこに向かい、シャルの事を任せたと。そのあと教室を出た、女子の着替えを見る趣味はないからな。先に第二グラウンドに行った、制服から戦闘服に着替えたけど。しばらく待つと女子たちが出てきたので、俺は一組の方に行き並んだ。隣はセシリアだったけど。

「相変わらずお早いのですね」

「まあな、いつも一番になってしまうが」

「なんであんたは早いのよ」

ん?後ろから声がかかったから向くと鈴がいた。相変わらず俺の事をあんた呼ばわりされてるがもう慣れた。

「そりゃ男は着替えるのは早いさ、と言っても俺はスーツではなくいつもの服だけどな」

と静かにしてると織斑先生が来た、相変わらず実習のときは白いジャージを着ている。

「では、本日から格闘及び射撃を含む実戦訓練を開始する」

「はい!」

相変わらず元気な声で。俺は無言だけど。

「今日は戦闘を実演してもらおう。ちょうどいいしな、オルコット!凰!」

セシリアと鈴か。なんとなくだが専用機持ちだからなのだろうな。

「専用機持ちはすぐに始められるからな、前へ出ろ」

「だからってどうしてあたしなのよ」

「お前ら少しはやる気を出せ。アイツにいいところを見せられるぞ?」

なんか小声で言った千冬。言ったら言ったで鈴はやる気を出した。一方セシリアはいつも通りだった。

「ここはイギリス代表候補生である私の出番ですわね」

「まあ、実力の違いを見せるいい機会よね!専用機持ちの!」

おそらく俺にいいところを見せられるぞとか言ったんだろうな。

「それでお相手はどちらにですか?」

「セシリアとやってもいいけど」

「慌てるなバカども。対戦相手は・・・」

ん?音が聞こえるな。上空を見るとなんか落ちてくる音みたいだった。

「あああーっ!どいてください~っ!」

あれは山田先生だ、しかも俺に向かって落ちてくる。周辺生徒は既に避難してたので、俺はしょうがないと思って量産されたブルー・ティアーズを展開した。落ちてくるはずの山田先生を首根っこ掴んで静止した、ちなみに顔は隠してる。

「大丈夫ですか?山田先生?」

「あ、はい。ありがとうございます。それよりそのISは」

山田先生を降ろして、セシリアの隣に行った。そして女子どもはなぜブルー・ティアーズを装着してるのか疑問を感じていた。

「ん?ああ、そういうことか。こいつは量産機のブルー・ティアーズだが」

『え、ええええええええええええええええええええええええええ!』

俺の発言に驚いた女子たち、それはそうか。ブルー・ティアーズはイギリスのものと思われているが、量産機のは独自で開発している。

「山田先生はたしか元代表候補生でしたよね?なぜ地面に激突寸前なのは操縦ミスでは?」

「あ、はい。昔のことですけど。それに候補生止まりでしたし」

千冬はなぜ量産されてるのか考えていたが、すぐに考えるのをやめた。

「さて、小娘ども。さっさと始めるぞ」

「あの二体一でですか。さすがそれは」

「安心しろ。今のお前たちならすぐ負ける」

負けると言われたのが気に障ったのか特に鈴は瞳に闘志を滾らせていた。セシリアはいつも通りだったけど。

「では、はじめ!」

号令と同時にセシリアと鈴が飛翔する。それを目で確認してから、山田先生も空中にへと躍り出た。

「手加減はしませんでしてよ」

「い、行きます!」

先制攻撃をしたのは鈴だが、すぐに回避された。山田先生はマシンガンで撃ったあと、鈴は衝撃砲で撃つ。セシリアは、ビットで攻撃しながらレールガンを撃つ感じだったがセシリアはまだ本気だしてないな。何せビットはまだ4つだけ、俺がカスタマイズしたときはビットを4つから10個にした。それもドラグーンシステムを入れて、ミサイルを外してレールガンを付けたからだ。で先に落ちたのは鈴だった、どうやらグレネードランチャーをくらったようだった。

「ほう、オルコットはなかなかやるな。だがビットを動かしてる時が弱点だ。すぐに終わるはずだ」

と言ってたので俺はプライベート・チャンネルを開き、セシリアに本気を出せと言った。そしたらビットを動かしながら体も動いて、ライフルを撃った。さすがにこれではまずいと思った山田先生は本気になり、撃ったが回避されたあとビットを4個から10個にして四方八方山田先生を追い込んだ。そして決めのレールガンで落とされた山田先生。

「な、山田先生が落とされただと!それにビットの数は4つのはずでは?」

「セシリアは俺が指導してるからこのくらい当たり前ですよ、織斑先生」

俺はすでにISを解いている、セシリアはすべてのビットを戻して着地した。

「山田先生には申し訳ないですけど勝ちましたわ。これも一夏さんの指導のおかげです」

「ゴホン、これで代表候補生の実力は理解できただろう。山田先生も本気を出してのこの様だが、以後教師には敬意を持って接しろ」

ぱんぱんと手を叩いて千冬がみんなの意識を切り換える。

「専用機持ちは織斑、オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒ、鳳だな。では八人グループになって実習を行う。各グループリーダーは専用機持ちがやること。いいな?では分かれろ」

千冬が言い終わるや否や、俺に集中して一気に二クラス分の女子が詰め寄ってきたので順番にハリセンで叩いた。叩き終えると、状況を見た千冬が言った。

「織斑、私の代わりに制裁した事には感謝する。あとお前ら出席番号順に一人ずつ各グループに入れ!順番はさっき言った通り。次またもたついたら織斑の制裁が来るので注意しろ。それかISを背負ってグラウンド百周させるからな!」

鶴の一声だな、それまでわらわらしてたのが蜘蛛の子を散らすが如く移動して、それぞれの専用機持ちグループは二分とかからずにできあがった。

「最初からそうしろ。馬鹿者どもが」

ふうっとため息を漏らす千冬。それにばれないようにしながら、各班の女子はぼそぼそとおしゃべりしてた。

「・・・・・やったぁ。織斑さんと同じ班っ。名字のおかげねっ・・・」

「・・・・・セシリアさんと一緒になれた、さっきもボロ勝ちだったし・・・」

「・・・・・鳳さん、よろしくね。あとで織斑さんのお話聞かせてよっ・・・」

「・・・・・デュノアさん、わからないところあったら教えてね・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

唯一お喋りしてないのは、ラウラの班だった。冷たい空気で張りつめた感じで押し黙っていた。

「ええと、いいですかーみなさん。これから訓練機を一斑一体取りに来てください。数は『打鉄』が三機、『リヴァイヴ』が二機です。好きな方を班で決めてくださいね。あ、早い者勝ちですよー」

山田先生がいつもよりテンション落ちていたが、いつも通りにしていた。生徒に負けるのが悔しかったんだろうな。

「じゃあ、皆はどれがいい?」

「うーん、じゃあ打鉄で」

「わかった、打鉄な」

と打鉄を念力で持ち上げてここまで運んだ。同じ班の女子たちもだが、他の班の者たちもこちらを見ていた。打鉄を置いてと、そしたらオープン・チャンネルで山田先生から連絡してきた。

『各班長は訓練機の装着を手伝ってあげてください。全員にやってもらうので、設定でフィッティングとパーソナライズは切ってあります。とりあえず午前中は動かすところまでやってくださいね』

「それでは出席番号順に並べ、ISの装着と起動、そのあと歩行をやる。一番目は誰だ?」

「はいはいはーいっ!」

元気に返事をしてきた。ちなみに片手をあげてぴょんぴょんと跳ねている。

「出席番号一番!相川清香!ハンドボール部!趣味はスポーツ観戦とジョギングだよ!」

「なぜいまさら自己紹介するんだ?まあ元気はあっていいことだ」

「よろしくお願いしますっ!」

腰を折って深く礼をすると、そのまま右手を差し出してきた。これはなんだ?

「ああっ、ずるい!」

「私も!」

「第一印象から決めてました!」

なぜか他の女子も一列に並び、同じようにお辞儀をして頭を下げたまま右手を差し伸べてきた。

「握手ならあとでやってやるから、今は今やることに集中な」

「はいっ!」

うむ、いい返事だ。俺の部下にも見習ってほしいな。あとラウラの班を見たら相変わらずの無言で立ってるので、相川さんにちょっと待てと言ってラウラの頭にハリセンで叩いた。

パシィィィィイン

「いったああ!何をする!」

「お前が無言のままでどうするんだ馬鹿者、残りの一機である打鉄を運んで来い。そのあとまた来るが、また無言のまま生徒をほったらかしてみろ。今度は織斑先生の鉄槌が降ると思え」

「その通りだ、中々いいこと言うな織斑。ここは任せて自分の班に戻れ」

俺はハリセンを肩にかついで自分の班に戻った。戻ってきたら相川さんはISの外部コンソールを開いてステータスを確認していた。

「悪い悪い、じゃあ相川さん。ISには何回か乗ったことあるよな」

「うん。授業でだけど」

「よし、それならいい。装着して起動してみろ、そしたら歩行をやってみろ」

装着し、起動をして立ち上がった。そして歩行を開始、歩き終えたら次の人になったがここで初歩的なミスをした。立ち上がったまま降りてしまったからだ、いつもは部隊長に任せてたからな。

「あのー、コックピットに届かないんだけど」

「しょうがない、俺が抱っこして乗せるか」

「な、なに?」

「えええ~っ、超ラッキー!」

ISをしゃがませるのを忘れて立ったままの場合は、ISを装着している者が抱っこして乗せることだ。踏み台より安全だしな。

「一夏が踏み台になってやればいいのでは?」

「箒、あのなあ。踏み台よりISを装着した者が抱っこして乗せるのが安全だとは思わないのか」

「そ、それはだな」

もういいやと思いながら、次の人である岸里さんを抱えて風術で飛んだ。いきなりだったので少々驚いていたが。

「織斑さんって強引ね」

「何か言ったか?早めに終わらせないといけないしな。あとしっかり捕まっていてくれよ」

「う、うん・・・」

でコックピット席まで飛んだ。生身だからこの子の温度を感じるがまあいい。ちなみにアンはずっと肩にいる。

「ここまで行けば大丈夫だよな。ここから入って背中を預けるような感じでな」

「だ、大丈夫です」

まだお姫様抱っこの状態だったが、たぶんこの子っていうか女子全員はあまり男性とこんなに密着はないか。

「じゃあ、離すからな。きっちりやれよ」

「え!?え、ええと」

「ん?何か問題でもあるのか?もしかしてもう少し抱っこしたいとか」

と言ったら赤くなっていた。図星か、まあいいやと思ったら他の班の女子が騒いだ。

「あああっ!な、何してるのよ!」

「ズルイ!私もされたい!」

「どうして!どうして私の出席番号が十二番だったの!?私をこの名字にしたご先祖様を末代まで恨むわ!」

おーい、最後の奴。恨まないほうがいいぞ、あとで後悔するかもしれないし。

「とりあえず乗ってくれ、あとで大変な目に合うんだろう」

「う、うん。わかった」

起動させて、開いたままだった装甲が閉じて操縦者をロックさせた。そしてゆっくりと歩行を開始させた。後ろで視線感じたが、あれは箒だな。あれだな、箒も抱っこしたいんじゃないかと思いながら歩行を終わらせた。

「今度はしゃがんで解除してくれよ、他の子の目なんか気にしちゃいけないが」

俺が言い終える前にまた立った状態で解除した、おそらく他の班からの嫉妬で見られたんだろう。まったく本来ならハリセン一発だが、他の子からの嫉妬じゃあしょうがないよな。

「またか、次は誰だ」

「私だ」

「そうか、じゃあ俺に捕まれ。生身とはいえ少々浮かぶから離すなよ」

「わ、わかった。頼む」

「よっと」

「きゃっ、ゴホン」

一瞬きゃって言わなかったか。箒らしくないが、まあいいかと思い浮かんだ。一方箒はというと心臓バクバクして体温があがっていた。

「(い、いきなり抱えるか!びっくりするではないか。にしてもあれだな、妙に手慣れしてるな)」

気になってじっと一夏の顔を見る、じっと見てたのか一夏が顔を向ける。

「どうした?何か俺の顔に何かついてるか?」

「い、いや。なんでもない」

顔をそむけて言った。それに抱えている腕がたくましいなと思ったのは私だけであろうか。直接肌で感じられるような体温で、ISならともかく生身で浮いてる自体がおかしいのだが、密着してるから余計どきどきする自分があった。

「箒」

「な、なんだ!?」

「何だじゃない、コックピット席に着いたから早くしてくれ。あとが詰まる」

私は一夏から離れて打鉄に乗り込む。

「よし、大丈夫そうだな。起動と歩行をやってみせろ、解除するときはしゃがんでやれ。やらなかったらハリセン一発な」

「わ、わかった。そ、それより一夏。今日の昼は予定はあるのか?」

「特にないが、セシリアとシャルロットと一緒に飯を食うのだがそれでもいいか?」

「い、一緒にか。そ、それでいいぞ」

そんな会話をして起動させてそのまま歩行させる。ふむ、剣道のおかげか、無駄な動きがないな。

「よし、じゃあしゃがんで降りろ」

箒はしゃがんで降りようとしたが、様子がおかしい。何だと思ったら次の子の視線が箒に向けている。

「箒がしゃがんでやれば、あとでいくらでもお姫様抱っこしていいからその視線はよせ」

と俺が言ったら箒はしゃがんで解除させた。次の子からはちゃんと起動させて歩行をしてしゃがんで解除の繰り返し。一番早かったのは、なぜかラウラの班だった。なぜかというと千冬がラウラの代わりにやっていたからだった。 
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