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魔法少女リリカルなのは~結界使いの転生者~

作者:DragonWill
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A's編
  襲撃と悲しい現実

「そんな・・・そんなことって!!」
「いくらなんでもあんまりよ!!」

龍一はユーノから聞いた話をなのはたちに聞かせていた。

その内容になのはとアリサが声を荒げる。

「なら、なおさら彼女たちを止めなくちゃ・・・・」
「そうだね。このままじゃ何も解決しないよ」

フェイトとすずかも闇の書の現実を前に悲痛そうな顔を浮かべていた。

その時・・・。

ビキッ!!

ガラスが砕けるような音が聞こえ、今まで屋敷を覆っていた結界が崩れる。

「「「「!?」」」」
「龍君!!」

他の部屋にいたはずの禊がやってきた。

「禊姉さん!!」
「結界が破壊された!!多分奴らだよ!!」
「その通りだ・・・・」

慌てる彼らの前にシグナムを始めとしたヴォルゲンリッターが勢揃いしていた。

「・・!?そんな・・・シャマルさん!!」

シャマルを見たすずかが声を荒げる。

「知ってるの、すずか!?」
「うん。図書館でこの間お友達になったはやてちゃんの親戚の人だって・・・・・まさか!?闇の書の主って!!」
「その通り・・・我らの主は八神はやてだ」
「そんな!?」

シグナムたちの告白にショックを隠せないすずか。

「これ以上罪を重ねないで。闇の書は完成してしまえば・・・はやては・・「残念だが、もう止まることは出来ない」・・!?」

先ほど聞いた闇の書の真実を伝えようとするもシグナムに遮られるフェイト。

「もう時間がない。我らの主ももう長くはない。今日明日生きられるかどうかすら危うい・・・だが闇の書はまだ何十ページも残っている・・・・残りのページを埋めるため、残念だが君たちを狩らせてもらう!!」
「でやああああああああ!!」

シグナムの宣言の後すぐにヴィータがなのはに突っ込んできた。

それを障壁で防ぐ禊。

「今までの連中に詫びろってんなら、これが終わったら腹切りでも何でもしてやるから!!だから邪魔すんな!!」

よく見るとヴィータは大粒の涙を流していた。

「やっと心から慕える優しい主に出会えたんだ!!初めて失いたくないって思えたんだ!!あのどうしようもなく優しくて孤独なはやてがこのまま何の喜びも知らないで死んじゃうのが何よりも怖いんだ!!だから邪魔すんなよおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

更にジェットを強める。

「くうぅ・・・・『転移』!!」

室内では不利と判断した禊は子供たちごと転移魔法で屋敷の外に移った。

急に目標を失ったヴィータのグラーフアイゼンが宙を切る。

「シャマル!!」
「分かってます!!」

シャマルは直ぐに索敵を開始した。





「みんな、大丈夫!?」
「ええ、何とかね・・・」

禊は子供たちの安否を確かめる。

全員無事を確認した禊は救援を呼びながら移動を始める。

「兄様!!今『そっちは大丈夫か!?』・・・もう分かってるんだね?」
『ああ、今大至急部隊を派遣している。襲撃指摘た戦力は?』
「全員です。最終決戦って感じですね・・・」
『やはりか・・・・仮面の男は?』
「いや、その人は見かけてないです」
『注意してくれ。とにかくなのはちゃんたちを守りながら所定の位置まで来てくれ・・・』「分かりました」

その時、その異変に気付けたのは空間に対する鋭敏な感覚を有していた禊と龍一だけであった。

しかし、禊は通信と対策に集中しすぎるあまり、反応が遅れ・・・。

「高町!!」

龍一がなのはを突き飛ばす。

「龍一くん?・・・」

なのはが突き飛ばした龍一の方に目をやると、龍一の胸から突き出る腕が見えた。

「がっ・・・・・・」
『蒐集』

突き出る腕の先には小さな灰色の光の塊(おそらくリンカーコアであろう)があるが、徐々に小さくなっていく。

「龍君!!」

蒐集が終わり、その場に崩れ落ちる剛を抱える禊。

「ちっ!!そっちの白いガキに比べれば微々たる魔力だが10ページは埋まった。あと少しだ」

上空から彼らを追ってきたヴィータたちが降りてきた。

「「「龍一(君)!?」」」
「く・・・そ・・・・」

ヴィータがグラーフアイゼンを、シグナムがレバンティンを振りかぶって突っ込んでくる。

「レイジングハート!!」
「バルディッシュ!!」
『スタンバイレディ』
『ゲットセット!!』

なのはとフェイトはデバイスをセットアップし二人の攻撃を防ぎながら上空に誘導する。

「二人ともそこから動かないで!!」

禊が封杖で地面をつつくと、内外の干渉を完全に遮断する結界が三人を包む。

「魔導師組合(ギルド)次期組長、守宮禊・・・」
「盾の守護獣、ザフィーラ・・・」
「湖の騎士、シャマル・・・」
「「「参る!!」」」


シグナムの剣戟をバルディッシュで受け流していたフェイトはバリアジャケットを変更した。

「バルディッシュ」
『ソニックフォーム』

フェイトの衣装からマントが消失し、袖なしのタイツとスパッツをつなぎ合わせたような格好になる。

「なるほど、防御の全てを捨てて速度に持ってきたか。しかし、それでは例えゆるい一撃でも当たれば落ちるぞ・・・」
「貴女に勝つにはこれくらいしないといけないから・・・・」
「悪いが手加減はできん。私の未熟さを許してくれ」
「構いません。勝つのは私ですから」

そして、レヴァンティンを鞘に納めたシグナムとバルディッシュを構えたフェイトが激突する。


大量の鉄球とアクセルシュータを繰り出しているなのはとヴィータは壮絶な空中戦を繰り広げていた。

「でやあああああああ!!」
「シューーーーーーーーーート!!」

二人の弾丸が互いに衝突して弾け合う。

「あ、悪魔め・・・」

衝突の余波で炎に包まれながらもこちらに向かってくるなのはに対し、ヴィータが呟く。

「悪魔でいいよ・・・悪魔らしいやり方でお話聞かせてもらうから!!」


ヴィータはそれまでと違う特大サイズの鉄球をなのはに放つ。

「やったか!?」

しかし、鉄球はなのはの堅い防御を突破できず、大技を放った一瞬の技後硬直を突かれ、バインドで拘束された。

「なっ!?」
「ディバイ――――ン、バスタ―――――――!!」

すかさずなのはの砲撃がヴィータに直撃する。

「「「ヴィータ(ちゃん)!!」」」

その光景を目にしたシグナムたちがヴィータの敗北を予期していた。

しかし・・・・。

「あ・・・闇の書?」

ヴィータを覆うように障壁を展開した闇の書が眼前に浮かんでいた。

「「「「!?」」」」
「あれは・・・?」

闇の書から蛇のようなものが無数に這い出て本全体を覆い尽くした。

『自動防衛運用システム「ナハトヴァール」起動』
「待て!!今は違う!!我らはまだ戦える!!」
『守護騎士システムの維持を破棄。闇の書の完成を最優先。守護騎士システムは消去』
「ふ、ふざけんなっ!!」

ヴィータが激昂してアイゼンを振り上げようとするが・・・。

「「「「なっ!!」」」」

その前に黒いバインドのようなものが出現し、守護騎士全員を縛り上げる。

「ヴィータちゃん!?」

突然の出来事になのはは咄嗟にヴィータを助けようとしたが・・・。

「え!?何!?」

そのなのはも水色のバインドによってとらえられてしまった。

「なのは!?」

フェイトがなのはの方に振り向くと、あの仮面の男が宙に浮いていた。

「あの時の!?」

そしてフェイトは仮面の男に向かいだす。

しかし・・・。

「がっ!?」

フェイトの視界の外から衝撃が襲ってきた。

振り向くと、そこには今まで目視していたはずの仮面の男と同じ男がフェイトに蹴りを放っていた。

「そんな!?いつの間に!?」

移動した・・・と言葉を続けようとして、それに気が付いた。

「同じ人が・・・二人?」
「今はまだ待て」
「「!?」」
「時が来ればいずれ分かる。この方法が最も犠牲が出ない次善解であることが・・・」
「一体何の話?」

仮面の男が足止めしている間に闇の書は守護騎士と共のどこかに転移してしまった。




八神はやてが入院している病院の屋上にはやては転移していた。

「う・・・・ここは・・・・?」

はやては突然の転移に周りの様子を確かめる。

「・・!?みんな!?」

そこには茨のようなものに捉えられた守護騎士(家族)の姿であった。

『守護騎士システムよりコアを還元。頁蒐集完了』
「なんの話や・・・あんた・・・誰・・・?」
『覚醒の時です。我が主』
「そんなんええ!!みんなを返して!!」
『了解。守護騎士システムを完全抹消。コアモードで主に還元(かえ)します』
「あかん・・・ちゃう・・・そんなんちゃう!!・・やめてぇぇぇぇぇぇええええ!!」
『抹消』

はやての目の前でヴォルゲンリッター達が抹消され、そこにはかつてはやてが彼女たちの為に購入した服だけが残っていた。

「いや・・・・・」
『覚醒の時です』
「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

12月24日17:46。雪の降る聖夜(クリスマスイブ)

終わりが始まった。
 
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