サマーガーデン
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第一章
第一章
サマーガーデン
雨の多いイギリスでも。夏は爽やかな日が多くなる。
その夏のある日だ。サリー=リーマンは自宅の庭に出て草花の手入れをしていた。久し振りに晴れたのでその機会を逃さなかったのだ。
それで花や草を見て手入れをしていた。傍には飼っているコリーのヘンリーが気持ちよさそうに寝ている。そんなのどかな中で過ごしていた。
不意にここでだ。家の中から声がしてきた
「サリー」
「何、お母さん」
「どう?お庭は」
こう問うてきたのだった。
「奇麗?それとも荒れてる?」
「思ったより奇麗よ」
その茶色の豊かな髪を動かして振り向いた。青い目は湖の様であり細面の顔は白くだ。白いふわりとした服を着ている楚々とした美女であった。
それがサリーだった。彼女が庭の手入れをしているのだ。
その彼女にだ。家の中から彼女が少し年配になったといった感じの中年の女性が声をかけていたのだ。それが彼女の母のアンだった。
アンは少し庭に出てだ。そして言うのだった。
「そうね。奇麗ね」
「そうでしょ?結構ね」
「長い間お手入れできなかったからどうかと思ったけれど」
その庭は確かに比較的整っていた。雑草は少なく花も荒れていない。そうした状況でだ。その庭を見ながら話をしていくのだった。
「それじゃあね」
「どうするの?」
「薔薇。植えようかしら」
こう言うのだった。
「薔薇をね。どうかしら」
「いいわね」
サリーは母のその言葉に応えて頷いた。
「それじゃあ薔薇をね」
「色は何がいいかしら」
「白はどうかしら」
それをだというのだ。こう母に提案する。
「白薔薇ね。それでどうかしら」
「白ね。そうね」
アンもだ。娘の話を聞いて言った。
「それがいいわね。このお庭にも合うし」
「そうよね。だからね」
「それにお父さんも好きだし」
アンはここで夫の話もするのだった。
「だからいいわね」
「そうよね。じゃあ白薔薇ね」
「それにしましょう」
こう話してであった。サリーは庭に白薔薇を植えることにした。花は他にはカーネーションやマーガレット等もある。そこに薔薇もというのだった。
そして薔薇を植えはじめた。やはり横にはヘンリーが寝ている。そののどかな中で薔薇を植えているとだった。ふと外から犬の鳴き声が聞こえてきた。
「ワン、ワン」
「あら?」
犬の鳴き声だった。それを聞いて外を見るとだった。そこにはだ。
白い犬がいた。何か狼に似ている。サリーの知らない種類の犬だった。
「どの犬なの?」
「ああ、これですけれど」
そしてだ。今度は人間の声がしてきた。何処かたどたどしい英語であった。
「秋田犬です」
「秋田犬?」
「はい、そうなんです」
こうその少したどたどしい英語で返って来る。
「実は」
「秋田犬ですか」
「日本の犬です」
そうだというのである。
「日本の」
「日本ですか」
それを聞くとであった。サリーもその記憶を辿った。そして思い出した国は。
「アジアの東の」
「はい、そこです」
「何か随分と古い国だと聞いてますが」
「よく言われていますね」
また言葉が返ってきた。そしてそこにいたのはだ。
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