これも浮気!?
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第一章
これも浮気!?
宮下真礼には夫の淳司にも言えない秘密がある、それは何かというと。
夫以外に付き合っている相手がいるのだ、しかしそれは異性ではない。
同性の、中学からの友人ということになっている東隣真理子と付き合っている、真礼は一五五と小柄な方で黒髪をロングヘアにしている、大きな黒目がちの瞳と白い細面に小さな唇という女性らしい顔立ちだが。
真理子は黒髪を短くしていて背は高めだ、スラリとしていてボーイッシュな外見だ、着ている服も男性的だ。
その彼女と付き合っている、肉体関係もある。
しかしだ、真礼は夫にはこう言っていた。
「お友達と会って来るかな」
「女の子のだよね」
淳司は眼鏡の奥の優しい目で妻を見て応えた。黒髪で細い顔は実に優しい感じだ。仕事は証券会社に総務で勤めている。
その彼がだ、妻に言うのだ。
「東隣さんだったね」
「うん、真理子ちゃんとね」
あくまで友人としてだ、夫に話す。
「会って来るから」
「そう、わかったよ」
「それじゃあね」
こうした軽いやり取りで真理子と会って二人でデートをしてだ、最後は。
いつもベッドの中に一緒に入る、そしてそのベッドの中で。
真理子は真礼にだ、こう問うた。
「旦那さんだけれど」
「愛していないのかって?」
「そこどうなのよ」
隣に寝ている真礼に問うのだった。
「大丈夫なの?夫婦仲は」
「男の人はずっとね」
「旦那さんだけなのね」
真理子はその中性的な顔で言った。
「あくまで」
「そう、男はあの人だけよ」
「愛してるって言葉ね」
「男の人はあの人以外は絶対に嫌だから」
真礼もこのことは強く言う。
「浮気とか絶対にしないから」
「じゃあ私とはどうなのよ」
真理子は真礼に核心を問うた。
「私とは浮気なの?」
「浮気かしら」
「だって旦那さん以外の人とこうするのよ」
関係がある、それでというのだ。
「浮気じゃないの?」
「どうかしらね」
「その辺り私もどうかってわからないけれど」
「女同士だからね」
「あくまで旦那さんか彼氏の人以外の男の人とこうなることがね」
それが、と言う真理子だった。
「浮気よね」
「女同士はどうなるのよ」
「浮気かしら」
「けれど女の人もよね」
所謂同性愛は、とだ。真理子は真礼を見つつ話を進めていく。
「私だけよね」
「ええ、そうよ」
「あんたって昔からね」
それこそ真理子が彼女と知り合った時からだ。
「相手は一人よね」
「男女共にね」
「うん、男の人はね」
「旦那さんだけね」
「それはずっとよ」
変えないというのだ、このことを。
「それと一緒にね」
「女の人は、なのね」
「真理子ちゃんだけだから」
「私だけね」
「浮気はしないから」
「これが浮気じゃないの?」
真理子は首を傾げさせて真礼に返した。
「だって旦那さんがいてね」
「他の人とベッドの中にいるから?」
「私とのことが浮気じゃないの?」
こう真礼に問うのだった。
「そうじゃないの?」
「そうなるのかしら」
「私はそうじゃないかって思うけれど」
そこはどうかというのだ。
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