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目的は不純だった

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第三章

「まだだよ」
「おいおい、これ以上もてたいのか」
「そう言うんだな」
「そうだよ、もっとだよ」
 さらにというのである。
「俺はな」
「一体何処までもてたいんだよ」
「何処までいくつもりだよ」
「決まってるだろ、アルゼンチン一もてる男になってな」
 そしてというのだ。
「世界でもな」
「一番のか」
「もてる男になりたいのか」
「女の子にきゃーーきゃーー言われたいんだよ」
 とにかくこれに尽きた、今も。
「だからだよ」
「もっと凄い選手になるのか」
「アルゼンチン代表になるんだな」
「なってな」
 そして、というのだ。
「さらにもてるからな」
「アルゼンチンから世界へ」
「そうなるんだな」
「マラドーナを超えるぜ」
 もてる、という意味でだ。
「このまま」
「一体何処までもてたいんだよ」
「マラドーナ以上ってな」
「決まってるだろ、世界一だよ」
 彼は明るく笑ってチームメイト達にはっきりと答えた。
「俺は世界一もてたいんだよ」
「世界一かよ」
「世界一のもてたい男になりたいのかよ」
「そうだよ、なってやるからな」
「アルゼンチンの代表になってか」
「余計にか」
「見てろよ、マラドーナさんよ」
 今本人はここにはいないがだ、それでもこのサッカーの天才彼の国のその伝説の選手に対して言うのだった。
「俺はあんたを超えるぜ」
「マラドーナ以上のもて男」
「それをか」
「ああ、なってやるぜ」
 こう宣言してだ、サッカー選手としてさらに精進し。
 実際にアルゼンチン代表の一人にもなった、そしてさらに。 
 ワールドカップでもオリンピックでも活躍した、アルゼンチンチームはどちらの大会でも優勝したがその原動力の一つにもなった。
 それでだ、彼の人気はというと。
 さらに上がった、アルゼンチンから中南米、そして世界のスターになった。勿論世界の女の子達からもだ。
 凄まじい人気となった、その人気を受けてだ。
 彼はワールドカップの祝勝会においてだ、インタヴューの最中にこう言った。
「世界の女の子達、見ていたか?」
「おいおい、女の子か」
「それも世界か」
 記者達も彼のことはもう知っている、それで笑って言うのだった。
「男はいいのか」
「女の子か」
「いつも言ってるだろ、俺は女の子が好きなんだよ」
 ここでもこう言うのだった。
「だからな」
「女の子か」
「それも世界の」
「そうだよ、世界の女の子に告白するぜ」
 優勝した喜びと共に語る言葉だった。
「俺は皆好きだからな、応援してくれよ」
「そういえばあんた結婚はか」
「まだだよな」
「ああ、結婚の申し出も受けるからな」
 こう世界中の女の子達に対して言うのだった。
「待ってるぜ、俺は何時でも誰でも受けてるぜ。ただな」
「ただ?」
「ただ、どうしたんだい?」
「結婚相手は一人だからな」
 このことも笑って言う。
「先着一名だぜ、急いでくれよ」
「ははは、浮気はするなよ」
「結婚してからはな」
 記者達はその彼に笑って言う。やがてここで彼は実際に申し出てきた女優と結婚してそうしてであった。 
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