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ルドガーinD×D

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第二十九話:夏の終わりと転校生


蝉の声も少なくなり、ついに夏休みも終わりとなった日、
俺たちはこの一か月お世話になったグレモリー邸を離れ人間界に帰ることになった
別れを惜しむミリキャス君や、やたらイッセーにお義父さんと呼ばせようとするグレモリー卿、
それを諌めるヴェネラネ様らの見送りを受けて列車に乗り、久しぶりとなる駒王駅に降りたのだった





駅から出ようとした時一人の男が俺達の方に歩いてきた

「アーシア?アーシア何だろう?」

ん?あいつは確か若手悪魔の会合の時に居た……………誰だっけ?

「ディオドラ!?どうしてあなたが?」

ああ!!ディオドラだったな、すっかり忘れてた

「悪いけど僕は君に話があるんじゃないよ……アーシア僕だよ、忘れてしまったのかい?」

そう言ってアーシアに近づき、胸元を開いてきた――って、こいつ露出魔か!!?
……こいつは子供の手に触れない所に置いておかないとな(使命感)

「この傷!?……もしかしてあなたはあの時の……」
「そうだよ、あの時は顔を見せることが出来なくてごめん……僕は君に命を救われた悪魔だよ」

確かそれってアーシアが教会を追い出される原因になったって話のやつか

「アーシア、会合の時はお礼が出来なくてすまなかった、僕はずっと君にお礼を言いたかった…あの時、君に救ってもらい、出会えたことを僕は運命だと思っている………アーシア、僕は君のことが好きだ。僕の妻になってくれないか?」

……………は?
こいつは何を言ってるんだ?出会いがしらに結婚してくれだと?一体どんなラブコメだよ!!?
混乱する俺達をよそにディオドラはアーシアの手を取りその手の甲にキスをしようとした
が、その手はアーシアによって勢いよく振り払われてしまった

「ご、ごめんなさい、私――イッセーさんが大好きなのであなたとは絶対に結婚出来ません!!!」

そう言ってイッセーの手をしっかりと握るアーシア
ああ……思い出すなあ……ノヴァにふられて裏路地に飛び出したあの日を……
みんなと一緒に意気消沈するディアドラを憐みの目で見ながらそんなことを考える

まあ、そんな気落ちするなよな、人生悪い事ばっかじゃないから
そう言えば、あの時にルルを拾ったんだったな……ルルもあの時は細かったなあ……
と、話がそれたな、ともかく今の俺にはクロという家族がいるんだから人間生きてれば必ずいいことがあるってことだ
ネバーギブアップだ!!





「ふう……変なのに絡まれて遅くなったけど、ようやく家についたにゃ」
「変なのは流石にひどくないか?」
「変なものは変なものにゃ……そう言えばディオドラ・アスタルトってどこかで聞いたことがあるような……うーん、思い出せないにゃ」
「思い出せないなら大したことじゃないんじゃないか?」

ちなみに俺はそういう時は速攻で思い出すのを放棄している

「それもそうにゃ、それじゃあ、久しぶりの我が家に―「ちょっと待て、クロ」―何にゃ?」
ずっと、この言葉を言える日が来ることを願ってたんだ、しっかり言わせて貰わないとな
「おかえり、黒歌」
「…っ!!……うん…ただいま」

クロの笑顔を見ながらゆっくりとドアを閉める、そして俺たちは朝まで愛しあった――て、なに、勝手に変なナレーションを付けてるんだ?」

「にゃは、ちょっとした悪戯心と願望を言っただけにゃ」

この黒猫は……まあ、俺もずっと触れ合っていたくはあるが

「にゃ!!今ずっと抱きしめていたいって思ったかにゃ!!?」
「大体あってるがそこまでは求めてない、というか最近やたら俺の心が読まれてる気がするんだが?」
「だってルドガーすぐに顔に出るにゃ、しかも具体的に」

そんなに俺って顔に出やすいタイプなのか!?プライバシーゼロ状態じゃないか!!?
まさか、エルが俺の言わんとしたことを間違えたことがないのもそのせいなのか!!?

「ポーカーフェイスでも習得してみるか……」

せめてガイアスみたいに凄味がます程度に抑えたい

「ルドガーには無理にゃ」
「………………」
「ご、ごめんにゃ、謝るからドアを開けてにゃ!!」

謝るなら許そう、再びドアを開けてクロを向かい入れる
少しは反省してくれたことを祈ろう

「そう言えば家ではどっちの姿でいるつもりなんだ?」
「もちろん、人型にゃ、気分で変わるかもしれないけど」
「そうなると色々買わないといけないな……」

食器も買わないといけないし、その他諸々の物も増やさないとな、ああ、あと――

「ベッドも買わないとな」
「ダブルベッドかにゃ?私は狭くてもいいんだけど」
「いや、クロ用のシングルベッドだぞ?」

「「……………」」

無言のまま見つめあう俺達、いや、これは睨み合いと言った方が正しいか?

「何で一緒に寝てくれないの!?」
「いや、普通に考えてダメだろ?」
「私はルドガーの家族にゃんだから問題はないにゃ!!」
「いや、さ……その…間違えとかあったらいけないだろ?」

正直いって、一緒に寝てたら俺の理性が持つ気がしないから諦めてくれ

「私は……ルドガーになら何されてもいいにゃ//////」
「うっ!?」

やめろ、やめてくれ!!!顔を赤らめて上目づかいなんてしないでくれ!!?
俺の理性メーターが壊れてしまう!!!

「だ、ダメなものはダメだ!!!」
「むう、しぶといにゃ」

普段は押され気味だけど俺にだって飼い主としての威厳があるんだ!!
そう簡単に引くわけにはいかない!!俺は必ずこの威厳を守って見せる!!!






「マモレナカッタ……」

穏やかな朝日を浴びながら隣ですやすやと寝息をたてるクロを見つめながらそう呟く
仕方がなかったんだ……上目づかいプラス涙目、さらに猫耳をペタンと寝かしてから
『私のこと嫌い?』なんて言われて断れるわけないだろ……

もし断れる奴がいるならそいつは人間じゃない悪魔だ!!
て、俺、悪魔だったな
とにかくそれぐらいの破壊力だったと言いたいんだ

「はあ……朝食作るか、クロは………俺の腕に抱き着いてるのか……」

そう言えば、エルも一緒に寝たら抱き着いてきてたな……懐かしいな
そんなことを思い出しながらエルの時の様にそっとクロを引き離す――

「あれ?離れない……よっ!!…………離れない」

引き離せない……がっちりとホールドされた俺の腕はびくともしない
仕方がないので引きずるようにようにして抜き出そうとする

「…ん///……そこはだめにゃああ……///////」

ダメだ、クロのふくよかな胸に当たってクロが色っぽい声を出している//////
……ん?声?

「クロ……お前起きてるだろ?」
「にゃは♪ばれた?」
「はあ……起きてるなら離してくれないか?」
「ええ!!もっと一緒に居たいにゃ」
「俺もそうしてたいけど、学校があるから勘弁してくれよ……」
「むう……わかったにゃ」

そう言ってしぶしぶといった感じで離すクロ
はあ…毎日こんな事してて俺の理性持つかな?





クロに見送られつつ久しぶりの学校へと特に何事もなく登校し、久しぶりに会うクラスメイト達と挨拶をかわす、その際イッセー以外の男子が俺との身体的接触を避けようとしていたのが妙に気なった……俺なんかしたか?

「なあ桐生、なんか俺避けられてないか?」
「え?き、気のせいじゃない?それよりもこのクラスに転校生が来るみたいよ」

やっぱりなんかあるな……おかしいな、借金を背負ってるわけでも指名手配されてるわけでも痴漢冤罪をかけられてるわけでもないのにな…まあ、今は気にしなくていいか
それにしても転校生か、どんな子何だろな




「初めまして!!紫藤イリナでーす!!イリナって呼んでください!!!」

そう元気よく自己紹介するのは長い髪をツインテールでまとめたいかにも活発そうな女の子の紫藤イリナだ、ちょっと雰囲気がレイアに似てるな
そういえば、エルは一人で髪を結べるようになってるかな?
エルが大きくなったらあんな感じな髪形になるんだろうか?
……何だか久しぶりに髪を結ってみたくなったな、今度頼んでみるか?

「イリナ!?何でお前がいるんだよ!!?」
「まあまあ、それは後でね」

俺があの二人に面識があったのかと不思議に思っているとゼノヴィアが耳打ちしてきた

「イリナはイッセーと幼馴染らしい、前にそう聞いた」
「へえ、そうなのか」
「そして、私の元同僚、つまり聖剣使いだ」
「っ!?それって天界勢力ってことだよな?」
「ああ……イリナがなぜ駒王学園に来たのかは私にも分からんがな、まあ後で話すだろう」
「そうか……」

良く分からないけど、まあ、今は敵勢力ってわけでもないから警戒する必要はないか
俺も自己紹介でもするか

「初めまして、俺はルドガー・ウィル・クルスニクだ、ルドガーって呼んでくれ」
「うん、よろしくねルドガー!!」

この感じ…やっぱりレイアに似てるな、変なダジャレとか好きかもしれないな

「お気にイリナ料理とかあるか?」
「うーん、色々あるけどやっぱり和食かな、食べなれた味っていうかなんというか…」
「そ、そうか、良かったら今度作ってみようか?料理は得意なんだ」
「え!?ホント!!ありがとねー!!!」

ダジャレはスルーされたけど自己紹介としてはいい感じだよな、俺

「む?さっきはお気に入りとイリナを掛けていたのか?気づかなかったぞ」

やめてくれよ、ゼノヴィア!!ダジャレなんて解説したら寒いだけじゃないか!!!
俺にはイバルみたいに自分から解説するメンタルがないんだから許してくれよ!!!

「あ!!ホントだ!!気づかなくてゴメンね!!!」
「くうぅ……」

もう…もう二度と安易にダジャレを言ったりなんかしないぞ……!!

「そう言えば、さっきこんな本受け取ったんだけど何か分かる?」

ん、本?俺も転校生として駒王学園に来たけどそんなの貰ったか?
どれどれ――

『プリンス×コック』
「………………………」
「ちょっと!?何で破ろうとするの!!?」

タイトルを見た瞬間、イリナの腕からいかがわしい本を奪い取り破りさろうとする
しかし、イリナの制止を受けてギリギリで踏みとどまる
………この本凄まじく嫌な予感がする……

「何だか分からないけど、中を見てからでも遅くないんじゃないの?」
「そうだぞ、ルドガー、私も少し興味が出てきた」
「俺も、俺も」
「みなさん何をしているんですか?」

何でイッセーとアーシアも来ているんだよ!!?
いいのか?これを見たらひどい目に合う気がするぞ!!?
主に俺が!!!

「じゃあ、開くよ?」
「「「ああ(はい)」」」

ちょっ!?俺の同意は!!?
そんな俺の心の叫びを無視してイリナが勢いよく本を開くそこには――
――俺をベッドに押し倒す祐斗の図があった

「アウトオオオオオッ!!!??」

勢いよく本を閉じる俺、そしてそんな俺を凄く憐れんだ表情で見つめるみんな
さりげなくイッセーが俺から離れようとしているのはきっと気のせいじゃない

「おい、イリナ、誰だこれを渡した奴は?」
「えーと……ゴメン、それ言っちゃうとルドガー渡した人殺しちゃいそうだから言えない」
「分かった、俺が死ねばいいんだな?」
「ちょっ!?ルドガー、何、窓から身を乗り出してるんだよ!!?」
「ああ、イッセー、ロープか紐を持ってないか?出来れば首をつりやすい長さのやつ」
「「「いいから落ち着け(着いてください)!!!」」」

ごめん兄さん、俺もうすぐそっちに行くよ


 
 

 
後書き
うーん……自分はカオスな作品を書く方が合っているのか?
ルドガーさんの扱い方にふとそう思いました。 
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