ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者
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第九十四話 油断
前書き
遅くなりました!!
ロキが呼び出した神喰狼が現れた事によった、周りの攻勢が逆転してしまった。フェンリルには神をも噛み殺す事が出来る牙を備えている。赤龍帝やら他の上位クラスの面子が恐れるのも無理はなかった。
「フェンリル!?何なんだよ!?あいつは」
「神をも殺せる牙を持っている狼、フェンリルだ!!イッセー!!あいつ噛まれたら一環の終わりだと思え!!いくら強力な竜の鎧を着ていると言っても、奴から見たら布切れと同じようなものだ!!」
闇慈は声を振るい立てるように一誠に説明する。
フェンリルの詳細を知っている闇慈はこめかみに汗を流しながら、苦虫をかんだ表情を浮かべていた。一誠に説明はしていたがそれは自分にでも同じ事が言えた。
神をも殺せると言う事は言い換えれば、【誰でも容易く殺せる】という事になる。
(奴は牙だけじゃない・・・俊敏さも伊達じゃない程を備えているだろう)
「本来ならば北欧の者以外に我がフェンリルの牙を使いたくないが・・・まあ、良いだろう。息子に北欧以外の血を覚えさせる良い機会だな」
ロキのその言葉に一誠と闇慈はハッと悪寒が遮った。
「魔王の血筋・・・それを舐めるのもフェンリルの糧になるだろう、やれ」
二人の予感は的中し、その瞬間フェンリルが遠吠えを発すると神速のスピードでリアスに飛びかかったがそれより先にフェンリルの目の前には一誠が拳を引き絞っていた。さらにフェンリルの体の周りには無数の蝙蝠達が群がっていた。
「これは!?」
ロキはフェンリルに群がる蝙蝠達に少し驚いているようだ。闇慈は持っていたデスサイズ・ヘルを消し、ネヴァンを取り出すと弦を高速で弾き蝙蝠達を操っていた。
「「部長に触るな(んじゃねぇ)ーーー!!」」
一誠は右のストレートをフェンリルに叩き込み、その瞬間闇慈は蝙蝠達を一斉に放電させ強力な電撃を浴びせた。打撃と電撃にひるんだフェンリルは目の前の一誠から距離をとった。それを確認した闇慈はネヴァンを担ぎ、一誠に近寄る。
「イッセー!大丈夫か!?」
「ああ。大丈夫だ・・・それよりも部長!大丈夫ですか!?」
「え、ええ。イッセーが守ってくれたから大丈夫よ。それとさっきの放電はアンジなの?」
「はい。この魔具ネヴァンのおかげです!この武器はですね・・・」
闇慈が二人にネヴァンの説明をしようとした途端・・・一誠が血を吐いた。そしてよく見るとバランス・ブレイカー状態の一誠の鎧の腹部が大きく抉れていた。
闇慈はまさかと思い、フェンリルと見ると片足の爪が血で染まっていた。
「あ・・・れ・・・・?俺は・・・」
一誠はそのまま力尽きるように倒れ付した。
「「イッセー!!」」
闇慈とリアスは悲痛の声を張り上げる。一誠の周りには彼の血が流れ出ていた。
闇慈は即座に馬車の中で待機しているアーシアに大声で促す。
「アーシア!君のセイクリッド・ギアでイッセーの傷を癒せ!このままだとイッセーは死んでしまうぞ!!」
「はい!!イッセーさんは死なせません!!」
アーシアは癒しの力をオーラに具現させ、それを一誠に向かって放とうとするが・・・
「そうはさせん。赤龍帝、貴様の力はやはり危険だ。これを逃すわけにはいかん、いけ!フェンリルよ!!」
ロキは一誠の力を恐れたのかこの機会を逃すまいとフェンリルに一誠を殺すように指示を出すが闇慈はネヴァンからデスサイズ・ヘルに変えると憑依死神と明鏡止水を同時に発動させ、フェンリルに斬りかかる。
「やらせるか!!」
闇慈は魔力を足に留め、神速の速さで斬りかかるがフェンリルはそれを交わすが、体の一部に切り傷が入る。フェンリルは声を上げなかったものの、歯をガチガチと食いしばり、痛みに耐えているようだ。
「これなら!!」
闇慈はロキを他の人が抑えてくれているこの機会にフェンリルを倒そうと再び切り掛ろうとするが・・・
ズキッ!!
「グッ!?」
闇慈の片足に激痛が走り、動きが鈍った。見てみると片足から血が流れ出ていた。一誠よりは軽いがそれでもかなりの量が出ていた。
(俺のデスサイズ・ヘルを避けた時か・・・ちぃ!!)
闇慈は六枚の翼を広げると動けない事をカバーするが目の前にはこの瞬間を待っていたかのようにフェンリルがもう片方の足を噛み付こうとしてた。しかし牙が当たる瞬間、咄嗟の動きでダークネス・クロスをフェンリルの鼻に放った。
フェンリルは捉えてた闇慈の片足を完全に噛み付く前にダークネス・クロスを避けるが・・・・闇慈は完全に防ぐ事は出来ずにフェンリルの牙の先端を片足に受けてしまった。
それに伴い先程とは比べようのない血がもう片方の足から流れ始めた。
「グ!!フェンリルに噛まれた足に痛みがないが・・・動かせない・・・あの軽い噛み付きだけで神経と筋肉が切れたのか・・・もう少し遅かったら俺の足は食われてたな・・・だが」
闇慈は傷口を抑えながら解析していたが、フェンリルの方もダークネス・クロスを完全に避けることが出来ずに鼻に切り傷を負っていた。
敏感な鼻を傷つけられた事によってフェンリルは痛みに悶えてた。闇慈は失血による意識放出と戦いながら、フェンリルを見据えていた。
(来るなよ・・・今来られたら俺は満足に戦えない)
闇慈は魔力で傷を少しずつ癒していたが焼け石に水だった。歯を食いしばり耐えていたが、突然フェンリルが居なくなった。見てみるとヴァーリや美猴がロキと対峙しており、分が悪いと感じたロキはオーディン達に会談の日に再び現れる事を告げるとそのまま居なくなった。
闇慈はそれを確認すると気が抜けたのか六枚の翼が消え、地面に激突しそうになったが小猫が受け止める。しかし小猫の表情は焦りに満ち溢れていた。
「闇慈先輩!しっかりして下さい!!」
「小猫ちゃん。ゴメン、油断しちゃった・・・悪いけど、少し休ませ・・・」
闇慈は失血に耐えられなくなったのかそのまま項垂れるように意識を手放してしまった。
「先輩・・・?闇慈先輩ーーー!!!」
後書き
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