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エターナルトラベラー

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第五話

そんな出来事から3年。

俺は12歳になっていた。

魔法のほうも順調な様でそうでもない様な感じで未だトライアングルにはなれず。

最高値280、回復量47パーセントと言ったところか。

ようやく一日で全体の半分の回復量だ。

ソラの方ももラインになり、やはりトライアングルへの取っ掛かりが掴めずに居る。


さて、ここ最近の俺の気がかりは、恐らく居るであろう他の転生者についてだ。

俺、ソラがここに居る以上、他にも居ると考えるのは当然だろう。

そんな時耳にしたのがここ数年で飛躍的ににその領地を繁栄させている貴族の噂。

何でも誰も考えつかないような方法でその領地を豊かにしているそうな。

内政チートオリ主ですね。わかります。

ド・ミリアリア

ここ数年でその領地を繁栄させている領。

そこの長男が鬼才で数々の改革を行い領地を発展させたらしい。

彼自身も四極という二つ名を与えられる魔法の天才らしい。

4系統ともスクウェアレベルまで達した神童だそうだ。

メイドの話に聞くとハルケギニアでは今まで無かった類の日用品の売り出し。

更にそれを平民でも購入できる様に大量生産技術の向上も行っているらしい。

農地の方も一切の休眠期間なく作物を育てているとか。

間違いなく転生者。

それも自分とは比べ物にならないほどにチートぶり。

さて、どうした物か。

彼とコンタクトを取ってみるべきか否か。

とは言え全く何の関わりもない上に、丁度自領から反対側にある。

行くと成れば結構な日にちを有するだろう。

…まあ、同じ転生者だからといって好意的に迎えてくれるとは限らない。

まだ原作開始まで時間はあるし様子見かな…








更に一年が過ぎたある日、俺達はドクターの呼び出しで古屋を訪れている。

「ドクター?」

ドアをくぐり、ドクターに声をかける。

「ああ、ようやく来たか。まあ、かけなさい」

「はい」

返事をして俺とソラはそこらにあったイスを引っ張り出して座った。

「ついに完成したのだよ」

「はい?」

「君が頼んでいたのだろう?使い魔のルーンを任意に刻む事は出来ないのかと」

そうだった。

ブリミルの時代は自分でルーンを使い魔に刻んでいたとったようなことを記憶の片隅に記憶していた俺は、ドクターに頼んで研究してもらっていたのだ。

「まあ、刻めるとは言っても精神力がある生物に限る上に発動自体にも色々制限を設けた上でどうにかだがね」

「それで十分。それに刻んで欲しいのは動物じゃなくて俺自身だしね」

「ほお、人間にか?」

「そう。それに刻んで欲しいルーンはもう決まっているんだ」

そういって俺はドクターの部屋にあった本棚から使い魔のルーンの一覧が掲載されている本を取り出す。

というか、こう言った普通手に入らない本まで手に入れているドクターに脱帽する。

「これ」

ページを捲り、俺はそのルーンを指で指す。

「これは…ほぉ、面白い。良かろう、こちらに来たまえ」

そうドクターは研究室まで移動した。

俺とソラはその後をついて研究室まで入る。

「何処に刻めばいいんだ?」

「左手に」

「そうか」

そして俺は案内されたイスに座らされた。

「ん?」

座らされたイスに腰をかけ腕を肘掛にかけるとなにやらドクターは俺の全身を紐で拘束し始める。

「ドクター?」

その行動をみてソラがドクターに質問する。

「大丈夫だ」

何が大丈夫なのか解らないがどんどん俺の体を拘束していく。

拘束し終えるとドクターは一度離れ、何処からか焼きこてのような物を持ち出した。

「それは?」

恐る恐る俺はドクターに質問する。

「この道具で一文字一文字ルーンを刻んでいくわけだが」

なんだろう、凄く嫌な予感がする。

「恐らく凄く痛いから頑張りたまえ」

そう言ってドクターは俺の左手にその道具を押し付けた。

「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

痛い。

凄く痛い。

手と言うより魂?が痛い。

「アオ!?」

俺の叫び声にソラが心配して声をかけた。

「ドクター!?大丈夫なんですか?」

「大丈夫だ」

「でも、水の秘薬で眠らせるとか」

「恐らく無駄だ。これは肉体に刻んでいるというよりその内面。精神や魂と言った物に刻んでいるのだから」

質問に答えながらもドクターはルーンを刻むことを辞めない。

それから一時間、俺は地獄のような痛みを味わった。

最後のルーンが刻まれた瞬間、俺は痛みから解放された事でようやく意識を失う事が出来た。



あれから何時間気を失っていただろうか。

俺はようやく意識を取り戻した。

気が付くと俺はベッドに寝かされていた。

ドクターが運んだのだろか。

「気が付いた?アオ」

ベッドの側で看病してくれていたソラが声をかけて来た。

「体は大丈夫?」

「ああ、大丈夫だ」

「起きたかね」

ドアを開けてドクターが入ってくる。

「無事ルーンは刻めたと思うのだが」

おれは左手を確認する。

「本当だ」

そこには確かにガンダールヴのルーン。

「伝説の使い魔ガンダールヴその効果はいったいどんな効果なのだろうね?」

ドクターが興味深々に聞いてくる。

「ガンダールヴは総ての武器を使いこなす」

「武器?」

俺はソルを起動して左手に持ち直す。

すると光輝くガンダールヴのルーン。

俺はベッドを抜け出し、ルーンで強化された肉体で高速の動きでドクターの背後に回りこむ。

「興味深い。なるほど、神の左手か。だが私たちエルフにしてみれば聖者アヌビスと言ったほうが親しみが深い。もはや確かめようも無いが、その輝く左手。恐らく同一と考えて間違いないのだろうね」

と、其処まで聞こえたところで俺は再び意識を失った。

「アオ!?」

「ふむ、精神力の使いすぎで気絶したようだ。恐らくルーンの発動に自分の精神力を多大に消費したのだろう」

その日、二回もの気絶に見舞われた俺は、次目を覚ました時は既に翌朝だった。

俺とソラが屋敷へと戻らなかった事で、屋敷は大慌て。

しばらくの外出禁止が執事から言い渡されてしまった。




痛い思いをして手に入れたガンダールヴのルーン。

これで俺は最強オリ主に!

と、思ったが。やはり俺には最強属性はついていなかった様だ…

使ってみて解った事だが、ガンダールヴ(偽)を使用中、精神力を毎分10ずつ使用する。

更に発動中は左目に埋め込んだ写輪眼まで強制発動。

つまり毎分20の精神力が削られていく。

俺の精神力の最高値は300.

つまり何もしなくても俺は15分後には精神力切れでぶっ倒れる。

しかしそれは最高まで回復していての状態。

普段の精神力は150ほど。

さらに魔法使用も考えるとやはり3分が限度。

くそう…

せめてもの救いはルーンの発動条件が左手で触る事だという事だろう。

本物のガンダールヴと違い左手で武器を触って居なければ発動しない。

良かった…

これで右手で触れても発動されていたら俺はこれから碌に魔法を使えないところだった。

ただしこれから魔法を使う時は右手一本で使わなければ成らなくなってしまったが…

鬱だ…

俺は例によってまた二ヶ月ほど引きこもったのだった。



それから更に二年。

原作開始まで残りおよそ2年。

15歳になった俺は最大のピンチを迎えていた。

二次成長を迎え、どんどん女らしくなって行くソラ。

しかし、未だに一週間に一回のペースで俺のベッドに潜り込んでくる。

精神年齢はともかく、実年齢は思春期真っ盛りの俺。

ぶっちゃけ堪らんです。

前世はアレだった為にこうして魔法使いとして転生してしまった訳だが、興味が無いわけではない。

しかも年々美人になっていくソラの女の香りに当てられて俺の理性は崩壊寸前。

今日も俺の横で無防備に眠って居るソラ。

俺が精神力を総導入して本能に逆らっていると、隣から囁きが聞こえた。

「無理しなくても良いのに」

ソラのその言葉に俺は今まで耐えてきた理性が崩壊してしまった。


しばらくして俺はようやく冷静さが戻ってきた。

やってしまった。

今も俺の横で眠っているソラ。

しかしベッドのシーツには紅い染みが…

「俺は…俺は何てことを」

そう呟いた俺の独り言を部屋の隅に置かれて一部始終を見ていたいたルナが、

『アイオリアはマスター(ソラフィア)の策略にまんまとはまってしまったのですね』

『策略?』

ルナの隣りに置いてあったソルが聞き返す。

『マスターはどうやってもアイオリアを手放す気は無いようです』

『………』

「俺は…俺は!」

こうして夜は更けていった。



さて、そんなこんなで更に一年が過ぎ、俺は16になっていた。

ようやく俺とソラも努力の甲斐もありトライアングルにレベルアップしていた。

足せる系統は 風・風・風だ。

予定ではこの年ルイズが魔法学院に入学するだろう。

俺も年齢的には学院に通う年齢だが、俺は入学を遅らせていた。

入学年齢が決められている訳ではないのも有るが、一番は無闇にルイズに近づかない方が賢明だろうと判断したからだ。

俺だって物語の推移を間近で見たいという欲望は有るが、それ以上に物語を壊すべきでは無いと思ったからである。

俺は最強オリ主ではないのである。

更に言えば俺が前世で生きていた頃、未だにゼロ魔が完結していたわけでは無かったのもある。

なんか世界の滅亡何ていう事までスケールめで話しがでかくなっていた様な気がするが、詳細は知らないのだ。

もしも俺が関わることによって世界が滅亡してしまうような展開になってもらっては困る。

主人公達がきっと上手く滅亡を回避してくれるだろう。

俺はそれに直接関わらず、オラン領の端でソラとのんびり、しかし少しのスパイスのある日常が送れればいいかななんて思い始めている。

日々平穏。これが大事だよね。


しかし、その選択で1つ忘れていた事に気が付いたのは更に半年が過ぎた頃だった。

そう、俺とは違い正にチートオリ主がルイズと同じ時期に入学していたのだ。

それに気が付いたのは偶々王都から届いた兄からの手紙からだった。かのミリアリアの神童が魔法学院に入学したと近衛ではもっぱらの噂だそうだ。

主人公組と同時期に魔法学院に入学するなんて…

余り原作から反れた事態にならなければいいけれど…

それすらも近くに居なければ解らない事か…

取り合えず俺は来年の魔法学院の入学を決めるのだった。 
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