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恋をしてはならない

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第二章


第二章

「それではだ。今よりカタコンベに行きだ」
「その場で、ですね」
「私達は」
「結ばれるのだ。愛によって」
 地下の礼拝場に連れて行ってだ。そのうえで二人を結ばせた。彼等はこれで幸せを手に入れた。だがヴァレンティヌスはだ。
 このことは何時しか皇帝の耳にも入った。結ばれた二人はそのまま手に手を取ってローマを後にした。ヴァレンティヌスはローマに残り信仰を続けていた。その彼がカタコンベで礼拝をしていた時にそのカタコンベを見つけた兵士達に捕まってだ。そのことも皇帝の耳に入ったのである。
 それを聞いた皇帝は激怒した。そうしてであった。
 直々にヴァレンティヌスを尋問してだ。左右の兵士達にそれぞれ両手を捕らえられている彼に問うのだった。跪かせられているとはいえその姿はあの主を思わせるものだった。
「何故兵士達の婚礼を許した」
「神が許されたからです」
 捕らえられていてもだ。彼は毅然としていた。顔をあげて皇帝に答えたのである。
「だからこそです」
「私は許してはいない」
 皇帝の声は明らかに怒っていた。
「皇帝である私はだ」
「ですが神は許されました」 
 ヴァレンティヌスはまだ言う。
「ですから」
「そう言うか。しかしローマの法は知っているな」
「はい」
「キリスト教徒は死刑だ」
 まずはこのことを告げた。
「そしてそなたは私の命令に背いた。皇帝である私のな」
「ではそうされるといいでしょう」
「この男を処刑せよ」
 皇帝は周りにいる兵士達に厳かに告げた。
「すぐにだ。よいな」
「はっ、それでは」
「すぐに」
 こうしてヴァレンティヌスは連れて行かれた。だが彼は最後まで毅然としていた。そうして絞首刑にされるその時にだ。彼は言った。
「神は許される」
 これが最後の言葉だった。こうして彼は殉教した。
 そして今だ。日本という国ではだ。その日はまさに戦場だった。
 お菓子屋ではだ。店員達がチョコレートを売るのに必死である。次から次に様々な形のチョコレートを売っていく。黒いものだけでなく白いものもある。
 その中でだ。店員達はこんな話をしていた。
「なあ、今日はな」
「バレンタインか?」
「何の日なんだ?そもそも」
 一人がこのことを言うのだった。
 
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