ウルキオラの転生物語 inゼロの使い魔
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第1部 ゼロの使い魔
第2章 ゼロの使い魔
男がドアを開け、中に入ると一人の老人がウルキオラに向かって頭を下げていた。
「貴様…なんのつもりだ?」
ウルキオラは殺気のこもった声で言い放つ。
「も、申し訳なかった。何やら騒がしかったのでつい気になってしまったのじゃ」
老人は怯えながら答えた。
「まあいい」
ウルキオラがそう答えると老人は感謝の意を添えた。
「そ、そろそろ貴方のことを教えていただきたいのですが…」
男は恐縮しながら言った。
「そうだな…だか、俺も貴様らのことを知らん。そこの女がルイズということしかな…先ずは貴様らの名を教えろ。俺の事はそれからだ。」
「そ、そこの女ってなによ!バカにしてるの?」
ウルキオラがそういうと、ルイズが反論する。
しかし、ウルキオラは無視した。
男が口を開いた。
「これは失礼しました。そういえば自己紹介がまだでしたな…私はここで火の魔法を教えているコルベールと申します」
先ほどの老人がコルベールに続いて言った。
「儂はこの魔法学院で学院長をしておる。オスマンじゃ」
最後に、緑色の髪を腰まで垂らした女が言った。
「わ、私はオスマン学院長の秘書を務めさせていただいているロングビルと申します」
ルイズも名乗ろうとしたが、ウルキオラが貴様はいいと言ったので名乗らなかった。
ルイズはウルキオラに文句を言うが無視された。
「俺はウルキオラ…ウルキオラ・シファーだ」
ウルキオラが名乗ると、老人が口を開く。
「ウルキオラ君か…して、君はいったい何者なんじゃ?」
「口で説明するより見た方がはやい」
ウルキオラはそう言って、目を抉りだした。
それを見た四人は、固唾を飲んで見守る。
「共眼界」
ウルキオラは目を砕き、四人に映像を見せる。
頭の中に直接映像が送られてきたので、四人は驚いている。
映像には夜の砂漠が映っていた。
「ここが俺のいた世界、虚圏だ」
「これは…エルフの国ですか?」
「エルフの国がどうゆうところか知らんが、全く別の場所だ」
映像は白い仮面を被った化け物に変わる。
「な、なんですか!この化け物は!?」
「これが俺たちの種族だ。名は虚という」
「た、確かにあんたの顔にも白い仮面があるけど、これあんたに全然似てないじゃない」
「俺はこの上位種だ」
映像を破面に切り替える。
「仮面をはいで、力を手にした者たちだ。名を破面という。俺もこいつらと同じだ」
「な、なんと…化け物から人間になるのですか?」
映像を十刃に切り替える。
「そして、破面のなかでもより殺戮能力に優れた奴を十刃という」
「あんたもこの十刃…なの?」
「まあな…そして十刃はその名の通り十人いる。そして殺戮能力が高い順に一〜十の数字が与えられる」
「ということは…一の数字を持つ十刃が一番強いということですか?」
「ああ…そして十刃はそれぞれ人間を死に至らしめる死の形を司っている」
「人間を死に至らしめる…死の形…ですか?」
「ああ…そうだ…第10十刃から順に、憤怒、強欲、狂気、陶酔、破壊、絶望、虚無、犠牲、老い、孤独だ」
「虚無!?…虚無ですって?」
ルイズは驚いたように言った。
「どうした?…虚無に何か思入れでもあるのか?」
「虚無は我々の世界では失われた魔法なんじゃよ」
「そうか…だが俺たちの世界では魔法ではなく、死の形だ。貴様らの言う魔法とは根本的に違う」
「そのようじゃな…」
ウルキオラは映像を止めた。
「分かったか?」
「うむ…実際にこうして見せられてはのー…」
「そうですわね…信用に値すると思います」
「そうか…」
少しの沈黙があった後、ルイズが口を開く。
「あ、あんたは…その…十刃ってやつなんでしょ?」
「ああ」
「じゃあ、あんたは一体何番目なの?」
ルイズがそう言うと、コルベールが口を開く。
「確かに気になりますな…」
「あれ程の魔力を持っておるのじゃ…一か二辺りが妥当じゃろう」
オスマンはウルキオラにディテクトマジックを放っていたので、ウルキオラの魔力量を知っていた。
オスマンがそういうと四人がウルキオラを見る。
「まあ、教えてやってもいいか…」
ウルキオラはそういうと、服のファスナーを下ろした。
すると、胸元の穴と数字がみえる。
まず、胸の穴に視線がいく。
「あ、穴が…。い、痛くないのですか?」
「これは虚になる時に失った。痛みはない。生命を維持する上で問題もない」
「そ、そうですか…」
「本当に人間ではないようじゃの〜。」
「ああ」
次に、左胸に刻まれた数字に目を移す。
「え…四…ですか?」
「な…」
「四…じゃと…」
「四…ですって…」
どうやら、ウルキオラの力はルイズたちには大きすぎたみたいだ。
「ああ、第四十刃 ウルキオラ・シファーだ」
驚きの余り、四人とも呆然としていたが、ルイズがあることに気づく。
「ちょ、ちょっと待って…四ってことは、司る死の形は…」
そして、他の三人も気づいたのか驚愕する。
「ああ、俺は第四十刃…司る死の形は…」
少し間を開けて言った。
「虚無だ」
その後、ウルキオラはオスマンからこの世界のことを聞いた。
どうやら、ここはトリステインという国らしい。
そして、この場所はトリステイン魔法学院という魔法を学ぶ場らしい。
オスマンがウルキオラにある提案をしてきた。
「ウルキオラ君…君に一つ提案があるんじゃが…」
ウルキオラは少し驚いたが、聞いてみることにした。
「なんだ?」
オスマンは真面目な顔で答えた。
「ミス・ヴァリエールの使い魔になってくれんかの?」
オスマンがそう言った瞬間、コルベールとロングビルは口を揃えていった。
「「オ、オールド・オスマン!!」」
「それはこの女の下に付けということか?」
ウルキオラは霊圧を解放し、威嚇した。
その瞬間、大気は震え、部屋は地震が起きたかのように揺れた。
「ま、待っておくれ!なにも奴隷のように仕えろと言っているわけではない…ミス・ヴァリエールの手助けをして欲しいのじゃ!」
ウルキオラはそれを聞いて霊圧を抑えた。
霊圧を抑えたので、大気の震えは止まった。
オスマンを含めた四人は安堵した。
「そうか…まあ、この世界でやる事もないしな…いいだろう…使い魔になろう。女の世話は二度目だ」
その言葉にルイズは驚いた。
「え?ほんと!?私の使い魔になってくれるの?」
「ああ、それで、俺は何をすればいい」
ウルキオラが使い魔になる事に疑問があるのか、コルベールが口を挟んできた。
「な、なぜ貴方ほどの力を持った人が…」
「ただの暇つぶしだ」
ウルキオラとコルベールの話が終わるのを見て、ルイズが言った。
「じゃあ、先ずは私の部屋に行くわよ」
「なら早く案内しろ」
ウルキオラはルイズより先にドアに手を掛け、オスマンに向かって言った。
「失礼する」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
バタン…と、ドアが閉められ、部屋にはオスマンとコルベール、ロングビルが残った。
オスマンが口を開いた。
「ミス・ヴァリエールはとんでもない奴を呼び出したもんじゃな…」
「ええ…そうですね…私は、今日ここで死んでしまうかと思いましたわ…」
コルベールはそそくさと退散しようとする。
それを見たロングビルはコルベールに質問する。
「あら、どうしたんですか?ミスター・コルベール?」
「いえ、ちょっと調べたいことがありまして…これにて失礼します」
「そうですか…」
バタンとドアが閉まり、部屋を静寂が支配した。
「それで、オールド・オスマン?」
ロングビルは少し怒った様子で言った。
「な、なんじゃ?」
オスマンも心当たりがあるのか、どことなく余裕がない。
「またネズミを使って、私のスカートの中を覗きましたね?」
ロングビルは杖を持ちながら言った。
「いや、わ、悪かっ…」
「問答無用!」
「ぎゃあああああぁぁぁぁぁぁ」
オスマンは頭に土の塊をぶつけられ、気絶した。
ウルキオラはルイズの部屋に入り、一つ気になっていた事を質問した。
「それで、使い魔は何をすればいい?」
ルイズは悩んだ後答えた。
「そうね…全部で三つあるんだけど…貴方は二つだけやってくれればいいわ」
「なんだ?」
「一つは、毎朝私を起こして、洗濯物や掃除をすること。二つ目は私を守ること」
「まあ、いいだろう」
ルイズは少し驚いた。
「以外と素直なのね…」
「黙れ」
「な、何よ、褒めてあげたのにー!!」
「煩い…早く寝ろ」
「あんた明日ご飯抜き!」
「そもそも必要ない」
ルイズは指をならし、部屋の照明を消す。
(ほう、便利なものだな)
ウルキオラは窓に手を掛け空を見つめる。
(月が…二つ…だと?)
ウルキオラは再び異世界に来たことを実感する。
(人間…心…か)
ウルキオラは近くにあった椅子に座り、朝までこの二つのことについて考察していた。
ルイズは最初はウルキオラの存在に怯えていたが、使い魔になってくれるということで、内心大喜びであった。
(ちょっと生意気だけどあいつが来てくれてよかった!これでもう誰にもバカにされないわ!なんたって、キュルケのサラマンダーよりすごいのを召喚したんだもの)
ルイズは布団の中で笑みを浮かべながら、意識を落とした。
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