告白させて

第五章

「どうせ告白して振られるのが嫌なんだろうな」
「っていうか怖い？」
「そうだよな」
　このことも見抜かれていた。誰にもだ。
「告白して振られるのが怖い」
「そういうことか」
「自分から言って」
「それだったら」
　ここで話が動いた。
「もう一方が動けばいいんじゃ？」
「もう一方っていうとそれって」
「岡村さん？」
「理佐？」
　彼女のことが話に出て来た。
「あの娘が動けばっていうの？」
「そういうこと？」
「ああ、それだよ」
　言いだしっぺの言葉である。
「岡村さんが言えばどうかな」
「理佐ねえ」
「あの娘が言うの」
　女の子達の顔が微妙なものになった。
「何かそれってあまり柄じゃないけれど」
「理佐にはね」
「そうよね」
　彼女達の顔はいぶかしむものになっていた。賛成していないのは明らかである。
「ちょっとねえ」
「理佐ってそうしたことには疎いからね」
「恋愛とかにはね」
「ああ、そうだよな」
「岡村さんって彼氏いないしな」
　男連中もその言葉に頷く。
「雨宮に見られても戸惑ってるばかりだしな」
「恥ずかしいと思ってるけれど」
「けれどあれよ」
　女の子の一人の言葉である。
「理佐もあれでまんざらじゃないから」
「あっ、そうなのか？」
「まんざらじゃないのか」
「そうなんだ」
「ええ、そうよ」
「それは安心して」
　女の子達の言葉がここで動いていた。
「だってさ。あそこまで好きになってもらったらね
「誰だって悪い気はしないじゃない」
「自分を好きな相手にはね」
「そういえばそうか」
「そうだよな」
　男連中もそれで納得した。
「俺だってな」
「俺もな」
「俺もだ」
　彼等は口々に言っていく。
「あそこまで好きになってもらったらな」
「応えたいよな」
「性格だって悪くないしな」
「はっきり言っていい奴だしな」
　色々と問題はあるにしろ根幹の意味においてその人間性は悪いものではない真彦である。だから彼等もここでは素直に言っていったのである。
「それじゃあな」
「岡村さんだってな」
「いいのかな」
「絶対そうよ」
「ねえ」
　女連中は太鼓判を押してみせた。
「だってねえ。本当に嫌な相手だったらね」
「顔も見たくないし」
「すぐに消えるわよ」
「女ってそうしたものだから」
「そうしたものかよ」
　今の言葉にはすぐに男からの突っ込みが来た。