魔法少女リリカルなのは~結界使いの転生者~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
プロローグ
目が覚めた時、目の前で土下座をしている美しい銀髪の女性が目に入った。
「すみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみません・・・・」
「あの~・・・これは一体どういうことです?」
まて、落ち着くんだ自分。
そう、COOLになれ。
まずは、状況を整理しよう。
周りを見渡してみると、一面真っ白の屋外だか室内だかも分からない空間。
この場にいるのは、自分と目の前の女性の二人だけ。
・・・・・・・一体どういう状況だ?
状況整理はまったくの無駄になりました。
「え~とですね?非常に言いずらいことなのですが・・・」
頭が混乱していると、目の前にいる女性が話しかけてきた。
「一言で言いますとあなたは死にました」
「はぁ!?」
いきなり何を言い出すのかこの人は!?
俺はいつも通りの大学生活を送り、家に帰る途中であったはずだ。
家まであと100mもない地点の交差点に差し掛かり、そこから・・・・・・
そこから?
「・・・・ああ。そうか・・・・・俺はあの時死んだのか・・・・」
全て思い出した。
俺はあの時、突然交差点を信号無視して飛び出してきたトラックから、今にも轢かれそうになっていた女の子を庇って、そのまま死んだのであった。
「はい。本来の予定では、あの事故は、居眠り運転していたトラックドライバーが、あの少女を引く直前になって、目を覚まし、慌ててハンドルを切って電柱に直撃する筈でした・・・」
「なるほど、それなのに勝手に出しゃばって、勝手に死んでしまったって訳かい
・・・。それで、ここが死後の世界だとして、あんたは何者なんだい?それと、出会い頭の謝罪は?」
「私は貴方たちの言葉で言い表すなら『神』と言われる存在です。そして、先ほども言いましたが、本来あの事故では犠牲者はあのトラックドライバーでした。しかし、私の部下がその書類を誤って書き換えてしまい、代わりにあなたが犠牲となってしまったという訳です」
「・・・・・そうかい」
「怒らないのですか?」
「もう俺は死んでしまったんだ。今更怒っても俺が生き返るわけじゃない。それで、俺はこの先どうなるんだ?」
「あなたにはこれから転生してもらいます」
「転生?」
「はい。さすがに元の世界ではいろいろと問題になるので、別の世界になりますが。本来なら、輪廻転生は天国に召し上げられて善行を積んだ者か、地獄に落ちて罪を償った者にしか与えられないのですが、今回のはこちらの不手際ですので、今すぐ転生可能です」
なにげに、世界の輪廻転生のシステムが明らかになった。
世界の宗教家が聞いたら驚愕ものである。
「・・・それで、転生先はどんな世界かな?まあ、どんな世界だろうと本質は変わらないだろうけど・・・」
「『魔法少女リリカルなのは』の世界です」
ちょっと待て!!
よりによって、あの世界か!!
時空管理局などと言う、あからさまに突っ込みどころ満載の組織が登場するあの世界か!!
「より正確に言うならば、リリカルなのはの世界観をベースとした並行世界ですね」
「どっちにしろ、特に何も変わらないだろうが。まあ、精々なんの意外性もない一般家庭に生まれることを祈っているよ・・・」
「なに言っているのですか?もちろん、私から特典としてお望みの能力を与えますよ」
「いいのかよ?仮にも神がそんなに一人の人間に加担して」
転生の特権だけで、十分不手際の責任は果たしたと思うんだけどなぁ・・・。
「いいんです!!このくらいは当然です!!それに、あの世界は魔法資質を持つ人間が少数派ですから、運任せで転生したらまったく原作に関われなくなる可能性大ですからね」
俺としてはそれでも十分なのだが。
むしろあんな死亡フラグ満載の原作なんぞ関わりたくない。
「それじゃあ、面白くないじゃないですが!!私的にも世界的にも!!」
ぶっちゃけたな、オイ!!
あと、さりげなく心読むな!!
あと、メタ発言禁止!!
「神様の基本スキルです!!さあ、どんな能力がいいですか?」
「あの~拒否権は「ありません!!」・・・ですよね~」
やれやれである・・・。
思考中・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
よし。
「では『アニメ・漫画などに登場する結界魔法や能力』をお願いします。もちろん、必要な魔力や技術が足りていないものは使用不可でいいので」
「・・・え?そんなのでいいんですか?例えば『王の財宝』とか『万華鏡写輪眼』とかもできますよ?」
「別にいいよ。そんなに積極的に原作に関わる気はないから。それに便利そうだし」
むしろこっちが本音である。
戦闘にしか使えない能力貰ってもしょうがないので、日常で役立ちそうなのをチョイスしたまでである。
結界魔法なめんなよ。
充分強い上に有用な結界魔導師だっているじゃないか・・・英霊エミヤ然り、荒耶宗蓮然り、トラファルガー・ロー然り。
最後の違う?細かいことは気にするな!!
「分かりました。それで他には?魔力量とか容姿やデバイスはどうしますか?」
「魔力量はAA+もあれば十分でしょう。容姿は黒髪の普通な感じで。デバイスは必要ありません」
「謙虚だね~。ここは『SS+』とか、『銀髪オッドアイ』とか、『最高レベルのインテリジェントデバイス』とか言ってもいいのに~」
本性表してから急に砕けてきたな、この神(自称)。
「自称じゃないよ~」
だから、心を読むな。
「別に、魔力量は一般よりちょっと上でいいでしょう。ずば抜けて高くても、フルで使うことなんて滅多にないですし。容姿も黒髪は外せません」
生前は今の日本人には少しだけ珍しくなってきた生粋の黒髪であり、さりげない自慢である。
「デバイスは?最高の用意するよ?」
「結界魔導師にはあまり必要ないでしょう。デバイスの出どころ尋ねられても答えられませんしね」
だいたいの特典が決まった。
「ところでさっきの特典の具体例、やけにハッキリしていましたが、過去にあれで頼んだ人がいたのですか?」
すると、神様はあからさまに目を逸らし・・・。
「君の前に、同じような理由でこれから行く世界に転生した人がいて、その人が頼んだ特典だったんだよ」
俺以外にもいたんかい!?
書類ミス多いな、あんたの部下!?
「まあ、特典の内容も決まったし、レッツ転生~!!」
誤魔化すな~~!!!
叫ぼうとすると、突如床が抜け暗闇の底に落ちていく。
「待てや、糞ババァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
そこで俺の意識は途切れた。
次に目が覚めた時、俺は赤ん坊だった。
「ばうばう~~~~!?(何でだ~~~~!?)」
「おお~、よしよし~」
こうして、俺改め僕こと守宮龍一の第二の人生が始まった。
ページ上へ戻る