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美しき異形達

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第二十四話 麗しき和服その十三

「お金持ってるとかじゃないからな」
「そうなのよね、その人自体のものだから」
「大事なのはな」
「躾よね」
「あたしなんてさ」
 薊は笑って自分のことを話す、オムライスの後はホットドッグを食べている。これは裕香と桜も頼んでいる。
「こんなんだからさ」
「男の子みたいだからっていうの」
「そう、だからさ」
 それで、とだ。笑って言うのだった。
「品とかって言っても」
「ないっていうの?」
「そんなのあるって思ったことないよ」
 一度も、というのだ。
「それこそさ」
「ううん、別にね」
「別に?」
「薊ちゃん確かに男の子いたいだけれど」 
 それでも、というのだ。
「別に下品じゃないわよ」
「そうかい?」
「ええ、そんなね」
「だといいけれどさ」
「うん、食べる時だって」
 確かに女の子らしくない、男の子そのままだ。だがそれでもというのだ。
「下品じゃないから」
「そうです、薊さんは下品ではないです」
 桜も微笑んで裕香に続く。
「別に」
「桜ちゃんもそう言ってくれるんだな」
「実際そうですから」
「そうよね、薊ちゃんはね」
「決して下品ではないです」
「じゃあどういうのが下品なんだよ」
「ううん、言葉ではね」
「少し表現しにくいですが」
 それでもとだ、二人で薊の問いに答えた。
「もう見ていて幻滅したり眉を顰めさせたり」
「そうしたことをする人です」
「そうか、じゃああたしはそこまでいかないからか」
「下品じゃないわよ」
「普通だと思います」
「だといいけれどさ、じゃあデザートは」
 ホットドッグを食べ終えてだ、薊は二人にその話もした。
「何する?」
「クレープ?」
「それはどうでしょうか」
 二人共だった。
「ここのクレープって美味しいから」
「三人で食べましょう」
「そうか、じゃあクレープにしような」
 薊も二人に笑って応えてデザートも決まった。そうしてそのクレープも食べてだった。
 三人で百貨店の外から八条町、そして神戸の街並みを見回した。薊は冷やしあめを飲んでいた、裕香はメロンジュース、そして桜はファンタグレープだ。
 その冷やしあめを飲みつつだ、薊は二人に言った。
「何ていうかさ、このファーストフードを時々」
「食べたくなるのよね」
「私もです」
「あたしはわかるけれど」
 薊はその冷やしあめが入っている紙コップを手に桜に言った。
「桜ちゃんも食うんだな」
「ファーストフードをですね」
「ああ、こういうのを」
「はい、好きです」
 しかもだ、嫌いどころではなかった。
「子供の頃から」
「お嬢様なのにかい」
「いえ、こういうものも」
「ファーストフードも?」
「昔から知っておくべきと両親に言われまして」
「それはまた何でだよ」
「お客様もこうしたものを召し上がられるので」
 大抵の人がというのだ。 
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