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ハイスクールD×D 『存在の消失~ Memory life ~』

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三話『レーティングゲーム』

【刀矢said】

焼き鳥とのレーティングゲーム当日。

俺はオカルト研究部の部室に来ていた。

俺の他にも木場や小猫ちゃん、イッセー、アーシアさん、リアスさん、朱乃さんが部室にいる。

それぞれが自分なりの準備をしていて、そのなかで俺はただソファーに座っているだけだった。

「皆様、準備はよろしいでしょうか?」

そう言って現れたのは、グレイフィアさんだった。

「開始時間になりましたら、ここの魔方陣から戦闘フィールドへ転送されます。そちらは戦闘ように作られた空間ですので、どんなに派手なことをしても構いません」

(つまりは、軽い殺し合いをしろってことか…………)

俺はそう思いつつも、グレイフィアさんの話を再び聞くようにする。

「なお、今回のゲームは魔王ルシファー様も拝見なされます」

「お兄さまが?…………そう、お兄さまが直接みられるのね」

グレイフィアさんの次にリアスさんがそう言うと、イッセーがなにか反応していたが、俺はサーゼクスさんが見ていることに何か疑問を感じていた。

「そろそろお時間です。皆様、魔方陣の方へ移動してください」

リアスさん達が魔方陣へ移動すると同時に、俺はグレイフィアさんに呼び止められる。

「刀矢さま、サーゼクスさまからあなたにお言葉を預かっております」

「サーゼクスさんが俺にですか?」

「〔刀矢君、君には迷惑をかけたと思う。だが、君がリアスを守ってくれるのなら私は安心だよ。だから、君は自分の力を信じてくれ………………〕とのことです」

俺はグレイフィアさんが言った言葉で、引っ掛かっていた事が全て解けた。

「グレイフィアさん。サーゼクスさんにこう伝えて下さい。例え、俺が負けたとしても必ずリアスさんは助けます。というか、焼き鳥には絶対に渡しません。って、お願いします」

「フフッ。あなたはおもしろい御方ですね。わかりました。では、転移を開始します」

俺は自分の思いを伝えると魔方陣に移動し、グレイフィアさんがそう言うのを聞いてから戦闘フィールドへと転移していった。







眩い光が消えて転移したさきは、さっきと全く変わらないオカルト研究部の部室だった。

「あれ?転移が失敗した?」

そう言ったイッセーだが、俺は外の景色を見て失敗ではないことを理解する。

「失敗じゃあないみたいだぞ。外を見ればその事はすぐにわかる」

誰でも空に紫色の月が出ていれば、そこがもといた場所かはわかると俺は思う。

そしてイッセーが落ち着いたところで、リアスさんがこのように指示を出した。

朱乃さんと小猫ちゃんは拠点の周りに罠をつくる。

イッセーはリアスさんの膝枕。

後の人は各自の準備だ。

そして、俺は自分のコピーを二人分作り、敵の偵察を指示した。

「リアスさん。俺はどう動けばいいですか?」

「基本的に刀矢は小猫とイッセーと一緒に行動してもらうわ」

「その面子だと、最初の狙いは体育館あたりですか?」

「ええ、そのつもりよ。でも、貴方達は時間を稼いでくれればいいの。そうすれば、朱乃が特大の一撃で終わらせてくれるから」

「了解です」

俺は短い返事で返し、その場で軽く力を抜く。

「それじゃあイッセー、小猫、刀矢は目的地へ向かってちょうだい。こちらも準備ができ次第連絡するわ」

「「「はい!」」」

その返事だけでリアスさんは、俺達の闘志を感じ取ったみたいだった。

俺達は急いで体育館へと向かい、舞台袖の裏で隠れながら話をする。

「こちらに敵が…………四人来ているな」

「…………四人ですか?」

「絶対に勝とうぜ!小猫ちゃん、刀矢!!」

イッセーがそう言ったイッセー瞬間、体育館の正面扉が開き、四人の女性が入ってきた。

そのうち一人は焼き鳥と初めて会ったときに、襲ってきた女の子だった。

「………………イッセー先輩はあの双子を、刀矢先輩は棍を持った人をお願いします。私は残った戦車とやります」

何時もの無表情とは違い、そう言った小猫ちゃんは頼もしい雰囲気を放ちながら、笑っていた。

「わかった。じゃあ、いくぞ!」

俺はそう言うと勢いをつけて舞台袖から飛び出て、棍を持った女性の前に立つ。

「悪いけど、この前みたいにはいかないからね」

棍を構えながらそう言ってくる女性。

(確か、ミラってよばれてたよな)

「こっちも負けられないんでな、前のように手は抜かないぞ」

俺はそう言うと腰を落として、拳を軽く握る。

始めに動いたのはミラだったが、俺はミラが動くのと同時に一歩前に出てミラの放ってきた棍を避ける。

そして、その僅かな隙に棍を殴る。

バシッ!

棍にはあまりダメージが通ってないのか、音が鳴るだけだった。

(流石に硬いな。でも、その硬さを破る手はある)

俺は次々に棍で突きを放ってくるミラに対して、その攻撃を軽く避けていっている。

「このっ!何で当たらないの!?相手はただの人間なのに!?」

「そう考えているからこそ当たらないんだよ。人間が悪魔に勝てないと思っているからこそ、油断という僅な隙がうまれる」

「そんなわけない!なにも持たない人間なんかに私達悪魔が負けるわけがない!」

シュンッ!

そう言いながら鋭い突きを放ってきたミラ。

ガシッ!

俺はそれを手で受け止める。

「君のその理念を捨てないと君は強くはなれないよ」

俺はそう言ってミラの腹部に回し蹴りをいれ、壁に叩きつけた。

俺がミラをぶっ飛ばしたのと同時にイッセーもこちらに飛んできた。

しかもついでにミラに自分の魔力を流し込んだ状態で。

「イッセー。何をするつもりだ!」

「刮目しやがれ!これが俺の必殺技だ。『洋服破壊(ドレス・ブレイク)』!!!!!」

イッセーがそう言いながら指を鳴らすと、ミラに流し込んだ魔力が乱れてミラの服を巻き込んで消滅した。

それと同様に、イッセーが相手をしていた双子の服も消えていた。

『キャアァァァァァァァ!』

三人の裸を見てイッセーは何かを言っているが、俺は自分の制服の上着を脱ぎ、それをミラに被せる。

「わるいな、イッセーのやつが。とりあえずこれを着ておいてくれ」

「あ、ありがとう」

とりあえず、そのお礼を聞いた俺はその場から本気でイッセーのもとへと走って行き、後ろからおもいっきり蹴り飛ばす。

ズガッ!

「な、何すんだよ!刀矢!?」

「お前こそなにやってんだよ!忘れたのか?これはリアスさんの両親とサーゼクスさんがみてるんだぞ!」

俺がそう言うと表情が固まっていくイッセー。

「…………刀矢先輩。行きましょう。朱乃さんの準備ができたそうです」

そう言って俺の手を引っ張る小猫ちゃん。

イッセーは足を持たれて引きずられている。

俺達が体育館から出ると、空が一瞬だけ光で囲まれ、次の瞬間物凄い音とともに雷が轟き落ちる。

ピカッ!

ドゴオオオオォォォォォォンッ!

『ライザー様の《戦車》一名、《兵士》三名リタイア』

体育館が跡形もなく消えると、グレイフィアさんがそう言うのが聞こえた。

(ッ!魔力の気配。まさか!?)

ドゴオオオオォォォォォォン!

そう思った時、俺は小猫ちゃんとともに謎の爆発に巻き込まれた。








【イッセーsaid】

体育館内の敵の動きを封じた俺は、小猫ちゃんに引きづられながら体育館から出てきた。

そしてその後に体育館めがけて物凄い雷が落ちて、作戦がうまくいったことで今までの緊張がとける。

俺が小猫ちゃんと話しているとき、刀矢は何かを真剣な表情で考えているようだった。

そしてそんな刀矢の方へ小猫ちゃんが歩いていくと、突然その二人を巻き込むように爆発がおこった。

「刀矢!小猫ちゃん!」

俺はそう叫ぶが、爆発したところはまだ砂煙に包まれて二人がどうなったのか見えない。

「フフッ。敵を倒した時が一番隙ができる」

声がした方を見ると、ライザーの『女王』がいた。

「てめぇ!ライザーの『女王』!!」

「ライザー様にあれだけのことを言っておいて、こんなものとは…………たいしたことのない人間だわ」

「てめぇ!降りてきやがれ!お前だけは!俺が倒す!!!!!」

「おいおい、それは譲れないな。ついでだが、まだリタイア扱いにはなってないからな」

その声がした場所には、小猫ちゃんをお姫様だっこした状態の刀矢が無傷でたっていた。








【刀矢said】

俺は爆発が起こる少し前に小猫ちゃんをお姫様だっこし、以前朱乃さんが見せてくれた防御魔法をコピーして俺の周りに展開させた。

(これは朱乃さんに感謝しないとな)

俺はもし朱乃さんが防御魔法を修行の時に見せてくれていなかったらと思うと、ゾッとした。

「てめぇ!降りてきやがれ!お前だけは!俺が倒す!!!!!」

爆発を防いだ俺達は相手が攻撃してこないのを確認して、防御魔法を解除した。

そして、耳を澄まして聞いていると聞こえてきたのはイッセーの声だった。

「おいおい、それは譲れないな。ついでだが、まだリタイア扱いにはなってないからな」

俺はそう言いながら砂煙が消えたのと同時に二人の前に姿を見せた。

「なっ!?どうして貴方達は無事なのですか!?」

「咄嗟にあんたの魔力の気配を感じてな。近くにいた小猫ちゃんを引き寄せて防御魔法を展開しただけだ」

俺と小猫ちゃんを倒したと思い込んでいた、焼き鳥の《女王》は俺達の姿を見て驚いていた。

「さて、とりあえずはあんたの相手は俺がするとしようかな」

「あらあら。そちらの方の相手は私がしますわ。刀矢君達は祐斗君のもとへ向かってください」

俺達の会話に入ってきた朱乃さん。

「わかりました。ここは頼みます。朱乃さん」

俺はそう言ってまだ納得していない二人を連れて、木場の待つ運動場へと向かった。

『ライザー様の《兵士》三名、リタイア』

木場のもとへ向かう途中にそんなアナウンスが聞こえた。

それと同時に近くの倉庫から無理やり俺達をなかに引きずり込む、謎の人物。

「なんだ、おまえか」

「うん」

互いの顔を確かめあったイッセーと木場。

「…………先程はありがとうございました。刀矢先輩」

そう言って頭を下げてくる小猫ちゃん。

「別にいいさ。それに仲間は助け合いが基本だろ?」

俺がそう言ったとき、外から女性の大声が聞こえてくる。

「私はライザー様に仕える《騎士》カーラマイン!こそこそと腹の探り合いをするのも飽きた!リアス・グレモリーの《騎士》よ、いざ尋常に剣を交えようではないか!」

「お呼びのようだぜ?木場」

俺がそう言うと、木場はフッと笑って立ち上がる。

「名乗られてしまったら、《騎士》として隠れているわけにもいかないか」

そう言ってそのまま真正面から野球のグラウンドに向かっていく木場。

「僕はリアス・グレモリーの眷属、《騎士》木場祐斗」

「俺は《兵士》の兵藤一誠だ!」

「…………《戦車》塔城小猫です」

「助っ人の風鳴刀矢だ!」

木場が自分の名前を叫ぶのでのりにのる俺達。

そのまま俺以外の三人は敵の方へと走っていった。

俺にいたっては偶然見つけた近くで紅茶を飲んでいる少女の近くに来ていた。

「ここ、座ってもいいかな?」

「ええ、かまいませんわ」

快く俺の頼みを聞いてくれたドレスを着込んだ少女。

「貴方は戦いませんの?」

「あの数ならあの三人で大丈夫だからな。そう言うあんたこそいいのか?」

「私はもとから戦う気はありませんわ」

紅茶を飲みながらそう言う少女。

「貴方は本当にお兄様に勝てるとお思いですの?」

「勝てるさ」

俺は突然の少女の問いかけに即答する。

「無理ですわ。不死鳥であるお兄様には人間では絶対に勝てないですわ」

「勝負に絶対という言葉はないんだぜ?それに不死鳥は無敵という意味でもないしな」

「貴方は己の強さに自惚れているだけですわ!」

「…………俺は強くなんてないさ。………………ただ消えたくないからこうしてもがいて生きているに過ぎないし、俺は自分の力が嫌いだからな……」

俺は少女の問いかけを自分に言い聞かせるように言う。

「…………貴方のその顔………………失礼でしたね。では、その代わりとは言えませんが良いことを教えて差し上げますわ。お兄様の《女王》ユーベルーナにはフェニックスの涙という回復アイテムを渡しておりますの」

と、そこまで聞くと俺は自分のコピー達を全て消し去り、立ち上がる。

「ちょっ!?なんですの!?」

「イッセー!ここは任せる!俺は朱乃さんの方に行く!お前はリアスさんの援護を頼む!」

俺はイッセー達に聞こえるくらいの大声でそう言う。

「ああ!わかった!絶対に勝ってこっちにもどってこいよ!刀矢!」

イッセーらしい返答におもわず俺は笑ってしまう。

「おまえもだぜ?イッセー!」

俺はそう言うとその場から勢いをつけて、走り去る。







俺はイッセー達と別れてすぐにコピーに朱乃さんの見張りをさせていた場所に向かった。

そこに到着すると同時に俺は朱乃さんをみつける。

(くそッ!あの子のいった通り、あの《女王》は回復アイテムを持っていたのか)

俺は相手の《女王》が懐から何かを取り出すのを確認すると、急いで次の行動に移る。

俺は朱乃さんの悪魔の翼をコピーしてその翼を使い、相手の《女王》と朱乃さんの間に入り込む。

「朱乃さん。ここは俺が代わりますんで、イッセー達とリアスさんをフォローしてくれませんか?」

俺は振り向かずに朱乃さんにそう言う。

「刀矢君。…………わかりました。ここは刀矢君に任せます」

「ありがとうございます」

俺がそう言うのを聞くと、朱乃さんはここから離れていく。

「さて、焼き鳥の《女王》さん。悪いがここからは俺が相手だ」

俺は殺気を含んでそう言った。

「貴方なんかに負けるわけないわ。貴方は所詮人間。悪魔である私に勝てるわけがない」

「そんなことはーーーー」

俺は背中の翼を利用して瞬間的な加速を行う。

「ーーーー殺ってみないとわからないぜ?」

《女王》との距離をつめ、懐に入り込むと同時に鳩尾に拳を叩き込む。

ドゴォッ!

「なっ!?」

見下していた相手に一撃をくらったのに驚いたのか、《女王》の動きが少し鈍くなる。

俺はその隙を逃さずに何発もの蹴りや突きを《女王》に当てていく。

「グッ!ちょ、調子にのるなァァァァ!」

そう叫びながら《女王》はゼロ距離で、あの時の爆発を起こす。

俺は再び防御魔法をコピーしてその爆発を防ぐ。

(チッ、あの距離で爆発なんて起こすなんて、自殺志願者かよ。あの《女王》は!?)

「人間がなぜ魔力を使えるのかは知りませんが、まあいいでしょう。貴方はここで死ぬのだから!」

そう言って次々と俺のいる場所に爆発を起こしていく《女王》。

(素手じゃ、ダメージがあまりないか。…………消失する記憶の量が多いから使いたくなかったが、仕方ない)

俺は爆発を避けながら剣を使うことを決意して、この状況を打破するための剣をイメージする。

(来やがれ、爆発を吸収して切れ味の増す剣)

俺が心の中でそう言うと、右手に光が現れて一振りの剣に成っていく。

「爆破殺しの剣ってところかな」

俺は右手に現れた赤黒い剣をそう名付ける。

「今さら剣などを使っても私の相手にはなりませんわ!」

そう言ってまた俺の足下に爆発を起こそうとする《女王》。

だが、今度は爆発は起きずに俺の持っている爆破殺しの剣がさらに赤みをましている。

俺は一瞬で《女王》との距離をつめて、爆破殺しの剣を《女王》の腹部に突き刺して爆破殺しの剣のリミッターを外す。

すると、爆破殺しの剣は音を発せずに《女王》とともに、完全に爆破したようにして消える。

『ライザー様の《女王》一名リタイア!』

俺は《女王》を倒してから、焼き鳥の魔力の気配を捜索して焼き鳥がいる場所に向かっている。

『ライザー様の《騎士》二名、《戦車》一名、《僧侶》一名、《兵士》二名、リタイア』

(イッセー達が勝ったか…………)









【イッセーsaid】

刀矢が俺達のいる場所から離れて数分がたった。

「あの時とは随分違うな」

俺に打撃を繰り出しているライザーの《戦車》がそう言う。

「生憎とそんなに重そうな攻撃をもらうわけにはいかないからな」

俺は相手の拳を避けて、《戦車》の肩に触れる。

もちろん、魔力を込めてだが。

「そんなもの攻撃とは言えないな」

「くらいやがれ!俺の必殺!洋服破壊(ドレス・ブレイク)!!!!!」

俺がそう言って指を鳴らすと、露になる《戦車》の全裸。

(うひょ~、脳内保存脳内保存っと)

無防備になり、隙だらけの《戦車》に向かって魔力を打ち込む。

「ドラゴンショット!」

俺が放った魔力は《戦車》をのみ込んで、地面を抉るようにして消えていく。

「あら?あなた、少しはやるようですね」

そう言って現れたのは、ライザーの妹。

「次はあんたが相手なのか?」

「違いますわ。貴方の相手はこの子達ですわ」

そう言って姿を見せたのは、ライザーと目の前の少女を覗いたライザーの下僕が全員。

(くそ!木場と小猫ちゃんはまだ戦闘中だから、俺が相手をするしかないのか)

俺はそんなことを思いながら、自分の左腕にある[赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)]に言葉をかける。

「俺に力を貸しやがれ!ブーステッド・ギアッ!」

『Dragon booster ! !』

「もっとだ!もっと、俺の想いに応えてみせろ!ブーステッド・ギアァァァァァァァッッ! 」

『Dragon booster second Liberation !!』

ここにきてはじめて聞く音声に、俺は驚きながらも左腕を見る。

そこあったのは今までの籠手とは違い、籠手に付いている宝玉が一つ増えて形が少し変わった籠手だった。

(これは…………。いや、これならいける)

俺がそう思っていると、二人の女性が俺に殴りかかってくる。

ドゴオオオオオォォォォォンッ!

「フフッ、隙ありですわ」

俺に殴りかかってきていた女性達を雷が襲い、青い光に包まれて消える。

「朱乃さん!」

「イッセーくん。残りの方は任せますわ」

「はい!」

俺はなるべく木場に近づいて叫ぶ。

「木場ァァァァァァァッ!おまえの神器を解放しろぉぉぉぉぉ!」

「神器を解放…………そうか!魔剣創造!」

木場がそう叫ぶと同時に、俺のもとにやって来る無数の剣。

「『赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)』!」

『Transfer !!』

俺に向かって来ていた無数の剣が一度だけ消えると、[赤龍帝の籠手] が緑色の光を発しながら巨大化した無数の剣が、ライザーの眷属達を次々に突き刺していった。

『ライザー様の《女王》一名リタイア』

『ライザー様の《騎士》二名、《戦車》一名、《僧侶》一名、《兵士》二名、リタイア』

俺達は一度同じ場所に集まると、走りながら話し合う。

「刀矢の方は勝ったみたいだな?」

「うん。そうみたいだね。刀矢君はきっとここに向かってると思う」

「…………刀矢先輩なら来ます」

「うふふ。刀矢君は強いですからね」

俺達はそう言いながら、ライザーの拠点である新校舎の屋上に向かっていた。

屋上につけば既に部長とアーシアが来ていて、部長がライザーと睨み合っている。

「部長!ただいま到着いたしました!」

「皆!?ライザー!貴方の言う通りにはならなかったみたいね」

部長がそう言うと余裕のせいか、まだ戦おうとするライザー。

「ハッ!今さらお仲間が来たところで、こんな奴等は俺一人で十分なんだよ!」

そう言って炎をこちらに飛ばしてくるライザー。

これを合図に俺達は戦闘を始めた。









【刀矢said】

俺は焼き鳥の《女王》を倒すと、新校舎を目指して走っていた。

そして新校舎の前に来たとき、屋上からかなりの量の魔力を感じる。

(これが焼き鳥の力ってことか…………それに、他の皆の魔力が低すぎる)

俺はもしもの時を考え、再び悪魔の翼をコピーして一気に屋上へと飛び上がった。

『リアス様の《騎士》一名、《戦車》一名、《女王》一名リタイア』

俺が屋上に到着すると同時に聞こえるグレイフィアさんの声と、朱乃さん達が消えていく姿。

「イッセー!」

俺は屋上に着地すると、ボロボロの姿で倒れているイッセーに近づいた。

「刀矢…………おまえが……ぶ、部長を……守れ…………」

そこまで言って、俺の腕のなかで消えるイッセー。

『リアス様の《兵士》一名リタイア』

無慈悲に聞こえてくるイッセーのリタイヤ報告に俺は、我慢が限界を越えた。

「焼き鳥ィィィィィィィッッ!」

俺は翼で加速しつつ、焼き鳥の腹に蹴りを入れる。

「こ、グッ!?」

何かを話そうとしているが、そんな隙すら与えない。

俺は焼き鳥を殴り、蹴りあげると落ちてきたと同時に踵落としをくらわせて、一度距離を取る。

「…………グッ、ふざけやがって!」

そう言って炎の塊を俺に向けて飛ばしてくる焼き鳥。

俺はそれを炎を断ち切る事をイメージした剣を創造し、飛んできた炎を無力化する。

「なに!?」

自分の炎を消されたことに驚いたのか、大きな隙が焼き鳥にできる。

俺はその隙をついて、一気に加速して焼き鳥の顔面に炎を断ち切る剣…………断炎の剣を突き刺す。

そしてある程度の距離を取ると、俺は左手に雷の魔力の塊、右手に炎の魔力の塊をコピーして一つにする。

「消えろォォォォォォォォォォッッ!」

雷と炎が一つになった魔力の塊はまっすぐに体を複製していた焼き鳥に向かって飛んでいくと、直撃して大きな爆発が起きた。

ドゴオオオオオォォォォォンッ!

「ハァハァ…………ハァ、終わった……のか」

ドコッ!

完全に油断していた俺は横腹に蹴りを入れられ、屋上から落とされる。

落ちていく途中で悪魔の翼をコピーして、もう一度屋上の上空に飛んでいき様子を伺う。

「さっきはよくもやってくれたな、人間」

声がしてきたのは、俺のすぐ後ろ。

俺はすぐに距離を取る。

「最後に受けた貴様の攻撃のせいで、まだ完全に体が直りきってないぞ」

俺が見たのは、右足と左手がない焼き鳥の姿。

「だが、貴様達がやってきた事を無意味にする方法ならまだある」

そう言って右手で巨大な炎の塊を作り出す焼き鳥。

「その炎で俺を焼き殺すつもりか?焼き鳥」

俺がそう言うと不気味な笑みを浮かべる焼き鳥。

「いや、こうするんだよっ!」

そう言って炎を投げた先には新校舎があり、そこにはリアスさんとアーシアさんがいる。

「なっ!?てめぇ!」

俺はすぐに新校舎の方へと向かおうとするが、力の使いすぎのせいか、あまりスピードがでない。

(くそ!俺はまた何も守れないのか!?イッセー達が繋いでくれたものが無意味になるのか!?)

俺がそう思ったとき、どこからか涼しげな声が聞こえる。

『諦めることはないわ。今は貴方の全力を出しなさい。私はいつでも力を貸すわ』

突然の声に俺は驚くも、その声に従って全力で新校舎を目指して加速する。

そして一瞬だが、焼き鳥の放った魔力よりも速く新校舎に到着して、リアスさん達の前に立った。

ドゴオオオオオォォォォォンッ!

ピキピキッピキピキッ!

次の瞬間、俺を襲ったのはとても熱い炎と大きな爆発だった。

「すみ…………ません。…………リア……ス……さん」

俺はそう言って意識を失った。








【リアスsaid】

私は目の前の光景が、信じられなかった。

今、私の目の前では人間である刀矢が悪魔、それも上級悪魔であるライザーを圧倒している。

(刀矢はここまですごいの)

私の隣にいるアーシアも、自分の目を疑っているようだった。

そして、刀矢が屋上から落とされてから再びライザーが現れて空中戦を始めた。

ライザーは私達に向かって巨大な炎の塊を放ってきた。

それに私達も気づいたが、魔力が殆ど無くて動くことができない。

そんななか、私達の方へ向かって飛んでくる刀矢。

刀矢は炎の塊からかなり離れており、追い付くことは不可能だと思っていたが、途中からスピードが上がって追い越した。

ドゴオオオオオォォォォォンッ!

ピキピキッピキピキッ!

その爆音が聞こえたとき、私は負けを覚悟した。

でも、いくら待っても私には痛みが襲ってこなかった。

そこで私は目を開ける。

すると、私達の前には刀矢が立っており既にボロボロだった。

それも刀矢の体には大きな変化があった。

刀矢の黒かった髪は透きとおるくらいの青い長髪に変わり、微弱ながらにも魔力も感じられた。

そして、私達の周りには氷付けにされた大きな炎もあった。

「すみ…………ません。…………リア……ス……さん」

そう言って刀矢が倒れた。

私は刀矢が倒れるのを見て、泣きながらこう言った。

「リザイン…………します」


 
 

 
後書き
四話『降臨する蒼き消失王』 
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