戦国異伝
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第百八十話 天下の宴その十四
「御主達の家は一門衆として支えてもらう」
「同じ織田家として」
「そうして」
「何ならな」
ここでだ、信長はこの姓を出した。
「津田の名を渡す」
「織田家のそもそもの名を」
「それを」
「うむ、一門だけに許された姓をな」
まさにそれをだというのだ。
「授ける、そうしてな」
「一門として、ですな」
「織田家を支えよと」
「御主達にはやがて天下の要所を任せる」
それぞれだ、そうするというのだ。
「爺や権六達にもそうさせるがな」
「それと共に」
「我等も」
「うむ」
まさにというのだ。
「頼むぞ」
「はい、では」
「その時は」
「そうしたことも決める」
本願寺との戦がはじまるまでに、というのだ。
「ではよいな」
「さすれば」
「今より」
「明日からそれで忙しくなる」
その政で、というのだ。
「頼んだぞ」
「本願寺との戦がはじまるまでに」
「それまでの間に」
「無論戦の用意もする」
それもだというのだ。
「あらゆる相手を倒す為にな」
「東西を、ですな」
「そのどちらも」
「我が家ならばだ」
織田家の力なら、というのだ。
「鉄砲も遥かに揃えられてじゃ」
「そして、ですな」
「さらに」
「うむ、それにじゃ」
鉄砲だけでなく、というのだ。
「その他にもな」
「力を揃えられますな」
「さらに」
「うむ、あの石山もな」
難攻不落と言っていい巨大な寺もというのだ。
「確かに川と海に守られ攻めにくいがな」
「当家の二十五万を超える大軍なら」
天王寺に留まり本願寺への目付を務めている信広が言ってきた。
「如何にあの石山といえど」
「攻め落とせるというのじゃな」
「はい、それが出来ますが」
「確かに出来る」
その大軍ならとだ、信長も答える。
「我等の数ならなば」
「では」
「いや、確かに攻め落とせるがじゃ」
それでもだとだ、信長は言うのだった。
「そうしては兵を多く失う」
「だからですか」
「ここで兵を失っては毛利、そして武田達との戦に影響が出る」
「まだ戦が続く故に」
「そうじゃ」
それ故にというのだ。
「石山を力攻めにはせぬ」
「では」
「まあ見ておれ、すぐに摂津に切り札を持って来る」
「切り札ですか」
「そして毛利の水軍にもな」
彼等にも、というのだ。
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