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ソードアートオンライン〜黒き疾風〜

作者:S.H.
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聖騎士との決闘

デュエル当日、75層の主街区<コリニア>にある巨大なコロシアムに来ていた。デュエルはここで行われる。露店で買った火噴きコーンを食べていると見覚えのある顔を見つけた。

「ようクライン」

「サトシじゃねえか。うまそうなもん食ってんな」

「あそこの露店で売ってるぜ。ところでどっちが勝つと思う?」

「ユニークスキルホルダー同士のデュエルだからなぁ。贔屓込みでキリトだな。おめぇはどう見るよ」

「微妙なとこだなぁ」

そのとき歓声とともにキリトとヒースクリフが現れた。デュエルのカウントダウンが始まり緊張感がここまで伝わってくる。そしてDUELの文字が閃くのと同時に2人は地を蹴った。キリトは初っ端からソードスキルを発動。右手の剣を左斜め下から叩きつけコンマ1秒遅れで左の剣を振る。二刀流突撃技<ダブルサーキュラー>だ。しかしヒースクリフはこれを一撃目を盾で、二撃目を長剣で防ぐ。キリトが距離を取るが間髪入れずにヒースクリフが盾を構えて突撃して行く。恐らく盾が邪魔でヒースクリフの右腕が見づらいだろう。それに反応してキリトは右へ回避を試みる。盾の方へ回り込めば攻撃に対処しやすいと考えたのだろう。しかしヒースクリフは盾を水平に構えると尖った先端で突き攻撃を放った。キリトは2本の剣でガードするが数メートル吹き飛ばされる。あいつの盾には攻撃判定があるのか。ヒースクリフは空いた距離をすぐに詰めアスナ並みの突きで追撃する。が、キリトはそれを剣で弾き右手で単発重攻撃技<ヴォーパルストライク>放ちヒースクリフを跳ね飛ばす。すぐにお互いが距離を詰め超高速の連続技の応酬が始まる。段々2人の動きが加速して行く。そしてヒースクリフに一瞬の隙ができる。キリトはそれに反応してソードスキルを発動する。二刀流最上位技<スターバーストストリーム>ヒースクリフが盾でガードして行くが徐々に反応が遅れていく。最後の一撃、ヒースクリフの盾が追いつかない。そう思ったときヒースクリフが異常な反応を見せた。間に合わないと思った盾がキリトの剣を防いだ。キリトは硬直時間の隙を付かれ負けた。ヒースクリフは一瞬険しい表情を見せたがすぐにいつもの落ち着いた表情に戻り俺の方を見た。

「すげぇデュエルだったなサトシ」

「悪いクライン、ちょっと行ってくる」

「へ?ちょっ…おい!?」

俺は観客席から闘技場に飛び降りる。どこからか血盟騎士団のメンバーが現れ俺とヒースクリフのデュエルのことを観客に伝える。観客席から驚愕の声と歓声が聞こえる。

「ようヒースクリフ、とっとと回復してやろーぜ」

「おや?君は戦闘狂だったかな?」

「んなわけあるか。すぐ終わらせてーだけだよ」

「なるほど、では始めようか」

俺にデュエル申し込みのメッセージが表示される。もちろんYESを選択し初撃決着モードを選ぶとカウントダウンが始まった。徐々に表示されている数字が小さくなっていく。お互いメニュー画面から目線を外し相手を見据えている。
そしてDUELの文字が弾ける。それと同時に俺はヒースクリフに向かって飛び出しソードスキルを発動。抜刀術ソードスキル<紫電>を使いヒースクリフに突撃する。ヒースクリフはこれを避けずに盾で迎え撃つ。剣と盾が衝突したときヒースクリフの顔が驚愕に染まる。なぜなら盾でほぼ完璧に防いだにもかかわらず盾ごと数メートル吹き飛ばされたからだ。先程キリトにも吹き飛ばされたがそれとは訳が違う。体制が崩れていたキリトとのデュエルのときと違い足をしっかり踏ん張っていた。その状態のヒースクリフは50層のボス戦で崩れていた戦線を1人で支えきったことを考えれば脅威的だろう。

「驚いたな。まさか吹き飛ばされるとは思っていなかったよ」

「あんたでも驚いたりするんだな」

「私とて人間だ。驚くこともあるさ」

「その割りに表情に出てなかったけどな」

「そうだったかな?」

「まぁ観客もまってることだ。立ち話もこれくらいにして戦ろうか」

俺はもう一度<紫電>を発動。ヒースクリフに斬りかかるが今度は威力を逸らされて反撃されるがソードスキルの勢いのまま走り抜けることで剣がかするだけで済んだ。しかしこれで安易に突っ込めなくなった。そこで俺は抜刀術中心の戦いから刀スキルメインで戦っていく。しかしヒースクリフはこれを盾で確実に防いでくる。さらにこちらの隙を付いてアスナ並みの突きで攻撃してくる。俺はこれを最小限の動きでギリギリ避けていくが少しずつ追い込まれていき小攻撃がヒットしていく。このままじゃ負けるな…。分の悪い賭けだがやらなきゃ駄目か。俺はヒースクリフの長剣をパリィして距離を取る。そしてすぐに納刀して抜刀術ソードスキルを発動。ヒースクリフに向かって突っ込む。ヒースクリフはこれを盾で攻撃を逸らして防ごうとする。が、それは出来なかった。なぜなら俺が攻撃したのは今までの胴の高さではなく足元だったからだ。ヒースクリフは意表を付かれ体勢を崩す。そしてまだ俺のソードスキルは終わっていない。刀が光を失った直後鞘がソードスキル特有の光を帯びる。刀で攻撃した後鞘による二撃目が相手を襲う抜刀術2連撃ソードスキル<双龍閃>だ。鞘による二撃目がヒースクリフを襲う。勝った。このとき俺は勝ちを確信した。しかしその直後あり得ないことが起きた。ヒースクリフが異常な反応を見せ俺の攻撃をかわしたのだ。これはキリトとのデュエルで起きたあれか!?俺の攻撃をかわしたヒースクリフは俺に攻撃を決めた。憎らしい程的確に俺のHPをちょうど半分にする攻撃を。視界の端にデュエル終了を告げるシステムメッセージが表示される。歓声が聞こえてくるが俺はまだ呆然としていた。少し時が経って去り際のヒースクリフを見上げると勝者だというのにあいつの表情は険しかった。 
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