旧エクリプス(ゼロの使い魔編)
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第27話 ヴィットーリオ・セレヴァレ
ブリミル暦6239年 ラドの月 エオローの週 ユルの曜日
皇紀2797年 9月18日 ロマリア連合皇国 ウァティカヌス(首都) 大聖堂
Side ヴィットーリオ・セレヴァレ
大聖堂にて、教皇座に座る一人の20代の男性がいた。彼こそはロマリア連合皇国の教皇、聖エイジス三十二世(ヴィットーリオ・セレヴァレ)である。前教皇が亡くなり、現在の枢機卿に選ばれたのがヴィットーリオ・セレヴァレであった。教皇選出選挙の選挙権は、枢機卿だけが持つ。各枢機卿は派閥に属していた。各派閥は足を引っ張りあって、選ばれたのは20代の最も若い、どの派閥にも属さないヴィットーリオであった。
即位式が終わり、国外の親善使節との謁見が始まった。
太平洋連邦はロマリアとは、国交がなく最後に謁見が許された。
光輝は教皇の前まで歩いて行き、床に膝を付いて額ずいた。
「猊下、この度のご即位おめでとうございます。改めて太平洋連邦からの親書をお渡しします。後、個人的な預かり物をお返しします。」
光輝は、親書と赤い宝石のついた指輪を差し出した。
「こっこれは・・、始祖の秘宝・・、炎のルビーではないか・・。」
「はい、猊下の母君より御預りした物です。間違いなく始祖の秘宝の一つ炎のルビーです。母君がこのロマリアから持ち出した物です。母君によると猊下が虚無に目覚めて恐ろしく思われたそうです。ただその頃は虚無とは知らず、人と違う魔法を見て恐ろしくなったと仰っておいででした。前教皇が新教徒狩りをされたので、私くし共で保護しました。今は安全に暮らしております。猊下には済まなかったとお伝えください。との伝言を預かっています。しかし、猊下が教皇になられたので、新教徒の母君は会えないと申しておりました。猊下のお立場を考えての事だと思います。」
「そうか・・・。」
「親書にも書かれている様に、私くし共は三つの条件を満たさない間は、国交を結ぶつもりはありません。
一つは政教の分離です。政治と宗教どちらも疎かには出来ません。教皇は宗教のトップであります。片手間に政治は行なえません。また政治を自由に行う事では国は成り立ちません。
二つ目は異端審問の廃止です。人は立場によって異なるものです。異端審問は宗教の強制であり、また多くの審問官の欲を満たす道具となっています。私くし共も寄付を寄越さないと異端審問に掛けると脅されました。七つの大罪があります。傲慢、物欲(貪欲)、ねたみ(嫉妬)、憤怒、貪食、色欲(肉欲)、怠惰です。今のブリミル教の神官の多くは何らかの罪を追っています。逆に新教徒はそれらに反して実践教義に立ち戻ろうとした者達です。
そう、3つ目は新教徒狩りの撤廃と他の宗教の容認です。私くし共の国々は、多宗教国家です。ハルケギニアの国以外はブリミル教を信じていません。そう言う国家を容認しなければ、国交や交易が出来ません。それが出来ないことが聖戦に繋がります。ブリミル様も聖地を目指せとは、仰いましたが、エルフを殺せとは一言も話していません。実際、始祖の使い魔は四人でした。そのうち一人はエルフの民でした。また聖地は私くし共の術者が封印したので、厄災は起きません。今となっては聖地を目指す意味もありません。
これらを認めて頂かないと、国交は勿論、交易も出来ません。今のままだとロマリアは滅びます。ロマリア以外のハルケギニアの国々は、好景気で人手不足です。ロマリアから人々が流出しています。皆がロマリアを見放すのも時間の問題です。」
「其の方の言い分はわかった。」
Sideout
光輝は枢機卿や司教などの悪事を認めた、報告書を置いて行った。後にブリミル教内部で粛清が行なわれた。
ロマリアと正式に国交が結ばれるのは、暫く年月が掛かった。
後書き
ヴィットーリオ・セレヴァレの話でした。
原作開始まで、後3年です。
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