(仮称)Fate/Irregular night
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蟻と付く割に白蟻はゴキブリの仲間な第2話
さて、士郎達4人がぶっ倒れてから幾許かの時が経過し、現在は午後8時。
く現在衛宮家の大広間には第四次聖杯戦争に参加していた人物とその関係者の殆どが集っていた人数は8人と11騎と1体。居ないのは、言峰璃正、言峰クラウディア、言峰可憐、言峰麗、遠坂葵、遠坂茜、衛宮アイリスフィール、衛宮クロエ、移動時間の都合で到着していないライダー陣営とランサー陣営、間桐紅美、間桐純白、シャーレイ、ナタリア・カミンスキー、リーゼリット、セラ、アサ子以外のアサシンの人格達だ。
『はぁ、まさか白野にも令呪が発現していたとはな。こりゃあ、本格的に負けるビジョンが浮かばないな』
「仕方ないですよキラさん。私も白野ちゃんも、姉さんも、イリヤさんも、先輩も、冬木市在住の魔術師ですよ? どれだけ聖杯が汚染されてるとしても、聖杯はそれ自体が有る都市に住む魔術師から優先的に令呪を分配していくのは知ってるでしょう?」
『あぁ~、それは分かってる。問題なのは喚ぶサーヴァントだ。4人は拵える事は出来るが、5人目がどうにもな~』
「何よ。アンタを触媒にすれば大抵の英霊は喚べるんじゃないの?」
「凛、どの英霊が来るか分からないのが問題なのだ」
『そ~言う事。どの英霊がどのクラスで来るか、召喚してみん事にはわからん。ヘラクレス辺りがバーサーカーなんぞのクラスで喚ばれて来てみろ。あっという間にマスターになった奴は乾涸びるぞ。いや、其処までは行かなくとも、魔力供給に魔力の大半を使うから大した魔術が使えなくなるぞ?』
「ならどうすりゃいいんですか、キラさん」
『取り敢えず、魔力量が五人の中で一番劣ってる士郎が迦楼羅を喚ぶのは確定として。残りの四人が誰を喚ぶか、だ。迦楼羅と一刀ともう2人は喚んですぐに俺が受肉させるとして、残りの1騎が問題だ。どの英霊をなんのクラスで喚ぶか……』
「なら、候補を此処に居る全員で案を出し合えば良いんじゃないかな? 少なくとも、此の儘悩み続けるよりはマシだと思うよ?」
切嗣がそう言うと、キラは『其れもそうだな』と言い、隣のアサ子から時計回りに案を出していく様に促した
「私の同僚を喚ぶのは? 彼女、オリジナルのザバーニーヤこそ習得していませんから私に負けて、山の翁――ハサン・サッバーハにはなれませんでしたが、初代から先代の十八代目までのザバーニーヤ全部使えますよ?」
『ふむ……保留だな。喚ぶとしたらクラスはアサシンだろ? アサシンは迦楼羅が喚ばれるのが決まってるから埋まる』
「あ、それもそうですね」
『喚ぶとしたら、エクストラクラスでだな』
そう言ってキラは目線でアサ子の隣のアルトリアとその後ろに控える円卓の騎士4人に発案を促す
「私達が知り得る英霊が少な過ぎて何とも言えないのですが、マーリンは喚べないのですか?」
『お前らからその案が出るのに驚きだが、却下だ。あの爺さんが現界してみろ、現代の神秘秘匿なんて無視して魔術使ってイタズラしまくるぞ? てか、アイツは死んでないだろ。樹木になっただけで』
「……言われてみれば、そうでした」
『そういうこった。次』
「ふむ、インドの施しの英雄等良いのではないか? どうにも、その者は我や騎士王等に匹敵する程の大英雄だそうではないか。それに、我が宝物庫に原典の無いだろう鎧と槍にも興味がある」
『お前最後のが本音だろギル。エル、何とか言ってやってくれ』
「僕としては、ギルやキラみたく聖杯に対する願いが無い英霊なら誰でも良いから、特に反対ではないんだけれども。取り敢えず、神性持ちならやりやすいかな」
『いや、そういう意味では無く……いや、良い。神性云々についてはまだ分からんから保留。次』
「ネロ・クラウディウスはどうでしょうか」
『却下だド阿呆。あれか? 皇帝だから優雅だろう的な考えなのかお前。ネロは一流の英霊だが、喚んだらガキ共と嫁さん達が貞操の危機に陥るぞ? アイツは美少年、美老年、美少女等の美人が好きなバイセクシャルだからな。ひょっとしたらこの場に居る全員がアイツのストライクゾーンに入ってるかも知れんぞ? そうだとしたらアイツ、狂喜狂乱でぶっ壊れるぞ? それに、アイツはアルトリアに似てるから、アルトリアがオワコン呼ばわりされるかも知れんぞ?』
「私がバカにされるのですか!?」
「お、落ち着いて下さい王。流石に今の話を聞いて尚、喚ぼうとは時臣氏も言わないでしょうから」
「どうなんです? 時臣氏。王を侮辱される訳にはいきませんので、まだネロ・クラウディウスを喚ぼうと言うなら、私とランスロットとモードレッドとベディヴィエールの宝具が火を吹きますよ?」
そう言って、具現化した自身の宝具、『転輪する勝利の剣』を構えるガウェイン。そしてガウェイン以外の円卓の騎士3人が引き攣った苦笑いの表情で諌める。
「いや、オレとランスロットとベディヴィエールを引き込むなよ。いやまあ、今の話を聞いて尚、喚ぼうとしてるなら、混ざるのは吝かじゃないんだがなぁ。な? ランスロット」
「えぇ。まあ流石に今の話を聞いて喚ぼうとは時臣氏も思いますまい。何せ娘の貞操の危機かもしれませんからね。間桐家と衛宮家の親御さんと遠坂葵殿は揃って止めにかかるでしょう」
『その前に宝具使って脅す事にツッコミを入れなさい。唯でさえ円卓の騎士の武具型宝具はランクが軒並みA+以上なんだ。ンなもんをこんな所で使われたら衛宮邸が消滅するっつーの。ブリテン組は放置で、次』
「そうだな………玉藻前、とか?」
『ド阿呆か雁夜。聖杯戦争は魔術基盤がアインツベルン由来の物だから『基本的には西洋圏の英霊しか喚べない』んだぞ? 聖杯自体がバグってるから、東洋の英霊も喚べるだろうが、それでも神霊を候補に出すってどうよ? 仮に喚ぶとして、尾っぽの数はどうするんだ?』
「お、尾っぽの数?」
『そうだ。玉藻前は自他共に認める『ピーキーで扱いづらい』サーヴァントの一騎だぞ? 初期ステータス――尾が1本だと軒並みEランク。尾の数が2本だとステータス数値が1本の時の9倍、3本だと81倍、4本だと729倍と言った具合に倍加していく。9本だと1本の時の4304万6721倍、ステータスランクはオールEXランクだぞ? 悪いが、俺かエルか慢心を辞めたギル以外に抑えられる奴がいないのはキツイ』
「そ、そんなにエグいのか?」
『エグいどころじゃ無い。俺や本気のギルみたくトテモオモシロクスサマジイ。そも、藻女は白面金毛九尾の狐でもあるが、同時に天照の御魂でも有るんだ。それに加え、俺や本気のギル並の分身を百万単位で生み出せる。400光年弱を1分以内に走破。スピンキックで八次元程の次元の隔たりを蹴り壊す。原初の一を持つアリストテレスと同等以上の実力。インテル入ってる。尾っぽ9本で喚んだらこんなトコか。ピーキー過ぎて手に負えんよ。全てを守護する漆黒の鞘の護りこそ破れんが、全て遠き理想郷なら護りごと使用者を消し飛ばす事が出来る。それ以前に、8本で喚ぶなら桜等5人全員で魔力供給しなきゃステータスが軒並み3ランクはダウンするだろう以上で喚んだらヘラクレス以上に魔力吸われて芥子粒も残らんわ』
「そ、そんなにか?」
『あたぼぉよ。神霊舐めんなよ? 迦楼羅や一刀は現界に魔力使わなかったし、俺はサーヴァントの枠に無理矢理押し込められてたのと、死徒になった雁夜の魔力が凄まじかったから、第四次聖杯戦争の時は何とか参戦できたんだ。神霊を現界させるための魔力供給量は死徒並の魔力量保持してないとキツイぞ。取り敢えず、ボツの方向で。次』
「いっその事触媒無しで召喚すれば良いのでは? フリークスも、キャスターも、触媒無しで喚ばれたのだから」
『……いや、触媒無しはやめた方が良いだろう。確かに、その方が相性の良いサーヴァントが喚ばれる可能性もある。が、一歩間違えれば性質が似ているが故の嫌悪や不信感が表れる危険性がある。触媒無しの召喚は一か八かのギャンブルだ。相性ばかり重視されて弱いサーヴァントが呼ばれる可能性もある、その点でもギャンブルだし、何より此処に居るマスターの面々の運はお世辞にも良いとは言えんからな』
「ふむ、其れもそうか」
『まあどちらにせよ、さっさと召喚せにゃな。桜、お前が先陣切って一刀を召喚しろ。士朗、お前は迦楼羅の毛髪を使って迦楼羅を召喚しろ。イリヤはこの触媒を、白野はこの触媒を使って召喚の儀を行え。凛、悪いが、最悪お前は触媒無しで召喚をして貰う事に成る。理由は簡単。英霊が決まらないのと、お前さんが五人の中で一番運が良く、悪運が強いからだ』
「………分かったわ。キラが――師匠が言うなら、私達から文句は無いわ」
「俺も文句は無いぞ、師匠」
「私もです」
「わたしも〜」
「自分も文句は無いよ、師匠」
真面目な表情と雰囲気を醸し出し、決定を告げるキラ。そして其れをさも当然の事のように受け入れる凛達。父親3人は、自身の子供(娘と義娘と義息子)が立派になったと痛感する。目尻に光るものが見えたのは錯覚ではない筈。
『とは言え、凛の召喚の儀は一番最後だな。ひょっとすると、凛の分までサーヴァントを拵える事が出来るかもしれん』
「あら? 別に私は触媒無しでも良いのだけれど?」
『お前が其れで良いなら別に構わんのだがな。…………ん? まてよ? 一刀を喚ぶならクラスは恐らくはランチャー。……ふむ、一刀のゲイ・ボルクを触媒にしてクー・フーリンを喚ぶのも有りだな。みこーん!と来た』
「クー・フーリン……ケルト神話の大英雄か。伝承での最期は、半身が麻痺した状態でゲイ・ボルクで心臓を貫かれながらも、溢れた自らの内臓を水で清めてから腹の中に戻し、石柱に自らを括り付けて立ったまま息絶えたとされる。だったっけか?」
『流石士朗。伊達に英霊と生活してないな。其処まで詳しく勉強してたとは驚きだぞ』
「魔力量や技術とかが他のイリヤ姉達より劣ってるのは俺自身自覚してるからな。ならそれ以外の方面を伸ばして、補えば良いと思って図書館とかに置いてある伝記本とかを読み漁って覚えたんだ」
『何を言ってやがるか。お前の魔力量や技術が劣っているのは事実だ。だがな、総合的な実力は5人の中で飛び抜けて高いのは士朗、お前だぞ? この事は凛達4人を始め、時臣や雁夜と言った親達、ギル達英霊も認める事実だ』
「いやいや、そんなわけ無いだろ師匠」
『所がそんな訳有るんだ。士朗、確かに貴様は、五代属性の魔術では五大元素使いの凛に、錬金術ではイリヤに、魔力の量・質では桜に、補助魔術では白野には勝てないだろう。だがな、貴様は其れを補って余りある才能と実力が有る。【火】【水】【風】の三属性持ち。魔術回路270本。高速思考及び4つの分割思考。雁夜に次ぐ強化の実力。起源【武器】によって強化され、他の者の扱う其れとは一線を画す投影魔術。璃正直伝の八極拳。死徒二十七祖第十一位と第十八位の2体を完全に浄化しきる浄化の力。綺礼直伝の洗礼詠唱。イリヤに次ぐ実力のアインツベルンの錬金術。騎士王と二十合打ち合える武力。解析と究明の魔眼。ナタリア、切嗣と同じフリーランスの封印指定執行者。ウェイバーによる才能発掘。ケイネスの授業による才能の強化授業。英霊による鍛錬。取り敢えず、時計塔の魔術師連中が聞いたら発狂すんじゃね?』
「そうだな。魔術的な実力は私も雁夜も、士朗君にはまだ負けないだろう。だが、総合的な実力はこの場に居る面子の中では、士朗君は4番目だ。正直、今の士郎君の本気を止められるのは、キラ殿、英雄王、エルキドゥ様だけであろう」
「そ、そうなんですか? で、でも俺、剣術じゃアルトリアさん達に勝てないし、魔術の才は凛達に劣るし、八極拳は綺礼に劣るし、錬金術はイリヤ姉や母さんに劣るし、傭兵術もナタリアさんや父さんや舞弥さんに劣るし、魔術の錬度は時臣さんやケイネスさんに劣るし、知識はウェイバーさんに劣るし、分割思考の数は師匠より少ないし、魔力量は――――
『やかましいわ。鬱クラッシャー!』
――――ぶれいどわーくす!?」
暗い雰囲気を纏いつつ鬱って行く士朗に、向かいに座っていたキラがボールを相手のゴールへシュゥゥゥーッ!! 超! エキサイティン!! した。
「い、行き成り何するんですか師匠!」
『このバカチンが。お前が負けたのは全部相手の土俵の上でだろうが。それに、時臣も言ったはずだぞ? 本気を止められるのは俺とギルとエルだけと。お前程の実力者が自分の事弱いとか言ったら此処に居る殆どが弱いって事になるんだぞ?』
「そ、それは……」
『まぁ、俺からの説教はこれぐらいにしといてやる。精々後ろの四人から生きて開放されることを祈るんだな』
「え"!?」
絞り出した様な声を上げ、ギギギギと、壊れた歯車の様にユックリと後ろを見る士朗。其処に居たのは……
「あら、どうしたの士朗。そんなに驚いた表情して」
「せんぱぁい、何でそんな青ざめた顔してるんですかぁ? クスクスクス」
「リン、サクラ、笑顔が怖いわよ?」
「イリヤさんに同意するよ。士朗先輩には同情しないけどネ」
あかいあくま、くろいあくま、しろいあくま、ちゃいろいあくま。イイエガオをした四人が立っていた。
「あ、あの師匠。因みに助けてくれるなんて事は」
『するはずが無かろう。自分で蒔いた種だ、自分でどうにかしろ』
「デスヨネー。でも死ぬ訳にはいかないんだッ!」
「「「「あっ、まてぇーー!!」」」」
逃げる士郎。追いかける四色の悪魔。残ったのは「またか」と言いたげな表情の英霊と親達。
「はぁ、またですか。シロウの自業自得とは言え、流石にアノ状態の4人相手の追いかけっこは遠慮したいですね」
『ぴんくいあくまときんのあくまとあおいあくまときいろいあくまが加わって無いだけマシじゃね? 士朗は男だから聖骸衣でバシューっとフィッシュされて終わりだろうしおすし。愛歌と綾香が加わったら其れこそ手に負えないだろうしおすし』
「やれやれ、僕等は娘息子に春が来たと喜べば良いのやら、行動を見て嘆けばいいのやら」
その後、五人が追いかけっこしてる間に凛が触媒無しで召喚の儀を行う事、士朗が迦楼羅を喚ぶ事、桜が一刀を喚ぶ事、イリヤと白野がキラの用意した残りのサーヴァントを召喚する事になった。
因みに、五人の追いかけっこは夜である事もあり、揃ってキラの拳骨+親&英霊の説教を受けるハメになったのは言うまでも無い。
後書き
~アサ子の同僚
strange fakeのアサシン。ザバーニーヤ18個も体得したのにハサン・サッバーハとして認められなかった哀れな子。アサ子と対面したらまず褒め合い、謙遜し合いが延々と続く。目的はキラ達と同じなので共闘可能
~オワコン
コハエースに於ける青セイバーの呼び名。EXでは赤セイバーも何気にオワコン呼ばわりされている。「ローマはオワコン」
~西洋圏の英霊云々
第三次の時にアインツベルンが喚んだ復讐者が負けた時点で過去の設定
~4304万6721倍
公式設定。EXTRAの初期ステータス×9の8乗倍。制限無しのステータス。抑えられるのは今の所キラとネイキッドギルとエルキドゥだけ
~オールEXランク
最早キャスターのステータスじゃない。マスターが枷にしかならないレベル
~ネイキッドギル並の分身百万単位云々。ダッシュで400光年云々。スピンキックで八次元云々。
後ろ2つは公式。一つ目は半オリジナル。ピーキーにも程があろう
~原初の一
一つの星における究極生物の呼称。アリストテレスとも呼ばれている。星の意思の代弁者であり、その星全ての生命体を殲滅できる能力を有する。死の概念が無いため、物理的に破壊しなければ活動を停止する事は無い。それぞれがそれぞれの星最強の究極生物であり、『タイプ・○○○(天体名)』という称号をそれぞれが冠している。
余談だが、アルティメット・ワンと間違えて覚えてる人が間々居る
~アリストテレスと同等以上の実力
独自設定。運次第ではキャス狐に軍配が上がる
~みこーん!と来た
キャス狐の口癖的なあれとティンと来たを掛け合わせただけ。みこーんは『巫女』と『コーン』を掛けたもの。キラのは藻女の癖が伝染っただけ
~死徒二十七祖第十一位と第十八位
死んでるのと半死半生の。然したる設定も無かったので作者の思いつきで浄化された
~鬱クラッシャー
ボールを相手のゴールへシュゥゥゥーッ!! 超! エキサイティン!! する事
~このバカチンが
金八先生
~四色の悪魔+4
赤と黒はよく着ている服の色から。白と茶色と金は髪の色から。ピンクは口癖から(豚=ピンク色)。青と黄色は気の持ち方(根暗と根明)から。
~聖骸衣でバシューっとフィッシュ
ぴんくいあくまの得意技。主に士朗を捕まえるのに用いられる
~説教
拳骨が痛すぎて碌に聞いていない
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