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ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~

作者:村雲恭夜
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ライト:一回戦

 
前書き
では、ライト君側の一回戦です!! 

 
暫くし、俺は暗闇の中に浮かぶ一枚の六角形(ヘクス)パネルの上に転送された。
目の前には薄赤いホロウインドウがあり、上部に【Raitorob VS Haiboy】と大きく書かれている。そして、ウインドウ下部には、【準備時間:残り58秒 フィールド:古代寺院】の文字列。
俺はそれを見て、右手でメニューを呼び出し、装備ウインドウの武器欄に、メインアーム<バレットM82>、サブアーム<FN F2000>。そして、腰に四本の糸を付けたコンバットナイフをセットする。
その他にも、防具類をキチンと装備し、装備忘れが無いか確認する。
「さて、ロード。今回の作戦だがーーーーーー」
「いつも通り、銃撃からのナイフピットでしょ?大丈夫、行けるよ」
頼もしいロードの声が聞こえ、俺は安心してバレットM82を片手で保持する。
そして、残り時間がゼロになり、俺の体を再度の転送エフェクトが包んだ。























次に放り出されたのは、陰鬱な黄昏の空の下だった。
「はてさて?敵さんは何処に居るかな?」
俺は全力で近くの遺跡に走り、隠れられる場所を探す。
そして、隠れられる場所を見つけ、そこに隠れた。
すると、人影が姿を現す。あれが対戦者<Haiboy>なのだろう。
「まずはお手並み拝見と行こうか、Haiboy………っ!」
俺はバレットM82のスコープを覗き、Haiboyを見る。武器はアサルトライフル一挺、ハンドガン一挺。恐らく弾丸は共通。
それを確認し、俺は引き金を引く。
銃声が鳴り、俺は反動(リコイルショック)によって二歩下がる。
すると、発射炎(マズルフラッシュ)に気付いたのか、それとも銃声に気付いたのか、Haiboyは咄嗟にそこから逃げようとする。しかし、俺の相棒(バレット)の弾丸は相手のアサルトライフルをぶっ壊し、オブジェクト片となり消滅した。
「……次!」
俺は右腰にセットしたFN F2000を片手で保持すると、遺跡の隠れ場から飛び出す。
「なっ!?」
Haiboyは悲鳴をあげ、ハンドガンを俺に向ける。奴の体に無数の<弾道予測線(バレットライン)>が突き立つ。
「わぁあああ」
奴はハンドガンを乱射するが、ロードの銃弾回避能力で軽々と避けると、FN F2000をフルオートで至近距離で射撃。
カタタタタタタタタタ!と軽快な音を立てて、奴の体に当たる。HPバーががくんがくんと、削られ、制限の三十発を放った後には、もうHPバーは五割を切っていた。
弾丸が切れたことにより、Haiboyはコンバットナイフを腰から取り出し、攻撃してくるが、素早く伸ばしたナイフピットにそれを受け止めさせる。
「何っ!?」
「勉強不足だな、Haiboy?」
俺は言うと、コンバットナイフを蹴りあげる。
コンバットナイフを失った奴は、ハンドガンに切り替え、弾を補充する。
が、しかし、それを構えさせるほど俺達は馬鹿ではない。
俺とロードの身体能力で一気に近付き、ハンドガンを叩き落とす。
そして、そのまま背に戻していた相棒を手に取ると、それを体に構えた。
「ジ・エンド。残念だが、ここでゲームオーバーだ。経験値の差が違うんだよ」
そして、引き金を二回引く。
銃声が甲高く響き、奴の体を弾丸が貫く。そして、そのままポリゴン片となり消滅した。
俺は相棒とFN F2000を左右に払い、息を吐く。黄昏の空を見ると、垂れ込める雲をスクリーンにして、パーフェクト、コングラチュレーションの表示が浮かび上がった。
相手が相手な為、余裕の勝利だったが、精神の疲労が高い。狙撃(スナイピング)にはとてつもない集中力が要求され、更に片手で保持しながらアサルトライフルを撃つのだ。それに伴う疲労があって当然である。
すると、転送エフェクトが俺を包み、徐々に喧騒が激しいボックス席付近に居た。
俺はそちらに行くと、幾つものプレイヤー達が戦っているのが見える。シノンや、キリトも中継されている。
後でハッキングしてライブ映像ゲットしようと思った俺の目に、不思議な対戦が写った。
対戦者は【Siybu VS レル】。英語名の方の名はシャドウ……だろうか。綴りは違うが。
それは置いとくとして、俺が注目したのは名前ではなく、武器だ。
彼の武器はスナイパーライフルだが、狙撃した所から一歩も動いていないのだ。まるで、来ても恐れを抱いていないかの様に。すると、レルは接近し、Siybuの狙撃ポイントに突撃した。しかし、彼は動じず、至近距離でヘッドショットを放った。
「……嘘だろ?」
一瞬で相手のHPバーを消し去り、勝利した。それを見た俺は対策を練るため、煩くない所に移動しようと通路に戻ろうとすると、そこにボロボロのダークグレーのマントを着たプレイヤーが居た。そして、そいつは言った。
「お前、本物、か」
「……何?」
俺はそいつを睨むと、質問する。
「本物とはどういうことだ。……お前は何者だ?」
しかし、灰色マントのプレイヤーは名乗る事なく接近してきた。
「試合を、見た。彼処までの身体能力は、彼奴しか、居ない」
すると、プレイヤーは言う。
「もう一度、訊く。お前は、本物、か」
問いの答えよりも、俺は雷撃めいた一つの直感に一撃され、その場に立ちすくんだ。
ーーーーーー知ってやがる。こいつ、俺の事を!!
やはり、何処かでこいつと俺は会っている。顔を見合わせ、言葉を交わしている。
しかし、何処で喋り、顔を見合わせたのかは解らない。
何処だ。何処で出会った!?
俺はその事しか考えられずには居られなかった。
すると、奴は現在進行中のBoBの予選表を呼び出すと、針金の様な指がDブロックを叩く。そこだけが画面一杯に広がる。もう一度叩く。更に真ん中がズームする。
すると、そこには【Raitoroob】と名があった。
指を僅かに動かし、再びーーーーーー声。
「この、名前。あの、動き。………お前、本物、なのか」
すると、俺の体に雷が走るような感覚が襲った。
間違い無い。知ってる。こいつ、SAO生還者か!?
そうでなくては説明できない。<ライト>と言う名前の出自。俺の身体能力。その両方を知る事を。
そして、奴の細い腕から、何かのタトゥーが覗き、それを見て驚愕した。
図柄は、カリカチュライズされた西洋風の棺桶。蓋には、ニタニタと笑う不気味な顔。そしてその蓋は少しだけずらされ、内部の暗闇から白い骸骨の腕が伸びて、見るものを手招きする。
かつて、SAOで空白の一年間、俺が在籍したギルドの紋章。
<笑う棺桶>のエンブレム。
俺は逃げ出したい気持ちを押さえ、そいつを見る。
「誰かと勘違いしてるんじゃないか?俺は本物とか良く解らない」
すると、奴は言う。
「……なら、良い。でも、名前を、騙った、偽物か……もしくは、本物、なら」
後ろに振り向きながら、最後の一言。
ーーーーーー何時か、殺す。
奴はそう言うと、俺の視界から消えた。
俺はその場に膝から落ちて、震え出す。
閉じた瞼には、確かに見えた、小さなタトゥーが焼き付いて離れない。
笑う棺桶。あのエンブレムを使用していたのは、たった一つしかない。
殺人ギルド<ラフィン・コフィン>。
俺は近くにある椅子に、震えながら座り、倒れ込んだ。 
 

 
後書き
さぁ、緊張のライト君サイド!!如何だったでしょうか?
ダーク「少し可哀想過ぎやしないか?」
こんなもので壊れたら主人公なんて出来ない!!
ダーク「うわ、ひでぇ」
では、次回は謎の人物サイドです!! 
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