ロックマンX~5つの希望~
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第十八話 風の戦士
前書き
イグニス、テネブラエ、グラキエス…四天王のうち三人を撃破したハンター側。
ルナはアクセルと共に最後の四天王、ウェントスの元に向かっていた。
2人がいるのはかつてストーム・イーグリードが占拠したエアポート跡。
エックスとレッドが対峙した場所でもある。
2人はバレットを構えてランナーボムやメカニロイドの群れに突撃した。
アクセルは様々な銃器による多彩な攻撃。
ルナは様々な変身を繰り返しながらメカニロイドを破壊していく。
2人にとってはランナーボムやメカニロイドの群れは敵に値しない。
どれほどの数がいようとも、容易く薙ぎ払えるからだ。
エックス、ゼロ、ルイン、ルナ同様にアクセルも解析不能な部分が多い。
あのゲイトの頭脳を持ってしても解析出来ない部分が多いのだ。
ホバーを装備するために機動力を重視した軽量のアーマー。
防御力はそれに比例して低い部類に入るが、高い機動力とルナにはない変身能力を応用した回復能力が低い防御力を補っている。
しかし、アクセルの顔の傷はアクセルの回復能力を持ってしても治癒出来ないらしく、恐らく、そこに彼の正体が関わっているのだろうが。
唯一分かっているのは、新世代型レプリロイドの試作型ということくらいだろうか。
ルナ「しつけえんだよ!!」
ホーミングショットのコネクションレーザーが数体のメカニロイドを破壊し、アクセルもギガランチャーによるショットでランナーボムを粉砕した。
アクセル「雑魚ばっかり出してないでとっとと出て来たら!!?」
サークルボムが最後のメカニロイドを破壊した。
「そうか、ならば期待に応えなくてはな」
真上から聞こえてきた声に2人は顔を上げた。
ルナ「…ウェントス!!」
ウェントス「運命からは逃れられぬというわけか…やはり来たか。失敗作と同胞よ」
アクセル「あのさ?一々一々僕を失敗作って言うの止めてくんない?僕は僕…そしてあんたはイレギュラーさ」
不機嫌も隠さず、ウェントスを睨み据えるアクセルだが、ウェントスはそれに何の感情も抱かず2人を見据える。
ウェントス「愚かな…イレギュラー?そんな単純な問題ではない。理解出来ぬからと恐れ、恐れるから排除する…愚かな人間とその子飼いである貴様らイレギュラーハンターがいるからこの世界に争いが絶えぬのだ」
ルナ「何だと?」
バレットを握り締め、ウェントスを睨み据える。
ウェントス「そう……かつて、ある男が傭兵として所属していたその部隊は、他でもない、お前達イレギュラーハンターに、イレギュラーの烙印を押された。レプリフォース大戦……後の世の者はそう呼んだ。」
ウェントスがその言葉を口にした途端、ルナからは明らかな動揺が見て取れた。
アクセル「レプリフォース大戦…?」
過去の記憶が一切ないことを差し引いても、アクセルには知らないことが多すぎた。
そんなアクセルを置き去りに、話は進んでいく。
ウェントス「“勝てば官軍”……とでも言おうか…“正義”を名乗るのは思ったよりも簡単でな、勝てば良いだけだ。…貴様らにいいことを教えてやろう。かつてレプリフォースに所属していた傭兵…その名は、今はレッドアラートのリーダー・レッド。」
ルナ「は…!!?レッドアラートのリーダーがレプリフォースに所属してたってのか!!?」
ウェントス「そうだ。奴は貴様らイレギュラーハンターから命からがら逃げ延びた後、小規模ながら自警団を結成した。貴様らイレギュラーハンターなどいなくても平和を守れるということを思い知らせるためにな」
ウェントスが言う衝撃の事実にアクセルとルナは目を見開いた。
ウェントス「今までの戦争は愚者共がいたから起きたこと、愚者共の浅はかな選択が悲劇を起こしてきた。ならば、その選択は賢者に任せてみるべきだと思わないか?」
ルナ「…ケッ、天才様の考えることは分かんねえな、俺には邪魔する奴は死ねって言ってるようにしか聞こえねえがな」
ウェントス「…そう、私が目指す世界に平和を乱す愚か者の居場所はない。邪魔をするのならば、例え同胞だろうと斬る」
アクセル「愚か者ね…僕にはあんたが狂っているようにしか見えないけど…」
ウェントス「狂った…?ではお前は自分が何をしようとしているのか分かっているというのか?」
アクセル「…多分ね。どっちが悪くてどっちがいいかぐらいは分かるよ。」
ダブルバレットを構え、臨戦体勢となるアクセルにウェントスもダブルセイバーを構えた。
ウェントス「私にも分かるとも…狂っているのはこの世界だ。私はこの世界を変えてみせる!!行くぞ、イレギュラーハンター!愚者に…死を!!」
バーニアを吹かし、アクセルに向けて降下してくるウェントス。
ダブルセイバーの斬撃をダブルバレットで受け止める。
ルナ「アクセル!!」
ルナもバレットを構えてレーザーを放つ。
ウェントス「ふん」
バーニアを吹かし、一気に上昇することでかわす。
アクセル「逃がすもんか!!」
ホバーでウェントスを追い掛けるアクセル。
ウェントス「愚かな、そのような雛鳥のような動きで私に盾突くか!!舞い散れ!!プラズマサイクロン!!」
電撃を纏う竜巻を前方と後方に放つプラズマサイクロンH。
アクセル「うわっ!!?」
直撃を受けたアクセルが撃墜された。
ルナ「てめえ!!」
ウェントス「遅いな…」
ルナの射撃を尽く回避するウェントス。
バーニアを吹かし、縦横無尽に飛び回るウェントスの機動力はルナとアクセルの動体視力を上回っていた。
それはかつてエックスが使っていた空戦用アーマー、ファルコンアーマーに匹敵する程だ。
凄まじい速度で動き回り、一撃離脱を繰り返すウェントス。
ルナ「トランスオン!!カラスティング!!」
空戦が得意なカラスティングに変身し、ナイフを構えて突撃する。
ウェントス「ほう?コピー能力か。しかしオリジナルよりも劣化している出来損ないの模造品が私に勝てると思うか!!いでよ!!プラズマビット!!」
3本の電撃を発生させるビットをルナの周囲に複数召喚し、回転させてルナを迎撃する。
ビットがかなりの速度で回転する。
ルナ「うっ!!?」
ウェントス「本来ならすぐに終わるのだが、苦しみもがいて死ぬがいい!!」
アクセル「やばっ!!ディフュージョンレーザー!!」
ホーミング性能を持つレーザーを放ち、ウェントスに当てようとするがセイバーで掻き消される。
ウェントス「はあっ!!」
セイバーによる衝撃波が放たれ、ルナを吹き飛ばし、アクセルにはプラズマサイクロンで吹き飛ばす。
ウェントス「遅い…そして弱いな…貴様らは本当に私の同胞と奴の最後の作品か?それとも私が強すぎたのか?」
ルナ「(こ、こいつ、とんでもなく強い…!!今のままじゃ勝てねえ…なら…)」
ウェントス「プラズマサイクロン!!」
とどめとばかりに放たれたプラズマサイクロンHが2人に迫る。
ルナ「…トランスオン!!」
ルインから聞いていた各アーマーの弱点。
それを頼りに唯一、ウェントスを倒せる可能性を持つレプリロイドに変身した。
そして竜巻を簡単に消し飛ばしてしまった。
ウェントス「グラキエス…だと!!?」
同胞の中で唯一友人であった彼に変身したということはグラキエスはハンターに敗れたということだろう。
ウェントス「面白い、グラキエスとは一度本気で刃を交えてみたいと思っていた。劣化しているとはいえ、グラキエスの力を操る相手…面白くなってきたぞ!!」
ルナ「アクセル、離れてろ」
アクセル「…分かったよ」
実力差を痛感したアクセルは渋々とだが、離脱した。
ルナ「…始めるぜ?」
ウェントス「行くぞ!!」
バーニアを吹かし、瞬く間にルナに肉薄し、ダブルセイバーを振るうがハルバードで受け止める。
グラキエスに変身したルナはそのスピードについていくことが出来、見事に応戦してみせた。
ウェントス「プラズマサイクロン!!」
ルナ「アイススティッカー!!」
氷塊を生み出し、それをハルバードで粉砕し、氷の刃を放つ。
氷の刃は竜巻を消し、ウェントスに直撃する。
ウェントス「馬鹿な…!!?」
身体が凍結したウェントスは地面に落ちる。
直ぐさま氷を砕き、着地する。
ウェントス「成る程…流石はグラキエスと言ったところか…劣化した模造品がこの私とほぼ互角とはな。」
ウェントスとオリジナルのグラキエスの実力は単純な戦闘力では互角、属性の相性を考えれば向こうの方が上かもしれないが。
しかし現在の身体に慣れるための鍛練ではウェントスが勝った。
それは地上での戦いだったからだ。
水中戦に特化したグラキエスはどうしても地上では動きが鈍くなってしまう。
故に…。
ウェントス「水中であれば貴様の勝ちだったかもしれないがな!!」
衝撃波を繰り出す。
咄嗟に氷塊を出して防御するが、容易く砕かれた。
ウェントス「とどめだ!!」
再び衝撃波を繰り出す。
それは真っすぐにルナに迫る。
アクセル「ガイアシールド!!」
衝撃波とルナの間に入り、超硬石の盾で防ぐ。
ルナ「アクセル!!?」
アクセル「アクアガトリング!!」
水弾が凄まじい速度で連射されるが、ウェントスはそれを容易くかわしていく。
ウェントス「貴様のような失敗作が私の邪魔をするな!!プラズマビット!!」
ビットを複数召喚し、アクセルに攻撃する。
アクセルはローリングで回避し、ディフュージョンレーザーで攻撃する。
ウェントス「舐めるな!!」
セイバーでレーザーを掻き消し、アクセルに肉薄するが、バレットで受け流して、顎に蹴りを入れる。
ウェントス「なっ!?(どういうことだ?先程と動きが違う…まさか、覚醒しようとしているのか?いや…まだか…)」
ウェントスは冷や汗をかく、アクセルの異常とも言える成長速度に。
ウェントス「失敗作と言えど、あの男が遺した作品であることに変わりはないということか…!!」
ルナ「俺を忘れるなよ!!」
アイススティッカーを繰り出す。
ウェントスはプラズマサイクロンHで氷を吹き飛ばし、ルナに斬り掛かる。
アクセル「させるか!!スピンホイール!!」
ビーム刃が回転しながら発射され、ウェントスの翼を切り裂いた。
ウェントス「なっ!!?」
ルナ「トランスオン!!イグニス!!」
グラキエスからイグニスに変身するルナ。
ウェントス「愚かな、私に炎は…」
ルナ「効かないんだろ?分かってるさ!!メガトンクラッシュ!!」
オリジナルのルイン同様、ウェントス達の硬度と強靱さを兼ね備えるジャケット型アーマーは、如何なる力をもってしても貫通は望めない。
ルナとて敵の防御力は重々承知していた。
踏み込みと同時に螺旋回転させたメガトンクラッシュを捻じ込む。
中国拳法さながらの絶技。
四天王随一の豪腕が鳩尾に突き刺さり、打撃の衝撃は内部まで容赦なく抉る。
ウェントス「ぐっ…馬鹿な…!!?」
ウェントスは血反吐を吐きながら宙を舞う。
そして何とか着地するも膝を着いた。
ウェントス「この…私が、このような失敗作共に遅れを取るとは…!!人間共の子飼いの貴様らが正義を名乗るなど、私は認めない!!この世界は…私が変えてみせる!!」
そう言い残し、ウェントスは転送の光に包まれて消えた。
ウェントスのDNAスキャンも終了し、ルナとアクセルはハンターベースに帰還する。
後書き
ウェントス撃破。
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