『自分:第1章』
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『文化祭Ⅰ』
時間あるから、通った事無い道を敢えて通った。
新発見があって楽しかった。
学校に着いた。
涼君が待ち合わせ場所で友達とジャレてた。
まだ早い。
涼君は優しいから、もっと早くから待っててくれたんかも知れん。
『だいぶ待ってた?』
『零那サン!...んーや!んなこと無いよ!遊んでただけ。変わらんねぇ、元気やった?』
『優しいなぁホンマ...ありがと!今元気なった♪』
『何言いよん!行こ!ユウたこ焼きしよるよ!』
『好きなねーたこ焼き!』
『あはははは』
零那が1人暮らししよった家で、皆で、たこやきパーティーした事あったんやけど、ユウほんま上手だった。
ビックリするくらい。
懐かしい。
此処から消えたバレンタインの日から約8ヶ月。
濃い8ヶ月だった。
何年間も経ってる感じ...
人生いろいろ有り過ぎて疲れてた。
年の変わらん可愛い幸せそうな女を見ると、醜い嫉妬心がドロドロ溢れ出てくる。
そりゃ綺麗に生きてたら見た目も心も綺麗なまんまやんな。
自分みたいに汚くて醜い、卑屈で他人を羨むだけなら不細工にもなるわな。
自分の不幸を他人のせいにしたりもした。
自分より不幸な人は腐る程居るのに。
些細なことでも良いから『普通』が欲しい。
『普通』を知りたい。
解りたい。
感じたい。
覚えたい。
これからもまた皆に教えて貰いたい。
世間の常識とやらを...
そんな事を考えながら、文化祭会場に入った。
空気が変わった。
男しかおらん。
何気に怖い。
全学年の内、数人の女生徒は毎日どんな学校生活しよんやろ...大丈夫なんかなって心配になった...
涼君が、何人かに『えっ!女おったん!』とか聞かれてる。
『ごめん、勘違いされて嫌やんね!迷惑かけてごめん...』
『なんちゃよ。気にならん。平気平気♪』
『...ユウにその余裕分けたげてや。絶対相当嫌がる!』
『ユウが嫌がったら俺の女って事にしとこっ♪』
『えっ!申し訳ないわ。こんなんが涼君の女とか、皆超ガッカリやん!涼君の女は綺麗な大人で上品な女やないと!!』
『ないない!そんな女要らん!零那サンで充分よ。』
いつも大体クールで大人っぽい涼君。
今は、零那の知ってる涼君じゃなくて、ちゃんと高校生らしい感じで可愛らしい。
涼君は友達の店に連れて行ってくれた。
そこで樹と仲良くなった。
零那と同じくらいの身長で可愛い系。
今時の子って感じ。
常に満面の笑顔。
樹が『今作ったん食べて』って焼きそば持って来てくれた。
涼君と2人で食べた。
現役に戻ったような錯覚に陥る。
でも、現役時代より遥かに楽しい。
樹とフザケながら話してる涼君は、普段見てた涼君と違ってチャント子供だった。
安心した。
どことなく気になってた...
冷めてるのか真面目なのか、大人っぽいだけなのか...
それとも複雑な事情があるんかな?とか勝手に考えてたから。
樹との絡み方は、ユウとの絡み方ともまた違う。
普通の高校生らしくて凄く安心した。
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