ソードアート・オンライン-ゲーム嫌いの少女冒険譚-
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
アインクラッド編
黒・白・赤の出会い
前書き
ここから原作キャラも多くなってきますので物語に厚みが出てくるのでは? と思います。
それでは、どうぞ。
――デスゲーム開始から二年、SAOのプレイヤー数は六割程度にまで減っていた。その中のプレイヤーは主に三タイプに分かれている。まずはダンジョン攻略を専門に行う〈攻略組〉、次に安全マージンを十二分に取って既に攻略されたダンジョン攻略をする〈中層プレイヤー〉最後に第一層の〈はじまりの町〉で待機し続けている待機組だ。私は前線に立ち続ける攻略組に属している。そして攻略組にも二つに分かれる。大多数は大小なりともギルドに所属している。そしてごく少数は危険を顧みずに単独行動するソロプレイヤー。私はソロプレイヤーとして、日々の攻略に努めている。
「第五十層アルゲード、雑多って言う表現がこれ以上似合う場所は無いわよねぇー。でも、この町はそれでも惹きつけられる魅力はあるんだよね。」
様々なプレイヤーで溢れ変え、雑多という表現を当てるのにぴったりなこの町を歩いている。赤いコートに白いラインを装飾を施している。こんな恰好は大変目立つ。そしてこのSAOでは珍しい女性プレイヤーであるためか、いわゆる「その手」の誘いもないわけではない。幸いSAOはそういう辺りはしっかりしてるので問題は殆どないが……
「おっ、ここだここだ。結構通りを歩かないといけないから見つけにくいんだよねぇ。」
暫く歩いて一件の店へ到着する。今回の目的地はこの店だ。いつでも賑わっているこの店に足を踏み入れた。
「よう、久しぶりじゃねぇか、レミー。またアイテムの買取りか?」
「久しぶり、エギル。ちょっと買い取って貰いたい物があって来たの。」
カウンターにいたのはスキンヘッドで浅黒い肌をした大男。迫力溢れる姿だが、商人としての腕は確かだ。まぁ、多少阿漕な商売をしていると指摘されることもあるけれども、信頼のおける人物に間違いない。
「おう、だったらいつもの場所にアイテムを出現してくれや。そうしたらいつも通り査定するからよ。」
「OK、分かったわ。」
そう言うと、私は買取りスペースに向かい、売ろうとしてるものを出現させた。それを一つ一つ吟味しながらもある商品を見つけて、言葉を漏らした。
「――レミーもキリトと同じもの持ってきたのか……全く運が良いんだか悪いんだか……」
「え? 今、キリトがここに居るの?」
「居るよ、ほら――あそこだ。」
エギルが指差した方向を見ると黒と白の見事なコントラストが目に飛び込んでくる。何やら白い方が黒い方と話をしているらしい。私はそちらの方へ向かうと声を掛けた。
「――キリト、アスナ、二人とも久しぶりだね。元気そうで何よりだよ。」
「ああ、レミーか。どうしたんだ? 普段〈上〉で済ますような奴がここに来ることなんて珍しいな。」
先に返事をしてきた方――黒い服を着た青年、キリトと話し出す。全身黒づくめで〈黒づくめ(ブラッキー)〉と呼ばれることも少なくない。彼も私と同じ攻略組のソロプレイヤーだ。
「そうね、普段なら向こうで済ませてるんだけどね。ちょっと《ラグー・ラビットの肉》が手に入ったけれども扱い切れないから売ろうかと思って。」
滅多に手に入らないS級食材の《ラグー・ラビットの肉》。料理スキルがマックスなら調理も出来ただろうが、生憎そこまでの熟練度に至っていない。それで仕方なく《ラグー・ラビットの肉》を売りさばこうと思って、と言おうとしたときに女性の声が割り込んだ。
「ねぇ、レミーちゃん。《ラグー・ラビットの肉》一緒に食べない? ちょっとキリト君に頼んでも一口しかくれないって言ってくるし……」
「キリト……それはダメだよ、キチンと分けてあげなきゃ。アスナ、私のも使って良いからさ料理、作ってくれない?」
割り込んできた透き通るような声の持ち主は、アスナという女性プレイヤー。キリトとは違って白い服、それもこの攻略組でのギルドの中で最強とも言える〈血盟騎士団〉の副団長だ。今までのフロアボスの攻略の際に彼女が指揮を執っていたことも多々あった。二人とも一応私のフレンドだ。三人ともボス攻略が切っ掛けではあったけれどもアスナとは懇意にしている武器屋経由でも親しくなった。今ここに居るのは攻略組のトッププレイヤー。それも黒、白、赤、と特徴づけられたカラーであった。
「え? 良いの?」
「良いよ、良いよ。その代わり、私にも料理作ってね?」
「その位ならお安い御用だよ。なら食材に免じて私の部屋で作ってあげるわ。」
これが上手い取引ということかは分からないが、アスナなら料理スキルをコンプリートしている。なら任せられるだろうと思い、私は《ラグー・ラビットの肉》を渡し、交換条件で調理をしてもらうことになった。調理場所は食材が良かったからかアスナの部屋を借りることになった。私の部屋でも出来るが、普段慣れている場所の方が良いだろうとの私の気遣いと男の人の部屋で作るのは多分材料も機材も足りないのでは? という不安から提案したのであった。何となくアスナの顔が赤らんでいたのはキリトを呼べる嬉しさなのかな? と勝手に想像しつつ、エギルに《ラグー・ラビットの肉》は売らないことを告げて大層がっくり来ているのを見ながら私とアスナのホームタウン〈セルムブルグ〉へとキリトと共に向かうのであった。その時アスナの取り巻きの騎士の中で何やら嫌そうな奴が居たが、気にしないことにした。
後書き
今回はいかかでしたでしょうか?キリト、アスナと原作キャラが登場し物語は進んでいきます。あともう少しオリキャラ出した方が良いのかな? と検討しております。
ご意見・ご感想等お待ちしております。
ページ上へ戻る