『自分:第1章』
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『本心』
オッチャンは、怪我ないんか?頭打ってないんか?って探り探り色々聞いてきた。
零那は答えた。
『今更、こんな事くらいで傷つくほど弱くない』
レィプされて何も思わんって頭おかしい?
でも、特に暴力も無かった。
刃物突きつけられたりも無かった。
ただただ単純に汚い物体と体液の挿入を繰り返されただけ。
簡単に言うたら、皆が、恋人や夫婦以外の誰かとヤッてる事と同じ。
不道徳な汚い行為や。
知らん奴にヤラレたってだけ。
嫌悪感、吐き気、頭痛、拒絶反応、膣の痛みは相当やけど。
あんなクズな奴達に殺されんかっただけマシ。
不幸中の幸いってやつ?
むしろ自分が殺傷能力のある物を持ってたら殺してたかも知れん。
オッチャンが目の奥を抉る様に覗いてきた。
『強い弱いやないやろ?辛い筈や。傷ついてる。自分を犠牲にして他人の心配できるオマエが、レィプ受けて平気でおれる冷めた心では無い筈や!!』
『自分の事やからこそ諦めれるし辛くもない。イタミやか感じん。慣れやんか、こんなん。養父の時に受けた絶望的な闇に比べたら、今更って感じ。こんな小さい事件で傷つく位なら、とっくに零那は手段選ばず...他人に迷惑かけてでも死んでた。こんな程度、意地でも泣いたらん!!』
オッチャンが黙ってジィーッ!と見てくるけん続けた。
『笑い飛ばして終わりや。こんな蚊に刺されたような小さな小さな傷。トラウマにやか絶対ならん。強がりでも何でもない。本心や。心配されることが申し訳ないと思ってしまう位。』
オッチャンは、ゆっくり話し始めた。
『オマエの言う傷は、でっかいモンだけなんか?ちゃうぞ?小さい小さい傷かて立派な傷や。治していかなあかんねん。
でっかい傷は時間かけたかて消えんかったり痕に残ったり、傷が開いたりもするし、綺麗な完治が難しい。やからこそ小さい傷はシッカリ完治ささなあかんやろ?
世の中で言えば犯罪、被害者、トラウマになるような事件や。でもオマエはもっともっと苦しんで生きてきた。今回の傷は軽いやろう。でも、傷は傷やから治さなあかん。
簡単や!泣いてしまえ!今此処で!それで治る!!』
何故か意志とは裏腹に涙が溢れてきた。
止まらん。
『オマエが頭で思うより心はチャント傷を感じてるんや。』
『いやいやだから傷は付いてないって言うてるやん。』
『オマエ解らんのか?また、オマエん中の違うオマエが邪魔しよんか?受け入れろ!目を逸らすな!』
『...いや、ほんまに平気なんやって。悪いけど、もう弱くも無いし純粋でも無い...』
『じゃあ何の涙や!』
『そんなん知らんわ!』
なんでオッチャンと喧嘩せなあかんねやろ...
なんしょんやろ自分...
兄ちゃんが来た。
『まぁまぁまぁ!落ち着いてや!』
『零那は事実を言ってるだけやん。』
『組長、相当心配してた...始発のフェリーで来る言うてたん止めたんやけん。夜に山から歩いて帰ってきて、さすがに相当疲れて寝てるやろうからって。
オマエなら、その時の組長の気持ち解るやろ?勿論俺も心配やった。そいつら半殺しになる迄、殴り続けてやりたかったくらいや。でも、それで俺が捕まったらオマエは自分を責めるやろ?』
『当たり前やん!あんなクズ共のせいで人生無駄にするとか有り得んし!でもまぁ始発で来てくれてたら寝てたわ』
1人で釣りしてるオッチャンとこ行って謝った。
でも、ほんまに平気やってのも言った。
こうして心配してくれる人が居るからこそ、平気なんやってのも付け加えた。
それが自分の強さなんやから。
感謝してる。
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