美しき異形達
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第二十三話 明るい日常その四
「お坊さんになりますから」
「ううん、私にはとても無理ね」
「まあ禅宗は別格として宗教関係ですと」
「朝は早いのね」
「どうしてもそうなります」
どの宗教でもというのだ。
「神道も天理教もキリスト教も」
「朝早いのが宗教なのね」
「その代わり夜は早いです」
これもまた普通だというのだ。
「もう十時には」
「寝てるのね」
「はい、そうしています」
「確かに早いわね」
十時就寝と聞いてだ、先輩も言う。
「私十二時よ」
「お寺以外のお家ではそうですよね」
「十二時を超えることもね」
「ありますか」
「普通にね。とはいっても夜ふかしはあまりしないわ」
「そうですか」
「ええ、夜ふかしは身体に悪いから」
だからしないというのだ。
「寝る様にはしてるのよ」
「やっぱり寝ないと駄目ですよね」
「そう、健康第一だし」
「そうですよね、寝ることと食べることは大事ですよ」
「美容にもいいから」
寝ることは、というのだ。
「というか夜ふかしはお肌に悪いから」
「寝ないと駄目ですね」
「そういうことよ、だから寝るのよ」
そうしているというのだ。
「けれど十時に寝て」
「四時半に起きてます」
「凄いわね、お寺は」
「お寺では普通ですよ」
こうしたことを話してだった、部室の外に出て。
そうして部員全員で準備体操をして走る、向日葵はクラスに入りそうしてクラスメイト達共楽しく話した、そして。
それからだ、昼食の時にだ。
向日葵は食堂できつねうどんをすすりつつだ、薊達に笑顔で言った。
「このおうどん美味しいわね」
「おうどんなあ」
薊も向日葵と同じきつねうどん、それの揚げを食べつつこう言った。
「関東じゃだしが違うんだよ」
「そうらしいわね」
「だしが黒いんだよ」
「墨汁みたいによね」
「そうなんだよ、しかも辛くてな」
それでだというのだ。
「味が全然違うんだよ」
「美味しいの?」
「はっきり言ってあたし的にはな」
「薊ちゃん的には?」
「こっちの方がいいな」
関西のだしの方がというのだ。
「味が深いよ」
「お醤油も違うのよね」
「そう、違うんだよ」
「こっちは薄口醤油でね」
「関東の醤油は普通の醤油だけれどな」
その醤油が、というのだ。
「辛いし。だしもこっちの鰹節とか昆布の方がな」
「味がいいのね」
「そうだよ、お蕎麦のおつゆもな」
こちらもだというのだ。
「関東の方が辛いんだよ、関西のは口に入る味が優しいな」
「関東のよりも」
「どうもな」
「それで薊ちゃんも」
「ああ、こっちの方が美味しいな」
そうだというのだ、うどんを食べつつ。
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