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美しき異形達

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第二十三話 明るい日常その二

「どうしてもね」
「そうか、御前もか」
「誰かね」
「というか早く作れ」
 こう言って来たのは父だった。見れば髪の毛はふさふさとしている。
「御前も」
「お父さんもそう言うの?」
「そうだ、何なら父さんがいい人を紹介してやる」
 こうも言うのだった。
「だからな」
「ううん、お父さんがって」
「そうするがどうだ?」
「そこまではね」
 彼氏の紹介まではというのだ。
「流石に」
「嫌か」
「自分で捜すわ」
「そうするのか」
「見付けるから」
「そうか、頑張れ」
 父は娘に確かな声で言った、こうした話をしてからだった。
 部活に出る、朝練に出るとだ。
 部の先輩からだ、部室でジャージに着替える時にこう言われた。
「王衝さんってお寺の娘さんよね」
「はい、そうですけれど」
「じゃあ朝は」
「四時半に起きてます」
「毎朝?」
「はい、朝は家族で境内に入って」
 それでというのだ。
「読経をしています」
「凄いわね、それって」
「ううん、確かに早いですけれど」
 このことは向日葵もわかっている、普通の家よりも遥かに早い朝であることはだ。他の家の子の友人が多いからだ。
「お寺とか神社ですと」
「朝早いのね」
「宗教関係はどのお家も朝早いんです」
 オレンジのジャージの上下を着ながらの言葉だ。
「それで夜も」
「早いのね」
「jはい、早寝早起きです」
 そうだというのだ。
「そうした生活です」
「いい生活ね」
 先輩は早寝早起きイコールそれだと認識して言った。
「本当に」
「そのせいかいつも凄く健康です」
「そしていつも明るくにこにことしてて」
「私いつもそうですよね」
「ええ、明るくてね」
 そして、というのだ。実際に。
「誰にでも優しくてね」
「そうしないと駄目とも言われてます」
「ご家族に」
「そうなんです」
「そうしたことも教えられるのね」
「やっぱりお寺だからだと思います」
 このことも自分から言う向日葵だった。
「朝は」
「そういうことね、そういえば」
 ここで先輩は向日葵の髪型も見た、いつもの左右を巻いてセットした髪型である。
「髪型も」
「はい、朝起きて読経の後で」
「セットしてるのね」
「そうしてます」
「結構手間かかるでしょ」
「ううん、コツがありますから」
 それ程まではというのだ。 
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