| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

dark of exorcist ~穢れた聖職者~

作者:マチェテ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第24話「葬儀」

 
前書き
投稿遅れて本当にすみませんm(__)m 

 
―――【ヴァチカン“悪魔狩り連盟 ルークス・ソーリエ”】


アイリス・エインズワース。
クリストファー・クロス。
アリシア・バルバーニー。
キリシマ ソウヤ。
フラン・ベアリング。
ブライアン・バルバーニー。

アルバートの指示でそれぞれ任務を与えられていた悪魔狩り達が帰還した。


ただ一人………パトリック・カルヴァンを除いて。







“ルークス・ソーリエ”に一番最初に帰還したのはキリシマだった。
既に大聖堂の中にいたアルバートとべリアルは、同時に驚いた表情を浮かべた。

血だらけのパトリックを背負ったキリシマが、大聖堂のドアを静かに開けて入ってきたのだ。

「おい、キリシマ………パトリックは………」

「………………………」

ベリアルがキリシマに聞くが、彼は何も答えない。
キリシマは顔を伏せているため、表情が全く分からない。




「そうかい……………パトリック………」

アルバートもキリシマと同じように顔を伏せた。






全員が帰還したところで、アルバートは悪魔狩り達を全員大聖堂に集めた。

「皆集まったね? ………まずはお疲れさま。そして………重大な報告がある」






「………………………パトリックが、殉職した……」










次の日、パトリックの葬儀が静かに開かれた。
6人の悪魔狩り、アルバート、ベリアルの8人で、パトリックの冥福を祈った。

「パトリックさん………なんで、こんなことに……!」

「パトリックちゃん……」

クリスとフランは棺の前で、他人の目を気にせず涙を流す。

「いい奴だったのになぁ………畜生」

「こんなことになるなら………もう少し仲良くしとくべきだったわね……」

ブライアンとアリシアは棺をじっと見つめ、パトリックの死を嘆く。

「………………………」

キリシマは、顔を俯けて黙っている。


「………ん? アルバートさん、ハルは来てないのか?」

「ハルはまだ仕事中……まだ来れないって………」


“ハル”とはルークス・ソーリエに所属する悪魔狩りの一人のことだ。
本名は“フジムラ ハル”。キリシマと同じ日本から来た悪魔狩りで、現在は仕事でイギリスにいる。

「そうか……………アイリスは?」

ブライアンが周囲を見渡すと、アイリスはいつの間にか棺の側にいた。
アイリスは棺に顔を寄せ、棺をパトリック本人であるかのように撫でた。


「お疲れさま…………今までありがとうね、パトリック君……」


その場にいた悪魔狩り達は、アイリスの表情を見て驚いた。同時に悲しみがこみ上げた。

穏やかな笑み。まるで聖母のような全てを優しく包み込む笑顔。
しかし、その眼からは止めどなく涙が溢れていた。


















―――葬儀から4時間


アリシアとフランは、大聖堂の自室に引っ込んでしまった。
2人とも「しばらく一人になりたい」と言って大聖堂の2階に消えた。
残りの悪魔狩り達は、大聖堂の長椅子に座っていたり、顔を伏せて立っていたりと、全員思い思いの
姿勢で黙っていた。

「………寝ちまったみたいだな」

ブライアンが指差した方に目を向けると、棺に身を寄せて眠るアイリスの姿。
柔らかな寝顔を見ると、目元に涙の痕が残っている。

「はぁ……仲間の死ってのは、いつ見ても慣れねぇもんだな……」

「そう、ですね…………しかも、それがパトリックさんだなんて………」

悪魔狩りという立場である以上、嫌でも見る光景が「仲間の死」と「仲間の葬儀」だ。
何故守ることが出来なかったのか。何故仲間が死ななければならなかったのか。

決して拭うことの出来ない疑問と後悔。
仲間の死を背負う責務。

悪魔狩り達はそれらを抱えて戦い続ける。



「………………………………すまない。俺がいたというのに………」

「キリシマさん、あまり自分を責めないでください……」

「そうだ、責めるべきはキリシマじゃねぇよ。パトリックをこんな目に会わせやがったクソ悪魔の方だ」

ブライアンの表情が少しずつ憎しみの籠った表情に変わる。




「ダメだよ……………」

小さな声が3人の耳に届く。
声の聞こえた方に視線を向けると、いつの間にかアイリスが目を覚ましていた。

「ダメだよ……そんなの…………憎しみ合うなんて………悲しいし、辛い…………」



「私が………背負うから…………パトリック君と、戦った悪魔の……罪を………」



「だから……みんな………悪魔を……恨んじゃ………ダメ…………」

言い終えると、アイリスは再び眠ってしまった。

「ったく、寝ぼけてんのに………」

「アイさんって、本当に優しい人ですよね。悪魔なんかじゃなくて天使の生まれ変わりかも……」

「だよな、俺も否定しねぇよ。クリス、部屋まで運んでやれよ」

「はい」

クリスはアイリスを抱き抱え、大聖堂の2階まで運んでいった。
それを見届けたブライアンは、キリシマの方に視線を向ける。

「キリシマ、お前はどうする? 敵討ちするって考えはアイリスの言葉聞いても健在か?」

「…………………………………」

キリシマは無言でブライアンに背を向ける。
そしてそのまま大聖堂から出ていった。





「死に急ぐなよ、キリシマ。……あれ、ベリアルどこいった?」


















―――【大聖堂・屋上】


ベリアルは大聖堂の屋上から、ある一点のみを見つめていた。
視線の先にあるのは、ヴァチカンの街並み。
しかしベリアルはヴァチカンの街並みなど眼中にない。
見ているのはその遥か先。

遥か先に立つ灰髪の男。




「…………ずっと和解を望んでたけど、もうやめだ」









「……………………………焼き潰してやる……フォカロル」 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧