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戦国異伝

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第百七十八話 宴会その十

「他にも」
「他にもか」
「城を置くべきかと」
「城か」
「はい、丁度西国に睨みを利かせる為にも」
「殿も考えておられましたな」
「城はな」
 それはというのだった、信長も。
「考えておった、石山の辺りは確かに丁度よい城を築ける場じゃ」
「左様ですな」
「しかし本願寺はか」
「本願寺は置きますが政を考えますと力が強過ぎます、ですから分けるべきかと」
「本願寺の力をじゃな」
「出来れば西と東に」
 利休は信長に淡々と述べていく。
「東は都を民も含めて中から守護し」
「西はじゃな」
「そのまま摂津に置き」
 石山から離してもというのだ。本願寺はまだ西に置くべきだというのだ。
「その城、あとは住吉神社や四天王寺と共に」
「天下の心の臓を守るものとすべきか」
「左様かと、そして東国も」
「そこにもか」
「東も天下の要ですから」
「置くべきか、何かと」
「どうやら武蔵、特に江戸はです」
 そこがというのだ。
「四神相応の地であり」
「都と同じくじゃな」
「しかも大きな城を築けます」
「では江戸にもか」
「はい、大きな城を築くべきかと」
 やがてはというのだ。
「そしてそこからです」
「東国を治めるべきか」
「左様かと。あの地の未申には鎌倉もあります」
「鎌倉の寺社が守るか」
「あとは丑寅を護ればよいです」
「ふむ、東国もじゃな」
「やがては」
 こちらは今すぐでなくともよいというのだ。
「お考えになられてはどうでしょうか」
「わかった、ではな」
「はい、さすれば」
「まさに天下を一つにしてからじゃな」
「おおむね目処がついてから」
「そうした政も進めていくか」
「これから長い泰平を築く為にも」
 ただ表の政を進めるだけでなく、というのだ。信長にこう言う利休だった。
「おかんがえになられるといいかと」
「そういうことじゃな、ではな」
「はい」
「利休、御主にもな」
 こう利休に声をかけた信長だった。
「働いてもらうぞ」
「さすれば」
「そして竹千代」
 あらためてだ、信長は家康に顔を向けて彼にも言った。
「御主はわしの盟友としてな」
「これからもですね」
「天下の為にな」
「働かせて頂きます」
「それに誓いもあってじゃ」
「それで、ですな」
「宴をしようぞ」
 それもだというのだ。
「よいな」
「はい、さすれば」
「まさに山海の珍味がある」
 それを揃えているというのだ。 
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