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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第四十話




ドカアァァァーーンッ!!

ドカアァァァーーンッ!!

 攻撃を受けた曹操軍と孫策軍は大混乱に陥っていた。

「呂布と霞の騎馬隊は袁紹軍に突撃だッ!!」

「………ん」

「任しとけッ!!」

 二人は頷いて、騎馬隊を率いて袁紹軍に向かう。

「……コヒュゥ……コヒュゥ……」

 あ、顔良が色んな意味でヤバいな。

 そんなに深く斬りすぎたか。

「ロッタ、劉備軍に行く前に顔良にファーストエイドを頼む」

「分かったわ。『ファーストエイド』ッ!!」

「……コヒュゥ……あ、あれ?」

 顔を青白くなっていた顔良は傷が治った事に驚く。

「悪いけど、捕虜になってもらうからな。そこの兵士達、顔良をシ水関に運べ」

『了解ッ!!』

 俺に呼ばれた兵士達は顔良を移送する。

 勿論、武器は取り上げてだ。

「さて、行くか。それにしても、手榴弾の威力は凄いな」

 俺は呟く。

 真桜と沙和の部隊が先程投げたのは急造の手榴弾だ。

 円柱に作った鉄の上部に穴を開けて、その中に黒色火薬を敷き詰めて、破片が散りやすいように切れ目を作り、紐を差し込んでから紐用の小さい穴が開いている鉄の蓋で閉めて完成……という急造手榴弾なんだよな。

 急造手榴弾が分からないという奴は、映画『二百三高地』を見てくれ。

 急造手榴弾の場面があるからな。

「そんな事説明してる場面じゃないな。孫策のところに向かうか」

「そうだな」

 クロエが頷き、俺達は孫策のところに向かった。




―――曹操side―――

「駄目です華琳様ッ!! 兵達の混乱が収まりませんッ!!」

 我が曹操軍の軍師である旬イク――桂花が私に報告する。

「報告ッ!! 華雄と紀霊などの部隊が迫ってきますッ!!」

 更に兵士が報告をしてくる。

「迎撃よッ!! 迎撃に徹するのよッ!!」

「ハッ!!」

ヒュルルル………。

 兵士が頭を下げた時、何かの音が聞こえてきたけどこれは………。

ドカアァァァーーンッ!!

ドカアァァァーーンッ!!

『ギャアァァァーーーッ!!』

 爆風と砲弾の破片で命中付近にいた私の兵士達が薙ぎ倒されていく。

「華琳様ッ!! 敵の陣地から攻撃が来ていますッ!!」

 桂花が報告してくる。

 確かブ男が言っていた大砲とか言うやつね。

「……撤退よ」

「か、華琳様ッ!? 私はまだ戦えますッ!!」

 春蘭が反論してきた。

「貴女はよくても兵士は戦えるかしら? ただでさえ士気が低いのにこれ以上は戦えないわ」

「………はい」

 春蘭、悔しいのは貴女だけじゃないわ。私も悔しいだもの。

「全軍撤退ッ!!」

 私の言葉に兵士達は多少ホッとしている。

 ………それにしても曹徳……いえ王双……必ずや手に入れてあげるわ。

「………嬉しそうですね華琳様」

「そう見えるかしら秋蘭?」

「えぇ」

 秋蘭が頷く。

「まるで恋する乙女のようです」

「ば、馬鹿言わないでッ!!」

 秋蘭の言葉に私は少し顔を赤らめた。




―――長門side―――

「………久しぶりだな雪蓮」

「……そうね長門。まだ私の事を真名で呼んでくれるの?」

「まぁな」

 俺の目の前には雪蓮がいた。

「まぁ雪蓮に用事はコイツを渡すだけだからな。受け取れ」

 俺は袋を投げて、雪蓮は袋を受け取る。

「雪蓮、俺達を裏切った代償は高くつくぞ」

「………多分そのようね」

 雪蓮は苦虫を潰したような表情をする。

「じゃあ俺達は帰る」

「………まさかそれだけの為にこんな事をしたのかッ!?」

 雪蓮の隣で周瑜が驚いている。

「まぁな。それだけの価値があるからな」

「ほ、報告しますッ!!」

 帰ろうとした時、伝令が来た。

「どうした?」

「劉備軍に向かった趙雲部隊が蜀軍と劉備軍に包囲されていますッ!!」




「………済まないな凪。蜀軍が劉備軍を援助しているとは思わなかった」

「いえ、問題ありませんよ星殿」

「怪我をしたら回復は任せておきなさい」

 ロッタが笑う。

「趙雲ッ!! 何で袁術なんかに加担しているんだッ!!」

 その時、趙雲隊を包囲している北郷が叫んだ。

「はて? 宦官と手を組んだ馬鹿に加担する貴様らの方がどうかしていますかな」

「「ッ!!」」

 星の言葉に諸葛と鳳統が驚く。

「まぁ今はそのような事はどうでもいい。ロッタッ!!」

「『レイ』ッ!!」

 ロッタが叫ぶと、北郷達の頭上から光線がぶってきた。

『ギャアァァァッ!!』

 光線の直撃を受けた兵士は、四肢のどれかが切断されたり折れたりしていた。

「おのれ、妖術使いかッ!?」

 関羽が叫ぶ。

「さぁてね。さ、今のうちに逃げるわよッ!!」

 ロッタが撤退を促す。

『レイ』が直撃した周辺は負傷や戦死した兵士が倒れており、他の兵士は味方を助け出そうにもロッタの攻撃が続くのではないかと疑心暗鬼になって、その一歩が踏み出せなかった。

「ほらよッ!!」

 そこへ、到着した長門が急造手榴弾を投げ、劉備軍の兵士を凪ぎ払った。

「皆、無事かッ!?」

「長門ッ!?」

 星が叫んだ。

「私達もいるぞ」

「隊長ッ!! それにクロエ殿もッ!!」

 凪が嬉しそうに言った。




―――長門side―――

「お前ら無事か?」

「えぇ。戦う前でしたからな」

 俺の言葉に星が応える。

「そうか、なら帰るか」

「そうですな」

 星達を包囲していた劉備軍と蜀軍の兵士は無意識に道を作ってしまった。

 多分、ロッタの術に恐れてしまったんだろうな。

「ま、待ってくれッ!!」

「ん?」

 その時、北郷が叫んだ。

「………あんたは……あんたは俺と同じ天の人間なのかッ!? 何で牙突を知っていて、大砲を持っているんだッ!!」

『ッ!?』

 北郷の言葉に皆が驚いた。

「答えてくれッ!!」

「………牙突はある人に教わった。大砲の作り方もその人からだ」

 あえて嘘をついた。(てか前者は嘘というより本で見たな)

「その人は今ッ!?」

「………何でそれを貴様ごときに言わねばならんのだ? いい加減にしろッ!!」

「ぅ………」

 北郷が怖じけづいた。

 俺達は悠々と帰還した。

 ちなみに、星達を救援する際、雪蓮達は黙って通してくれた。

 周瑜は袋の中身を見て青ざめてたけどな。




 
 

 
後書き
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