FAIRY TAIL ある神使い達の伝説
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第四話***ツバキ村の悲劇
X786年 フィオーレ地方 ツバキ村
ーーーー家を出ると、血飛沫が舞って。
クウヤの顔を生温かい液体が濡らした。
その液体の持ち主ーーーー村長は腹から大きな刃物を生やして。
口からグフッと真っ紅の液体を吐き。
クウヤの方を向き。
『逃げろ』と口を動かしーーーー事切れた。
「ひ……っ」
クウヤは息を呑み、悲鳴を呑み込む。
そして、まだ寝ているであろう姉を起こす為、家に駆け込んだ。
「姉さん、姉さん!」
布団にくるまって眠っていた姉を揺さぶる。
両親は早朝から畑仕事に出ている為、居ない。
「ん……ぅむ……何、クウヤ?」
五つ歳上の姉は寝惚けた目で『まだ眠たいのよ、何起こしてんの』と言いたげにクウヤを睨んだ。
「姉さん!寝惚けないで、起きて!」
"空気を操る" 魔法を使い、姉の顔に冷気をぶつける。
それで姉は覚醒したらしく、また弟の血に濡れた顔を見て何かあったのか、と思い、ササッと着替え、長い黒髪を三編みに結った。
クウヤは姉の腕を引っ張り、外に出る。
「何……これ……」
姉が呟いた。
ーーーー二人の目の前に、村長の亡骸と血の染み、そして。
今まさに人をーーーー村人を殺したのであろう、血に濡れ、村人を一人引っ張った男が居た。
その亡骸はーーーー二人のよく知った顔で。
「と」
血に濡れた男が顔を上げーーーー
「父さん!」
叫んだクウヤを見詰めた。
「ーーーーああ、お前等がこいつの子供か、そっちの嬢ちゃんは坊主の姉ちゃんかな?面白かったんだぜ、こいつ。『子供等には指一本触れさせん!』とか言って」
亡骸ーーーー二人の父親を放り出し、つかつかと歩み寄る。
「でも」
クウヤと姉の肩に手を置いて。
「触っちゃいましたぁ~、あははははははは!」
下品に笑った。
「は、離せ!鎌鼬!!」
クウヤは風の刃物を投げつける。
ちっ、と舌打ちして、男が二人を解放し、飛び退いた。
「魔導士かーーーー確かに、魔力あるし、そこそこ高いな……しかし」
手を上げて。
ぱちん、と指を鳴らした。
「なんだ?」
屈強な男達がわらわらと出てくる。
「奴隷商兼魔導士ギルド影の狩人の敵じゃないな、魔法使える子供なんて貴重だぜ、絶対高く売り捌ける」
「ああ、何処持ってくか?」
「高く買ってくれそうなところだな、まあ、それは後で良い、パインド、出番だ」
拘束と呼ばれた男が進み出る。
「ああ、いっきまーす……らぁっ」
二人に向けてロープが飛ぶ。
「うわあっ!」
クウヤが辛うじて風で防いだ。
「ちっ……厄介だな……っ」
舌打ちし、ロープを増やし、
「……因みに、知ってるか?」
クウヤ姉に語りかけた。
「この村の奴等、2、3逃がしたが、殆ど殺したか、捕らえてんだ。で」
と、父を足で指す。
「多分お前等の母ちゃんだけどな、こいつと一緒に居た黒髪の美人。そっちの嬢ちゃんによく似た……」
その後男の続けた特徴も、二人の母の特徴と当てはまっていた。
話の途中も、ロープは休みなく飛ぶ。
「殺したよ。爆発四散。多分亡骸残ってないぜ」
「く……っ」
殺した、と聞き、動きが鈍くなった姉の腕にロープが巻き付く。
「クウヤ!逃げなさい!!」
覚悟を決めたように叫ぶ。
「え…姉さんを置いてくわけには」
「いいから!私が強いの知ってるでしょ!?あんたが居ない方が戦える!」
手を広げ、水色の紙吹雪を形成する。
「紙吹雪、風の舞い」
その紙吹雪は、速度倍加の魔法。
「ほら、行くのよ、クウヤ。大丈夫」
姉は微笑み、繋げた。
「私は、死ぬ訳じゃない。離れていてもまた会える。絶対会う。」
クウヤは紙吹雪に押し出され、走り出す。
「ーーーーっ、絶対また会う!約束、だから」
姉の顔を見て、名前を呼ぶ。
「カミカ姉さん!」
後書き
はい、プロローグの前の話です。
何がやりたかったんだろう……話あまり進んでないし、ただクウヤのお姉ちゃんがカミカだと言うことをやりたかっただけですね。
原作矛盾が現れたらオリキャラに変えるでしょうし。
ともかく、ここまで読んで下さった方々に感謝を込めて……
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