ドリトル先生と伊予のカワウソ
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第十幕その一
第十幕 まずはお茶を
狸さん達は長老さんを先頭に人間に化けて先生にカワウソさん達のお屋敷に案内されました、一行はぞろぞろと松山の街の中を歩いていきます。
その一行を見てです、街を行く人達は驚いて言いました。
「また多い観光客だなあ」
「何処から来たのかしら」
「修学旅行みたいだな」
「随分な数ね」
「ほっほっほ、観光客ではないぞ」
長老さんはその言葉を聞いて笑って言いました、見れば長老さんは先生と一緒に狸さん達の先頭にいます。
「この街の古株じゃ」
「若くとも百年以上は住んでいる」
「そうした狸達だよ」
他の狸達も陽気に言います。
「松山にも他の街にもね」
「いるけれどね」
「この街のことは隅から墨まで知っておる」
長老さんは飄々と笑いながらこうも言いました。
「それこそのう」
「では洋館の場所も」
「一回聞けばな」
こう先生にも答えます。
「わかったぞ」
「ではそちらで」
「うむ、宴じゃな」
パーティーをこう言うのでした。
「カワウソさん達のおもてなしでじゃな」
「そうなります」
「ふむ。イギリスの宴か」
「そうですが」
「どの様なものかのう」
「あの、僕一回イギリスに行ったことがあるけれど」
狸のうちの一匹がこう言ってきました。
「ネス湖にね」
「あのスコットランドの」
「はい、そこに行きました」
その狸さんは先生にすぐに答えました。
「ネッシーを見に」
「それで見られたのかな」
「いえ、残念ですが」
「ああ、見られなかったんだ」
「ネッシーは本当にいるんでしょうか」
「ううん、どうなのかな」
ネッシーについてはです、先生は腕を組んで真剣に疑問に思う顔で答えました。
「いるかどうかというと」
「わからないですか」
「あまり生きもののいる湖じゃないんだよ」
ネス湖はそうだというのです。
「水質の問題でね」
「あまり生きものの多い湖じゃないんですね」
「そうなんだ、だからね」
「ネッシーもですか」
「大きな生きものがいられるかというと」
難しいというのです。
「川か地下で海とつながってるのならその可能性もあるけれど」
「じゃあネッシーは」
「あそこにいなくてもね」
「海から来ている可能性があるんですね」
「僕はそうじゃないかなって思うんだ」
これが先生のネッシーについての考えでした。
「少なくともあの湖にいつもいるとは思えないよ」
「そうですか」
「恐竜かどうかもね」
このことについてもというのです。
「難しいね」
「恐竜じゃないんですか」
「何か形がいつも変わるし」
目撃例の度にです、このこともネッシーについて不思議なことです。
「そのこともね」
「そういえばそうですね」
狸さんもネッシーについて調べています、それでこう言うのでした。
「ネッシーってそのことも不思議で」
「角があったりなかったりね」
「身体の色が変わったりとか」
「そうしたこともあるから」
「恐竜じゃない可能性もあるんだ」
「恐竜のネッシーがいるかも知れないけれど」
「じゃあネッシーは一種類じゃないんですね」
先生の今のお話にです、狸さんも気付きました。
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