転生とらぶる
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マクロスF
0747話
「ア、アクセル……なの、か?」
サブマシンガンを握りつつも、さすがに俺の変身は予想外の姿だったのだろう。ミハエルが恐る恐ると言った様子で声を掛けてくる。
いや、グラス大統領のボディーガード達が声も出ない程に驚愕の視線を俺へと向けているのを思えば、それでも十分に度胸があると言えるか。
アルトは何かを言おうとしては口を閉じ、ルカもまた信じられないものを見たかのように唖然と俺へ視線を向けている。
ランカとナナセの2人に至っては、地面へと座り込んでいた。特にランカは今の俺の姿を見たのがショック療法になったのか、先程までの脅えた雰囲気は既に無く、ただ地面に座り込みながらこちらへと視線を向けていた。
クランは驚愕の視線をこちらへと向けながら『プロトデビルン?』と呟いていたが、プロトデビルンの特性でもあるゼントラーディの攻撃衝動を誘発するというのが無いのに気が付いたのだろう。小さく首を横に振っている。
そんな中で、唯一俺の方へとじっと視線を向けているのはグラス大統領その人だ。他の者の様に恐怖したりする様子も無く、ただじっとこちらへと視線を向けている。
こちらの心の底を探るかのような視線を受けつつも、俺の異常性を察知して距離を取っていたバジュラが再び動き出すのを見て、振り返る。
反射的にだろう、ボディーガードのうちの1人が俺の背へ銃口を向けているのを感じつつ、口を開く。
「さっきも言ったように、俺は敵じゃない。そもそも、俺には物理的な攻撃は一切効果が無い。それでも良ければ撃つんだな」
「……」
俺に銃口を向けているボディーガードの歯が恐怖か畏怖か、はたまた未知の存在に対する何かでカチカチと音を鳴らしているのが聞こえて来る。
そしてその数秒の静寂の後……
「ふざけないでよ! アクセルが敵じゃないのは今のやり取りを見ていれば分かるでしょう!? あたしの……あたしの愛している人を背中から撃つなんて真似は、このシェリル・ノームが絶対に許さないわ!」
そんなシェリルの声が周囲に響く。そして、後に続くかのように溜息を吐く音。
「ま、確かにアクセルが俺達の敵な訳が無いか。けど、これが終わったら詳しい話は聞かせて貰うからな」
「そうですよ! アクセル君は僕達の仲間なんですから!」
「……ふぅ。ま、確かにな。アクセルが俺達の敵になる訳がないか」
ミハエル、ルカ、アルトが順に告げ、その声に小さく笑みを浮かべてこちらへと向かって来ているバジュラへと視線を向けて呟く。
『燃える天空』
その言葉が俺の口から出た瞬間、こちらに向かってこようとしていたバジュラの群れが丸ごと燃え上がり、瞬時に灰と化して地面へと落ちていく。
同時に、身体の中でごっそりとSPが消費された感覚。
チラリ、とステータスを見てみるとSPが3分の1程も消費されている。
ちっ、以前に何度か魔法を使った時にも思ったが、このマクロス世界だとSP消費が他の世界よりも相当激しいな。
ステータス欄のPPへと視線を向けると、マクロス世界に来てからは一切使っていなかっただけに大量の数値がストックされている。重機関銃や燃える天空で幼生体……いや、第2形態を大量に殺したのもあるおかげだろう。
スキルに関しては魔法のようにPP消費じゃないものを習得したいのでPPを使って覚える予定は無い。ステータスにしても、能力値に関しては基本的に今のままで十分以上に満足している。となると、やっぱりこの時点で必要なのは魔法だよな。
バジュラが燃やし尽くされて灰になって降ってくる光景を見ながら、PPを全てSPへと振り込んでいく。
SPの数値がほぼ倍近くまで増えたのを確認してから、改めて周囲へと視線を巡らせる。
魔法により燃やし尽くされて一旦は大分少なくなったバジュラの数だが、それが他のバジュラの目に止まったのだろう。周囲を逃げ惑っている住民を襲っていたバジュラの殆どが俺の方へと向かって集まってきている。
……数が多いな。こうして見る限りでは美星学園周辺にいたバジュラだけではない。アイランド1中に現れたバジュラの殆どがこっちへと向かって来ているようにも思える。
となると、さすがにSPを上げたとはいっても『燃える天空』はこれ以上使わない方がいい。これから何があるのか分からないんだから、出来るだけSPは節約しておきたいしな。となればもっとSP消費の少ない方法が必要だ。
こちらへと迫ってきているバジュラを睨みながら、喉へと魔力を集め……
「があああああああぁぁぁあぁっ!」
俺の口から一直線に放たれる光。命中した対象を石化するという、永久石化光線だ。この攻撃方法は殺傷能力自体は低い――石化するだけで撃破する訳ではない――のだが、石化された相手は基本的に回復魔法を使っても石化の解除は不可能であり、敵を無力化出来ると言う意味では十分な効果がある。
その永久石化光線に触れた端からバジュラは石化していき、地上へと落ちていく。……ちっ、無駄に頑丈だな。石化されて高い位置から落下しているというのに破壊されないか。これで破壊されてくれれば恐らくは撃墜数が増えただろうに。
「おい、アクセル。一体お前は何をしてるんだ? 何だかバジュラが石になってるように見えるんだが」
ミハエルからの質問。それに答えてはやりたいが、永久石化光線を放つのは口からだ。長々と喋る事は出来無い。
よって永久石化光線を放つ合間に短く答えることにする。
「見ての通り石にしてるんだよ。安心しろ、石になったバジュラはもう脅威は無い。本当にただの石の置物だ。もっとも、俺にも石化の解除は出来ないがな」
それだけ告げ、再び永久石化光線を放ってバジュラを石像へと変化させては地上へと落下させていく。
……良く考えれば、落下してくるバジュラの石像で怪我をしたような奴がいるかもしれないが、さすがにこの状況ではしょうがないだろう。
視界の隅では、住民に襲い掛かろうとしていたバジュラを炎獣が防ぎ、あるいは攻撃して守っているのが見える。もう少し炎獣を増やすべきか?
再度右腕を白炎と化し、30匹程の炎獣を作り出す。翼の生えた狼と言った姿をした炎獣が、炎の翼を羽ばたきながらこちらへと攻めてこようとしているバジュラへと襲い掛かる。その様子を一息吐き、改めて背後へと振り向く。
『……』
そんな俺に向かい、黙って視線を送ってくるミハエル達。まぁ、今の俺のこの姿で攻撃をしてこないだけマシといったところか。恐らくはさっきのシェリルの言葉が効いているんだろう。
そう判断しながら、混沌精霊の姿になる前に地面に落とした重機関銃へと触れて空間倉庫へと収納する。
一瞬にして重機関銃が消えたその様子に周囲の者達は息を呑むが、それでも改めて聞いてこないところを見ると、現在の状況が切羽詰まっているというのが分かっているのだろう。
「さて、と。俺に関しては後回しにするとして、これからどうする?」
「おいおいおいおい、後回しって……」
「ミシェル、確かに色々と聞きたい事はあるんだろうが、今は後回しにしろ。実際、この状況をどうにかするのが先だというのは分かるだろう」
「クラン……ちっ、分かったよ」
そんな2人のやり取りを横目に、こちらへと視線を向けているグラス大統領へと1歩踏み出す。
その瞬間、ボディーガード達が動こうとするが……それを制したのは当の本人だった。
「君が何者なのかは知らないが。だが、アクセル・アルマー大尉であるのに違いはない。そういう認識でいいのだね?」
「ああ、勿論だ。こんな姿になったとしても俺はアクセル・アルマーである事に違いはない。まぁ、俺の正体については今も言ったように後回しにさせて貰うけどな。今回の件が片付いたら、後でゆっくりと説明してやるさ」
以前の、一応丁寧だった言葉使いが変わったのに気が付いたのだろう。ピクリと反応するグラス大統領だったが、すぐに小さく首を左右に振る。
「では、悪いがこの混乱をどうにかする為に私はバトルフロンティアまで向かわねばならない。政府の指示機能については既にバトルフロンティアに移す事を指示してあるから、そちらへの護衛を頼めるかな?」
「……なるほど」
確かにフロンティア船団の大統領がこのままここにいても意味が無いのは事実だ。あるいは、グラス大統領が俺のように戦闘を得意としている者であれば話は別だったのだろうが、残念だがグラス大統領は普通の大統領でそんな存在では無い。……いや、そもそも国のトップである俺が最も戦闘力が高いというシャドウミラーが異常なんだけどな。
「だが、そうすると今襲われている住民はどうする?」
「心苦しいが、ここで私が足踏みをしていればその分だけアイランド1だけではなく、フロンティア船団全体に被害が及ぶだろう。……それに」
呟き、チラリと視線を街中の方へと向けるグラス大統領。
その視線の先では、デストロイドや戦車が一時期の混乱を収束して整然とバジュラを撃退しに掛かっている。
「見ての通り、ここに出て来たバジュラもどうにか出来るようになっている。……もっとも、これも君という存在がいたおかげではあるのだがね。君自身の炎を生み出すという能力や、その……口から吐いた光線。それに炎で出来た生き物といった具合に。そのおかげで一時的にもバジュラ共の勢いを弱める事に成功し、こうして立ち直る事が出来た。故に、今最優先すべきなのはフロンティア船団の大統領でもある私がきちんと健在であり、指揮を執るということだ。……分かってくれるかね?」
「ああ、十分にな。それで、どこに行けばいいんだ? バトルフロンティアに直接か?」
「いや違う。バトルフロンティアに私が入ったという手続きをしなければ色々と面倒な事になる。一旦政府上層部の者だけが知っている隠し通路に向かって、そこで照合をする必要がある」
「……また、面倒な」
グラス大統領の言葉に思わず眉を顰める。その手続きの分時間が無駄に掛かるというのは危機管理の面でどうなんだろうな?
「そう言われても、これに関しては新統合軍の方できちんと決められている事なのでどうしようもない。確かに危機管理の面では多少問題があるかもしれないが、安全管理という面も考えるとな」
「なるほど」
まぁ、シャドウミラーで活動していれば色々な意味で規格外な存在だけに、グラス大統領の言う安全管理とかは考える必要が無いしな。そもそも主要メンバーが量産型Wだし、その他も俺と気心の知れているメンバーばかりだ。この辺、小規模組織の利点だろう。
それに、もし誰かが反逆を企んだとしても正直な話ニーズヘッグがあれば鎮圧するのはそう難しく無いし、何よりもシャドウミラーのトップである俺を無力化するのは、物理攻撃が無効という時点でかなり難しい。
一番可能性があるとすれば、神鳴流を習得したムラタ辺りか? だが、ムラタが権力欲しさに反逆するというのは、それこそ考えられない。
「それでどうだね、アクセル大尉。私の護衛を頼まれてくれるか?」
「……そうだな、まぁ、それはしょうがないだろう。確かに緊急時に大統領がトップにいないというのは色々と不味いしな」
「では!」
「ああ、幸い炎獣はある程度の判断力はある。ならここで大量に作り出してからバトルフロンティアに向かえば、こっちの問題もあまりいらないだろう」
「炎獣……? それは、アクセル大尉が作り出している炎の獣の事かね?」
「ああ。俺の混沌精霊としての能力の1つだ」
「……その、君の件についても非常に色々と聞きたいところなのだが」
呟くグラス大統領の後ろで、ボディーガード達は勿論、アルト、ミハエル、ルカ、クラン、ランカ、ナナセの、シェリル以外全員が頷いていた。
「何度も言ってるがこの件が片付いてからだな。ここまで俺の正体を見せた以上誤魔化すような事はしないよ」
呟き、身体を白炎で覆うとこの世界での俺の姿でもある15歳の姿へと戻る。
「何でその姿に戻るんだ?」
心底不思議そうな顔をして尋ねてくるアルトに、思わず溜息を1つ。
「あの姿のままでフロンティア船団の新統合軍の司令部とも言えるバトルフロンティアに行ったら、まず間違い無く銃で狙われるぞ。それこそ新種のバジュラかと思われてな」
「……なるほど」
俺の言葉に頷いたアルト。ちなみに、その周囲ではシェリル以外の者も同様に頷いていた。……幾らバジュラに襲われているからって頭の回転が鈍くないか? いやまぁ、自分の見知っている男が突然大きくなって羽やら尻尾やら角やらが生えれば驚くのは当然かもしれないが。
「ならまずは大統領の言っていた隠し通路……は俺が場所を知らないから、その入り口に近い場所で分かりやすい場所は?」
「む? 場所なら直接案内するが?」
訝しげに尋ねてくるグラス大統領に向かって首を振る。
「バジュラが湧いているこの戦場で普通に進むのは危険だ。手っ取り早い方法がある。とにかく何か分かりやすい目印を教えてくれ」
「ふむ、それなら……」
グラス大統領から俺でも知っている目印を聞き、頷いてから周囲にいる連中へと視線を向ける。
全員……いける、か? 幸い大量に消費したSPもSP回復の効果で大分回復して来ている。何とかなるだろう。最悪、ボディーガード達は途中でどこかに放り出せばいいだろうし。
「よし、全員俺の周囲に集まってくれ。時間が無いから質問は無しだ。ああ、サブマシンガンはそのまま使え。弾倉も予備を各自持っておくようにな」
その言葉に、サブマシンガンを持ったままのアルト達やボディーガード達、そしてグラス大統領の他にもシェリルやランカ、ナナセといった戦闘員じゃない女達――シェリルはサブマシンガン振り回してたが――も近づいて来たのを確認して指を鳴らす。
「きゃあっ!」
「うわっ、何だこれ!?」
「ちょっ、おい、アクセル!」
そんな風な周囲の声を聞きつつ影のゲートに身を沈め、数秒後にはその場から俺達の姿は消え失せるのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:41
PP:5
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:1394
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
???
???
撃墜数:840
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