リメイク版FF3・短編集
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私は"私"をやめてみた
◇とある草原で休憩中◇
「 私は、"私"と云うのをやめてみようと思う」
「は? いきなり何のこった??」
「自称を変える、という事だ」
「マジ? イングズ、どういう風の吹き回しだよ」
「サスーン城を離れて暫く経つし……、少しは砕けて話してみたい。それにルーネス、お前以前云っていただろう。私の話し方は堅苦しいと」
「そりゃ初めの頃はそう思ってたけど、今は慣れちまったしなぁ?」
「おかしいか、今更"俺"では」
「まぁ、男としちゃ普通だろうけど……」
「 なら、"僕"か 」
「 それ、アルクゥだろ? 」
「 "あたし"……? 」
「レフィアだろそれ! そんなんただの仲間内のマネじゃん」
「 ふむ……、俺様? 」
「そういうキャラになりたいのかよっ」
「我輩……拙者……某……小生……??」
「おおーい、さっきから何云ってんだよイングズ!」
「 ─────よし、決めたぞ。今から私は、"俺様"だ」
「 ……真顔で云うなよ。そっち行くのな、やっぱ」
「ちょっと二人共~? そろそろ休憩終えて出発するわよー! ……ほらアルクゥ、本読みの続きはまた今度っ」
「え? あ、うん。分かったよレフィア」
「では、"俺様達"も行くとするか、ルーネス」
「 あ~、はいはい…… 」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「 ────出たわね、モンスター!」
「先手は俺様に任せるがいい……、はッ!」
「 ……あれ、イングズ今"俺様"って云った? 聞き間違いかなぁ」
「いや、アルクゥ、そうでもないぜ……」
「痛~っ、あたしちょっとダメージ受け過ぎたわ……。上手い具合にモンクの[構える]でカウンター出来たけどっ」
「 レフィア、赤魔である俺様が回復してやろう。さぁ……、傷を見せてみろ」
「えっ、イングズ、いつの間に俺様キャラ……!? わ、悪くないわねそれ……!」
「レフィアの奴、嬉しそうだな……?」
「う~ん、何て云うか……男らしさ倍増? 僕もそろそろ、"ぼく"を卒業した方がいいのかな……」
「アルクゥはそのままで居てくれよ! 兄ちゃんとしては、あんま背伸びして欲しくない」
「もうルーネス、いつまでも弟扱いしないでよ……!」
「 ────そこのお前ら! とっとと行くぞ、俺様に付いて来いッ」
「ええ、付いてくわイングズ!!」
「俺様って云い替えるだけで、雰囲気変わるもんだなぁ?」
「僕としては落ち着いた雰囲気の方がいいと思うけど、女の子のレフィアにとってはあぁいうのが好きなのかな」
「 ……お、そうだ。イングズ"私"やめたんだし、おれが代わりに"わたし"やろっかな~?」
「何云い出すのさルーネス。僕と同様、黙ってたら女子に見え兼ねない君がそれをやったら、"そっち"の人になるよ」
「えぇ~? アルクゥってば"わたし"に厳しいなぁっ」
「もう勝手にしなよ……」
「お前ら二人して何ぐずぐずしてる! 置いてかれたいのかッ?」
「うひゃ~っ、イングズだけにぐずぐず~!」
「ルーネス……お前、俺様に殴られたいか?」
「わ~ん、イングズが"わたし"をイジメる気だぁ! コワイよぉっ」
「お、お前……やはり女だったのか!?」
「は? 何云ってんだ、んなワケ────うわっ、いきなり抱き付くなんてどういうつも……っ」
「俺様の"もの"になれ」
「あ゛……アホか~~っっ?!」
「アルクゥ、これどういう事!? ルーネス、女子だったわけ?!」
「はぁ……レフィア、それ付き合わなきゃダメ? 小さい頃、一緒にお風呂入ってた事あったけど、ちゃんと男の証は────あれ、どうだったかな」
「意味深発言やめろアルクゥ~~! く、くるしっ……、はなせぇ~~っっ」
「安心しろ、この先何があろうと俺様がお前を守ってやる。────だから、きすらせろ」
「へ……? ちょっ、やめ………!!?」
「 ────むっはあ?! やめろぶぁかやろーーっっ!!? ………あ? ……ユメ??」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「どうした、熱でもあるのか? 紅いぞ、顔」
「な……何でもねーから顔近づけんな! オンナじゃ、ねぇしっ」
「 ………? 何を云ってる。そういえばひとつ思い付いたんだが、私は"私"と云うのを
「 却下あ゙!!」
End
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