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ハイスクールD×D 新訳 更新停止

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第3章
月光校庭のエクスカリバー
  第77話 聖魔剣

 
前書き
タイトル通り、木場の覚醒回です。 

 
「いやぁ、ビックリした。まさかいきなり首の骨折られるなんてな♪」
「……冗談じゃねえぞ…!」
「キヒヒ、驚いてるなぁ♪ま、そりゃそうか。いくら治癒力や生命力が高い血の悪魔の子供達(ブラッド・チルドレン)でも首の骨折られたら即死だからな。たとえ俺みたいに治癒能力が高くてもな。けど俺は生命力もバケモノクラスなんだよ♪」
首の骨折られてもしばらくは生きていられる程の生命力だと!?
つまり、こいつは即死級のダメージでも相当な物じゃねえと死なねえって事かよ。
「………カフっ……」
「燕!?」
「ギリギリ致命傷は避けたみたいだなぁ♪ま、意味ねえと思うがな」
マズい、野郎、燕に止めを!
「ベルさん」
「分かったよ…ちぇ、心臓一刺しで終わらせるか」
「このッ!」
俺は燕を助ける為に駆け出そうとするが、死人達が立ちはだかる。
「邪魔だ!!」
雷刃(ライトニングスラッシュ)で斬り捨てるが数が多すぎる!
これじゃあ、間に合わねえ!
「燕ッ!!」
「ホイ、まず一人目…」
ドゴォォォォン!
「ッ!?鶇!!」
燕に止めを差そうとしたベルがいつの間にか近付いて来ていた鶇の拳によって地面に叩き付けられた。
「……よくも…よくも…!…よくも!よくも、燕ちゃんをォォォォォッ!!!!」
ドゴォォォォン!
ドゴォォォォン!
ドゴォォォォン!
ドゴォォォォン!
鶇は怒り任せにベルを怪力で殴り付けていき、ベルがいた場所には小さなクレーターが出来上がっていた。
「ッッッッッ!!!!!!」
死人達が鶇に接近していたが、鶇はベルの頭をわし掴み、そのまま振り回して死人達を凪ぎ払っていった。
「ウォアァァァァァアアッッッ!!!!!!!!」
ブゥン!
ドガァァァン!
ベルはそのまま校舎の方にぶん投げられ、校舎に激突して瓦礫に埋まってしまった。
「ッッッッ!!!!」
「ッ!深追いするな鶇!」
鶇はベルを追撃しようと歩き出した。
俺は慌てて静止の声を掛けるが、怒りで我を忘れてるのか聞いちゃいなかった。
「今は燕をアーシアの所に連れていく事が先決だ!」
燕の名を出しても全く止まる様子が無かった。
「鶇さん!明日夏の言う通り、燕ちゃんの治療が先だ!」
イッセーの声が響き、それを聞いてようやく止まった。
「……う、うん…分かったよ…」
たく、イッセーの声はちゃんと聞くんだな…。
「千秋、お前も一旦下がれ」
俺の言葉に千秋は頷き、俺達の所まで走ってきた。
俺、千秋、鶇は燕を連れ、途中で襲い掛かってきた死人達を俺と千秋が蹴散らしつつ、アーシアの所まで走る。
途中、ベルが埋まっている瓦礫を見るが、特に動く気配が無かった。
死んだのか?
いや、奴のあの生命力と治癒力だ、油断はできねえ。
「燕ちゃん!」
アーシアの所まで来るなり、アーシアがすぐに燕の治療を始めた。
ギリギリ致命傷を避けていたのでアーシアの治療で事無きを得た。
「裕斗!?」
「?」
部長が木場の名を口にしたのを聞き、木場の方を見ると、ボロボロながらも何とか立ち上がろうとしていた木場がいた。


「被験者が一人脱走したままと聞いていたが…」
「……はぁ…はぁ…」
「卑しくも悪魔に堕ちておったか。君らには感謝している。おかげで計画は完成したのだからな」
「……完成…?…」
ちょっと待て、確か計画は失敗したって聞いていたのに完成ってどう言う事だよ!?
「……私はね、聖剣が好きなのだよ。幼少の頃、エクスカリバーの伝記に心を躍らせ、聖剣を扱う自分を夢にまで見るほどに。だからこそ、自分に聖剣使いの適正が無いと知った時の絶望といったらなかった…」
いきなりバルパーが昔話を始めた。
「自分では扱えないからこそ、扱える者に憧れを抱き、聖剣を扱える者を人工的に創りだす研究に没頭する様になったのだよ。そして、その結果、聖剣を扱うには特殊な因子が必要である事が分かったのだよ。ましてやエクスカリバークラスとなると、必要な因子も多くなる。君達被験者には因子こそあれど、聖剣を扱えるまでの数値には至らなかった。そこで一つの結論に至ったのだよ。被験者から因子だけを抜き出せば良いとな」
「ッ!?」
「そして、結晶化する事に成功したのだ。これはあの時の因子を結晶化した物だ」
バルパーがその結晶らしき物を木場に見せ付けていた。
「フリード達に使って最後の一つになってしまったがねぇ」
「ヒャッハッハハハハ!俺以外の奴らは途中で体が因子に着いていけなくなって死んだり、死ななかったけどあっさり負けたりって全然大した事無かったんだぜぇ!そう考えるとやっぱ俺ってつくづくスペシャル仕様ザンスねぇ!」
フリードが愉快そうに醜悪な笑い声を揚げながら言う。
「……聖剣使いが祝福を受ける時、あの様な物を体に入れられるが、因子の不足分を補っていたと言う訳か」
「フン、偽善者めらめ、私を異端と排除しておきながら、厚かましく私の研究だけを利用しよって。どうせ、あのミカエルの事だ、被験者から因子を抜き出しても、殺していないだろうがな。ベル達が使っている十字具(クロス)も元々はそう言う犠牲を出さない為に作られたのだからな」
「……なら、僕らも殺す必要は無かったはずだ…どうして…!…」
確かに、木場の言う通り、殺す必要なんて無かったはずだ。
「お前らは極秘実験の研究材料に過ぎん。用済みになれば廃棄するしかなかろう?」
「……僕達は主の為と信じて、ずっと耐えてきた…それを…それを…実験材料…廃棄…」
バルパーの言葉に木場は呆然としてしまっていた。
「……酷い…」
アーシアが唖然としながら、そう呟いた。
バルパーは持っていた結晶を木場の足下に投げ捨てる。
「欲しければくれてやる。もはやさらに完成度を高めた物を量産できる段階まで来ているのでな」
「………」
木場はバルパーの言葉に耳を貸さず、静かに屈み込み、哀しそうに、愛しそうに、懐かしそうに結晶を手に取る。
「……みんな…」
そして、結晶を優しく手で包み込みながら呟いていた。
「許せねえ!ジジイ、テメェッ!!」
俺は沸き起こる怒りが抑えられなかった。
「……バルパー・ガリレイ…貴方は自分の研究、欲望の為にどれだけの命を弄んだ…?…」
木場が握り締める結晶から淡い光が発せられ、木場を囲うように広がっていく。
やがてそれは何かの形を成してきた。
「あれは…?…」
「……人…?…」
「ああ、そんな風に見えるな…」
小猫ちゃんの言う通り、光は人の形になってきていた。
「……おそらく、木場が言っていた同士達だろう…」
「……この戦場に漂う様々な力が、そして、裕斗君の心の震えが結晶から魂を解き放ったのですわ」
やがて、はっきりとした複数の少年少女となった。
「皆……僕は…ずっと…ずっと思ってたんだ。僕が…僕だけが生きていていいのかって…僕よりも夢を持った子がいた…僕よりも生きたかった子がいた…僕だけが…!…平和な暮らしを過ごしていていいのかって…!…」
木場が抱えていた思いの丈を全て吐き出した瞬間、清らかで、そして、透き通った歌声が校庭に響き渡った。
「これは…聖歌か?」
「はい、そうです」
明日夏の疑問にアーシアが答えてくれた。
「あ」
一人の少女の霊体が木場の袖口を優しく引っ張り、木場が振り向くと、優しく微笑んだ。
それを皮切りに少年少女達の霊体が光の粒子になって木場の下に集まり出した。
『大丈夫』
『みんな集まれば』
『受け入れて』
『僕達を』
『怖くない。たとえ神がいなくても』
『神様が見てなくても』
『僕達の心はいつだって』
「っ…一つ…!…」
木場が涙を流しながら答える。
「……温かい…」
「うん、温かいね」
小猫ちゃんや鶇さんの言う通り、聖歌もこの光もとっても温かった。
「あれ…?…」
「な、何で…?…」
「涙?」
「何だ…?…涙が…止まらねえ…!」
いつの間にか、千秋や燕ちゃん、鶇さんも閉じられてる目を開け、アーシアに小猫ちゃん、さらに明日夏までもが、そして、俺も涙が自然と流れ出てきてしまっていた。
そして、光が木場を優しく包み込んでいく。
『あの騎士(ナイト)は至った』
「ッ!?」
突然、ドライグが話し掛けてきた。
至ったって?
『所有者の想いが、願いがこの世界の流れに逆らう程の劇的な転じ方をした時に神器(セイクリッド・ギア)は至る。それこそが禁手(バランス・ブレイカー)だ』
光が止むと木場は覚悟をした様な顔付きになり、手に一本の剣を作り出していた。。
「……同士達は僕に復讐を願ってなんかいなかった。……願ってなかったんだ…。でも、僕は目の前の邪悪を打ち倒さなければならない。第二、第三の僕達を産み出さない為に!」
「ぐぅ!?フリードォォッ!!」
「はいなぁぁッ!!」
木場に剣を向けられて慌てたバルパーはフリードを呼び、応じたフリードが木場の前に立ち塞がる。
「フン、愚か者めが。素直に廃棄されておけば良いものを」
フリードが来るなり、バルパーは途端に余裕そうな態度になった。
「木場ァァッ!!フリードの野郎とエクスカリバーをぶっ叩けぇ!!あいつらの想いと魂を無駄にすんなぁ!!」
「……イッセー君…」
「やりなさい裕斗!貴方はこのリアス・グレモリーの眷属、私の騎士(ナイト)はエクスカリバーごときに負けはしないわ!」
「やれ木場!今のお前ならエクスカリバーに勝てる!」
「裕斗君、信じてますわよ!」
「ファイトです!」
「ファイト~!」
「行って!」
「木場先輩!」
「木場さん!」
「……みんな…」
俺達は目一杯の声援を送る。
「あ~あ、な~に感動シーン作ちゃってんスかぁ?ああもう、聞くだけでお肌ガサついちゃう!もうげんか~い!ああ、とっととテメェら切り刻んでぇ、気分爽快になりましょうかねぇ!」
相変わらずフリードはふざけた態度であった。
「僕は剣になる。僕の魂と融合した同士達よ、一緒に超えよう。あの時果たせなかった想いを、願いを、今!部長、そして、仲間達の剣となる!魔剣創造(ソード・バース)ッ!!」
木場の剣に神々しい光と禍々しい闇が混ざり合い、やがて、木場の手に神々しい輝きと禍々しいオーラを放つ一本の剣が現れた。
「双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)。聖と魔を有する剣の力、受け止めると良い!」
「聖魔融合の剣ですって!?」
「そうか、あれが…」
「え?」
「俺の中のドラゴンが教えてくれたんです。木場が至ったって」
「つまりあれが!」
「ああ。あれが木場の禁手(バランス・ブレイカー)なんだ!」
木場の剣を見てバルパーがかつて無い程に慌て出していた。
「聖魔剣だと!?ありえない!?反発する二つの要素が混じり合う事など、そんな事、あるはずが無いのだ!?」
「へぇ、なかなか面白い現象が起きましたね。非常に興味深い」
慌てるバルパーに対し、カリスは嬉々としていた。
「リアス・グレモリーの騎士(ナイト)、まだ共同戦線は生きているか?」
ゼノヴィアが木場の隣を歩きながら、木場に聞いていた。
「だと思いたいね」
「ならば、共に破壊しよう。あのエクスカリバーを」
「良いのかい?」
「もはや、あれは聖剣であって、聖剣ではない。異形の剣だ」
「分かった」
ゼノヴィアは手に持つ剣を地面に突き刺すと、右手を宙に伸ばす。
「ぺトロ、バシレイオス、ディオニュシウス、そして、聖母マリアよ、我が声に耳を傾けてくれ」
そう言うと同時に魔方陣が現れ、鎖を巻き付けた一本の剣が現れ、ゼノヴィアはその剣の柄を握る。
「この刃に宿りしセイントの御名において、我は解放する!」
刹那、巻き付いていた鎖が砕け、ゼノヴィアはその剣の名を告げた。
「聖剣デュランダル!」
「聖剣!」
「デュランダル!」
「この世の全てを切り刻むと云われているエクスカリバーに並ぶ聖剣ですわ!」
「……エクスカリバーと一緒にデュランダルまででてくるとはな…」
そして、バルパーはデュランダルを見て、再び驚愕な表情をしていた。
「バカな!?私の研究ではデュランダルを扱える領域にまで達していないぞ!?」
「私はそいつやイリナと違い、数少ない天然物だ」
「完全な適性者!?真の聖剣使いだと言うのか!?」
「こいつはなんでも切り刻む暴君でね、私の言う事もろくに聞かない。それ故、異空間に閉じ込めておかないと危険極まりないんだ」
「そんなのアリですかァァァッ!!!!」
「ハァッ!」
バキャァァァン!
フリードが刀身を伸ばしたり、枝分かれさせてゼノヴィアを攻撃するが、ゼノヴィアの一振りで容易に切り裂いてしまった。
「ここに来ての超展開!?」
「所詮は折れた聖剣、このデュランダルの相手にはならない!」
「クソッタレェッ!!そんな設定要らねえんだよぉ!」
ゼノヴィアの攻撃を高速移動で避けるが、その先に同じく高速移動をしている木場が待ち構えていた。
「そんな剣で!」
「ぐっ!?」
そこから高速の斬り合いに発展してしまい、所々しか目で追えなかった。
「僕達の想いは絶てない!」
ガシャァァァン!
「折れたァァァァッ!?!?」
決着はあっという間に着き、フリードは剣を折られ、地面に放り出された。
「……マジですか!?この俺様がクソ悪魔ごときにぃ…!…ザケン…っ!?」
剣と一緒に自身も斬られたのか、肩に大きな切り傷ができており、フリードは苦悶の声を揚げて倒れ付した。
「……見ていてくれたかい?僕らの力はエクスカリバーを超えたよ!」 
 

 
後書き
次回はオリ戦闘であいつが久々に登場して、暴れます。 
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