転生赤龍帝のマフィアな生活
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十話:妥協
Sideバジル
「あなたは誰なの!?答えなさい!!!」
「兵藤一誠……てめえがコウモリに変えたバジルの上司みてえなもんだ。」
「この子の上司……?」
その場にいる全ての人の視線が拙者に向いて居心地が悪いです……。
それにしても一誠殿がなぜここに……いや、始めから拙者を着けてきたんでしょう…これでは立場が入れ替わってるではないですか……護衛失格ですね。
「どういった経緯でバジルがコウモリになったかは教えてくれんだろうな?」
「……ええ、あなたがこの子の上司だというなら勿論教えるわ……でも明日にしてくれないかしら?この子はまだ病み上がりなの。」
ということはやっぱり昨日の事は拙者の夢ではなく現実ということに……。
「……いいだろう。」
「あ!!待ちなさい!!あなたにもあなた達が何者か話してもらうわよ。」
「てめえらの出方次第だな。」
そう言って立ち去っていく一誠殿……。ふう……なんて威圧感なんでしょうか?
味方としてはこれ以上ないほど頼もしい方ですが、向かい合うとこうも恐ろしいものとは……まだまだ修行が必要ですね。
「あなたにも色々聞きたいけど……今は家に帰って休みなさい。明日迎えをあなた達に寄越すから。」
「分かりました。」
「朱乃、私達も帰るわよ。……朱乃?」
「あ!!……すみません部長……それにしてもあの人…どこかでお会いした気が……。」
拙者も帰りましょう、明日は――色々と大変になりそうですから。
Sideoutバジル
暇だ……バジルが言うにはリアス・グレモリーが迎えを寄越すらしいがいつまで待たせる気なんだ?暇つぶしにドライグを半殺しにするのももう飽きたんだが……。
「やあ、待たせたね。君達が兵藤一誠君とバジル君だね?」
「おせえんだよ。」
「せ、拙者は別に待っていないですよ。」
「ごめんね、ちょっと道に迷っていた一年生を案内してたんだ。」
「ちっ……さっさと行くぞ。」
「えっと…なんで先頭に立っているんだい?それだと案内できないんだけど。」
「俺は常に先頭にしか立たねえんだよ。」
俺は俺の前に人がいることは許せないんだよ、俺は常に一番でなければならないんだ。
誰かが隣を歩くことも許さない、カスは俺に後ろに付き従っていればいいんだ。
「すみません、一誠殿はこういう人なので……。」
「あはは…いいよ、後ろから道を案内すればいいだけだからね。」
「ありがとうございます……はあ。」
バジルが何やら気疲れしているみたいだが俺には関係のない話だな。
そうだろ?ドライグ。
(………………………………)
返事がないただのトカゲの屍のようだ。
「邪魔するぜ。」
「ようこそ、オカルト研究部へ。」
「何と言うか……面白い部屋でござるな。」
バジルの言う通り俺達が来た部屋はいかにもオカルトと言った感じの魔法陣や趣味の悪いアクセサリーが並べられており、独特の雰囲気を醸し出していた。
「部長二人を連れてきました。」
「ご苦労だったわね祐斗、二人ともまずは座って頂戴。」
「失礼します。」
「粗茶です。」
「ありがとうございます。」
このお茶には別に薬は入ってないようだな。ちょうどいい、喉が渇いてたんだ。
「……やるじゃねえか。」
「あら、ありがとうございます。」
「てめえは……確か―「姫島朱乃です。」―そうか……。」
どこかで見た覚えがあるんだが……どこだったかな?ドライグに聞けば分かるだろうが今あいつは不慮の事故で瀕死の重傷を負っているから無理だろうな。
「さてと……それじゃあ、まずは自己紹介から始めましょうか。リアス・グレモリー、このオカルト研究部の部長よ。」
「先ほども申し上げましたが副部長の姫島朱乃です。」
「木場祐斗、よろしく。」
「……塔城小猫です。」
「拙者はバジルと申します。」
「兵藤一誠。」
あの塔城とか言う小柄な女の子……確かカス二人組にナンパされてた奴か、あの時は気づかなかったがこいつも悪魔だったんだな。
「私達は悪魔―「それは知ってる。さっさとバジルがコウモリになった理由を言え。」―……そう、わかったわ。」
リアス・グレモリー何か言いたそうにが睨んでくるが知ったことじゃない。大体その程度の睨み何て可愛いものだ、まだカスザメの睨みの方が凄味がある。
「簡潔に言うとその子、バジルが神器を狙った堕天使に襲われて人として死んだところを私が悪魔の駒で悪魔に転生させたの。」
「やはり拙者はあの時死んでいたのですね……。」
「ぶはっ!!カラス如きに殺られるなんざなさけねえな!!!」
「面目ないです……。」
まあ、同じファミリーが死ぬのは余りいい気分じゃないから今回は悪魔に感謝するか。
「……どう聞いてもあなた達は悪魔や堕天使のことを知っているようにしか聞こえないんだけど……あなた達一体何者?」
「うちのファミリーの一員を助けた礼だ……バジル。」
「え?拙者が話すんですか?」
「不服か?」
「い、いえ!!そんなことはありません!!!……ゴホン…では拙者から話させていただきます。拙者達は―――――――――」
「伝統・格式・規模・勢力全てにおいて別格と言われるイタリヤ最大手マフィア、ボンゴレファミリー……そこの御曹司が一誠でその護衛についていたのがバジルというわけね。」
「はい。」
「一つ聞いてもいいかしら?ボンゴレと言ったら確か教会勢力と強い結びつきがあると聞くのだけど……あなた達は敵なのかしら?」
「勘違いすんな…ボンゴレは教会の犬じゃねえ!!!その気になりゃ教会をカッ消す程度の力はある。」
「敵じゃないということでいいかしら?」
「はっ、敵でもねえが味方でもねえ。ただここがイタリアならバジル諸共てめえらもカッ消してたかもな。」
今回は特別だ、今までの行動から振り返ってもこの悪魔達が人間に危害を与えようとしていないという事、バジルの命を助けられたという恩、そして何よりファミリーを守るためだ。
「バジル、てめえは二度とイタリヤに戻ることは出来ねえぞ?死にてえってなら別だがな。」
「そ、そうですね……もう二度と故郷に帰れないでござるか……。」
「バジル……ごめんなさい。」
「いえ、リアス殿が謝る必要はないのです。すべては拙者の未熟さが原因なのですから。」
「はっ、その通りだ。カスに殺されるなんざ護衛失格だ。」
「……はい。」
なんだ?オカルト研究部の奴らが俺を睨んでいるぞ、姫島朱乃は女王としての立場なのか表情は変えていないが視線の感じからして俺の事を良く思っていないのは間違いない。
「あなた、まがいなりにも自分の護衛が殺されかけたっていうのに冷たくないかしら?」
「けっ、はなから護衛なんざいらねえんだよ、使えねえ奴に情けをかける価値なんざねえ、使えねえ奴は必要ねえ、それがマフィアの世界だ。嫌なら強くなりな。」
「へー……相当腕に自信があるのね、あなた。」
「どうやら、カッ消されてえらしいな?」
「やめてください!!!お二方が争っても何の意味もないことです!!!」
「そうね……少し熱くなりすぎたわ。」
「ふん……。」
まあ、ここは抑えておいてやろう。まがいなりにもバジルの面倒を見ることになる奴らだ。いきなりカッ消したりしたら後が面倒だしな。
「えっと……それで拙者はこれからどうなるのですか?」
「バジルにはオカルト研究部に入ってもらうわ、そこで悪魔としてのイロハを教えていくわ。異論はないかしら、一誠君?」
「勝手にしろ。」
「そ、じゃあそうさせてもらうわ。」
「はあ……拙者、胃潰瘍になりそうです。」
それは大変だな、胃潰瘍になったら腕のいい医者を紹介してやろう。
(誰が原因だと思っているのだ?)
(何だ、生き返ってたのか、ドライグ。ちょうどいい、サンドバックになれ。)
(断固として拒否する!!!)
(ちっ、使えねえ奴だ。)
しょうがない、家に帰ったらカスザメに無理な仕事を頼んでストレス発散しよう。
うん、それがいい。
「あなたにもオカルト研究部に入ってもらいたいのだけど―「断る!!」―……即答ね。理由を聞いてもいいかしら?」
「別に俺を監視する分には文句はねえ……だがな、俺は誰の下にもつかん!!!死んでも誰にも従わん!!!!!」
「そうだとしても私にもこのグレモリー家の領地を管理する責任があるのよ、そう簡単に分かったとは言えないわ!!!」
「はっ、悪魔としてはそうかも知れねえが、ここはボンゴレのシマだ、それに俺が従う理由はねえ!!!……俺を従わせてえんなら――力で従わせてみろ!!!!!」
「「「「「っ!!!??」」」」」
普段はあまり使わない魔力を一気に解放して壁にひびを入れたりティーカップを割ってりして格の違いを思い知らせる。これでもまだ全力じゃあないからな。第一、俺の戦闘スタイルは死ぬ気の炎だ。超圧縮エネルギーの前では魔力なんてカス以下だ。
『相棒、その辺でやめておけ、この部屋が持たなくなる。』
「勝手にダセえ籠手になって出てきてんじゃねえよ、カストカゲ。」
「うそ……まさかその籠手って――」
「そうです、一誠殿は赤龍帝の籠手の所有者――今代の赤龍帝なんです。」
『それどころか相棒は歴代『最強』かつ『最恐』だ。お前らが束になってかかってきたところでかすり傷一つ付けれんぞ。』
「そ、それでも、グレモリー家の領地を守るためにはあなたを野放しにするわけにはいかないわ!!!」
ほう、ただのプライドの高いだけの女かと思っていたが意外と心が強いじゃないか。
悪魔のことなんかどうでもいいがグレモリー家は将来安泰だな。
「中々、根性があるじゃねえか……根性のある奴は嫌いじゃねえ。妥協案位ならのんでやる。」
「妥協案?」
「授業中はバジルが今まで通りに監視兼護衛をやる、その間の情報をバジルはお前に渡す、放課後は気が向いたときはここに来てやる。正し、ただの客としてだがな…それでどうだ?」
「ええ…それで構わないわ。」
「それなら、もう用はねえ、じゃあな。」
扉を開けて出るところで足を止める。
「バジルは使える奴だ……無茶なことを押し付けても構わねぞ。」
「え?」
そのまま振り返らずに部屋から出て行く。
Sideバジル
「ふー………。」
腰が抜けたようにソファに座り込むリアス殿。まあ……無理もないです、一誠殿の力は次元が違う、睨まれただけで心臓を握られているような気分になります。それがなくなれば誰だってホッとします。
「あなた、とんでもない人の護衛やってたのね……。」
「あはは……とは言っても拙者よりも強いので護衛の意味はないんですよね。」
「むしろ、君があれ以上の強さがあると言い出すんじゃないかと思ってひやひやしたよ。」
「……祐斗先輩、笑えません。」
「それにしても……最後に言った言葉はいったいなんでしょうか?」
「多分、まだ、拙者を見捨てないという意味でいったのではないかと、ああ見えて一誠殿は身内には優しいので。」
「「「「想像出来ない(わ)。」」」」
「あはは……。」
それにしても拙者がリアス殿と一誠殿の橋渡し役とは……どちらか一方でも機嫌を損ねれば大変なことになる気がします……今から胃が痛いでござる。
Sideoutバジル
どういうことだ……家に帰ってもクロームがお帰りと言ってくれない……それどころか話しかけてもプイと横を向く始末だ……。
ドライグ!!!俺が何かしたのか!!!??助けてくれ!!!!!
(相棒が俺に助けを求めてくるとは……明日は地球が滅びる日か……。)
(お前に助けを求めた俺が馬鹿だった、後で火あぶりの刑を試行する。)
(ま、待ってくれ相棒!!!取りあえず訳を聞いてみるしかなかろう、クロームの好きな麦チョコでご機嫌を取りながらなら何とかなるはずだ!!!!!)
(でかした!!!たまには使えんじゃねえか!!!!!)
(相棒……だんだんとシスコン化してきたな。)
(何か言ったか?)
(いえ、なんでもありません。)
まあいい、今はクロームだ。取りあえず、直ぐに家を飛び出しコンビニで麦チョコを全て買い占めてクロームの部屋に向かう、この間およそ三分だ。
ヴァリアー・クオリティ万歳!!!
「クローム……麦チョコ食うか?」
「…………………。」
ムスッとしたままではあるが俺を部屋に招き入れポリポリと麦チョコを食べ始めたクローム。
「……………………」
「……………………」
く、空気が重い……こういうのを無言の圧力というのか?
「…………………の?」
「何だ?」
「どうして一緒に帰ってくれなかったの…?私、待ってたんだよ…。」
「よ、用事があったからだ……。」
「それならそう言ってくれたらまだ待てたよ?でも…何も知らされずに待たされるのは……辛いよ…。」
そう言って泣きそうな顔をするクローム……確かに今回は俺が全面的に悪いな。
「悪かった…今度からは待たせねえし、ちゃんと連絡もする。」
「ホント…?」
「約束だ。俺が約束破ったことがあるか?」
「ううん…。」
「なら信じな、お前は大切な存在なんだから他よりは優先する。」
「っ//////!!…うん!!ありがとう、お兄ちゃん!!!」
頬を赤らめて満面の笑顔を浮かべるクローム……やっぱり笑顔が一番似合うな。
「あ!!そう言えば今度の日曜日にパフェ食べに行きたいんだけど…お兄ちゃん…空いてる?」
「その日は確か仕事が―「ダメ…?」―いや、俺の思い違いだったな。」
涙目上目づかいは反則だ、断れる気がしない。というか全力でクロームを願いを叶える。
まあ、仕事はカスザメに頼んでおけばいいだろう。ヴァリアーの他の幹部も動かせばいいしな。
後書き
バジル君は中間管理職の板挟みを経験することになります。
頑張ってくれ、バジル!!
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