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転生とらぶる

作者:青竹
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マクロスF
  0745話

「ランカちゃんも大きくなったわね、こんなに大勢の前でライブをやるなんて」

 ライブが始まるまで後30分程。俺達は周囲の客に紛れてライブ会場の中にいた。
 とは言っても、前もってグラス大統領のボディーガードに言っておいたように大統領やVIPが集まっている席の近くだ。……まぁ、それでも当然一般客とVIPの席なんだからそれなりに距離はあるんだが。

「銀河の妖精シェリル・ノームに対して、希望の歌姫ってあだ名? 通称? まぁ、そんな感じらしいな」
「希望の歌姫ねぇ。ま、確かにランカちゃんのバジュラに対する活躍を思えばそんな風に呼ばれる事になるのも当然なんでしょうけど」
「だろうな」

 シェリルの言葉に頷きながら、考える。希望の歌姫……もしここに美砂がいれば、色々と複雑な表情だっただろう。美砂のパクティオーカードに書かれている称号は『滅びの歌姫』だ。文字通りの意味でランカの逆を示されている称号なのだから。
 美砂は確かにコーラス部だけあって、歌は上手い……と思う。ただ、それがどれだけランカやシェリルと比べても上手いと言えるのかは、正直音楽関係に疎い俺には判断が付かないだろう。ただ、それでも本職からみれば結構違う筈で……美砂がシェリルやランカの歌を聞いたらショックを受けるかもしれないな。
 いっそでこぴんロケットでコラボさせてみるとか。……ちょっと面白そうだな。
 そんな風に考えつつ、携帯を取り出して目標の人物へと連絡を取る。
 幸い、アクロバット飛行の準備やら何やらがあるにも関わらず、数回のコールでその人物は携帯に出た。

『もしもし、アクセルか? どうした? こっちは今色々と忙しいんだが』
「ああ、悪いなミハエル。ただ、こっちもちょっと洒落にならない用件があってな」
『洒落にならない用件? お前がそこまで言うとなると、随分と物騒だ』
「文字通りの意味で物騒だよ。少し前にオズマから連絡があって、もしかしたらこのパレード中に……より正確には、ランカのライブ中にグラス大統領が狙われる可能性がある」
『……マジか』

 数秒の沈黙の後にそう返すミハエル。まぁ、ミハエルにしてみればアルトやルカを含む友達と楽しくアクロバット飛行のバイトをやるってところにこの話題だからな。

「ああ。パレードの時ならグラス大統領は車に乗ってて常に動いていたけど、このライブを聞いている時は同じ場所にずっと座っている。それを考えれば、これ以上暗殺のしやすいタイミングはないだろ」
『本気で狙われるのか?』
「さて、その辺はどうにも分からないと言うのが正直なところだ。ただ、可能性はある」

 俺のその言葉に、数秒程の沈黙の後再びミハエルの口が開く。

『で、俺達にどうしろって? 武器もいざって時の為に使えるような拳銃程度しか持ってきてないぜ? 何かあったとしても……』
「心配するな、武器に関してはこっちで用意してある。もっとも、お前達は使った事がない奴だと思うが、それでも無いよりはマシだろう」
『おいおい、もしかして試作品だったりしないだろうな? 嫌だぜ、銃を撃ってる時に暴発とかされてこっちがダメージを受けるようなのは』
「心配するな、動作については保証するよ。このフロンティア船団じゃ使われていないかもしれないが、俺が前にいた場所で使われていた重火器だ。ほら、鳥の人の撮影でバジュラに襲われた時も閃光弾とか煙幕弾を渡しただろ?」
『……ああ、あれか。そう言えば確かにあの2つは全く問題無く使えたな』
「とにかくだ、現状でグラス大統領が暗殺されたりして、更に大統領選挙でキノコがその後釜に座るのは色々な意味で避けたい。色々な件に関係してそうなグレイスの操り人形みたいな感じだろうしな。下手をすればこのフロンティア船団そのものがグレイスに支配されかねないぞ」
『あんな美人に支配されるってのも良さげだけど……さすがにそれはちょっとな。分かった、何かあったらアクセルに合流するって事でいいんだな?』
「ああ。特にEX-ギアがあれば空を飛べるというおまけも付いているからな。出来ればそれを込みで合流して欲しい」
『EX-ギア? ……これは民間用にデチューンされてる奴だから、戦闘ではあまり使いたく無いんだけどな。ま、そんな事を言ってられる場面じゃないか』
「じゃ、そういう事で頼む。一応何かあったら連絡を入れるから、いつでも連絡が取れるようにしておいてくれ」
『あいよ。じゃ、精々ランカちゃんのライブと俺達のアクロバット飛行を楽しんでくれ』

 そう告げ、通話が切れる。
 どうやら向こうに関してはあまり心配はいらなさそうだな。3人もいればいざという時に十分に戦力として期待出来るだろう。それに、民間用だとは言ってもEX-ギアがあるのは正直ありがたい。

「話は終わったの?」
「ああ、向こうも向こうで色々と忙しそうだが、いざという時にこっちに手を貸してくれる事にはなった」
「そう。……折角のランカちゃんのライブなんだから、何も無ければいいんだけど」

 憂うような目でステージの方へと視線を向けるシェリル。
 だが、俺はそんなシェリルとは裏腹に、ステージの近くにあるVIP席に座っているグラス大統領の方へと注意を向けている。
 もし暗殺に来るとして、ナイフとかで直接来るのなら十分対応出来るし、ボディーガードの方で何とでも出来るだろう。となると、やっぱり狙撃とか会場をそのまま爆破とか、最悪の場合はVFやデストロイドを使ったテロに見せかけるとかだな。
 ……幾ら何でも最後のはちょっと厳しいか? いや、グレイスが手を貸しているなら命令なんか幾らでも偽造出来るし、パイロットもキノコのコネを使えば用意出来るだろう。最悪、ブレラを使うという選択肢も捨てない方がいいか?
 とにかく狙撃に関してはどうしようも無いのは事実だ。出来るとすれば殺気を感じ取ったら、素早くグラス大統領の下に駆け付けるくらいか。
 折角のライブだってのに、楽しむ余裕はあまりなさそうだな。
 出来れば俺がグラス大統領のすぐ近くで直接護衛出来ればいいんだけど。

「ちょっとアクセル。難しい顔をしているのは分かるけど、折角のライブなんだから少しは楽しみなさいよ。ほら、こっちに来て」

 シェリルに引っ張られ、最前列まで強制的に連れられていく。
 周囲の客達は最初嫌そうな顔をしているのだが、何故かシェリルが笑顔を向けるとそれに釣られたように笑顔を浮かべる。
 ……帽子とサングラスで変装しているのに、よくもまぁ。さすがに銀河の妖精といったところか。
 そんなこんなで到着したのは最前列。場所的には一般の客席としてはグラス大統領に最も近い場所だ。
 あ、ボディガードの1人と視線があった。一瞬顔を顰めながらも、グラス大統領の耳元で何かを囁き、大統領がこちらを見る。
 俺と目が合った瞬間には厳しい表情を浮かべて小さく頷くが、その表情もすぐに消えて今までと同様の柔和なものに戻っていた。
 この辺、さすがに大統領といったところか。確かにランカのライブを見に来ているのに、厳しい表情を浮かべていれば他の客達は皆何事かと思うだろうしな。
 それから暫く、シェリルと共に会話をしながらライブが始まるのを待ち、同時に動けないのをいい事にポケットの中に空間倉庫を展開し、極限まで細くしたスライムをライブ会場中へと張り巡らせていく。
 ふと思いついた作戦だったが、これならいざという時にもグラス大統領を狙撃とかから守れるかもしれないしな。
 そんなこんなで、やがてライブが開始される。

『皆、抱きしめて! 銀河の、果てまでーっ!』

 いつもの決め台詞と共に、ランカのライブが始まった。
 同時に、ミハエル、アルト、ルカを始めとするメンバーがアクロバット飛行をしながら空中にRANKAの文字を、そしてハートマークに突き刺さる矢といった風に描いていく。

「へぇ、アルト達も随分と張り切っているな」

 視線の先では、ランカの歌に合わせるようにして縦横無尽にアルトを含む5人が空を飛んでいる。その動きは揃っており、これぞアクロバット飛行と呼べるものだろう。
 実際、観客達もランカの歌の合間に上を見ては歓声を上げており、大統領もまた同様に笑みを浮かべてアクロバット飛行を見ている。
 狙われているかもしれないというのに、全くそれを感じさせない胆力はさすがに政治家一家の生まれといったところか。

「ランカちゃん……完全に一皮剥けたわね」

 アクロバット飛行を中心として周囲の様子を確認していると、そんなシェリルの声が聞こえてくる。

「一皮剥けた?」
「そう。誰の為に歌うのか、自分の歌が何の為にあるのか、歌とは何か。そんな自分の中の殻を破ったといったところね。……このまま上手く行けば、あの子は本当の意味で化ける事になると思うわ」
「そんなにか? こうして見ている限りではそうは思えないけど」
「ふふっ、アクセルは鈍いわね。ま、女に対して機を見るに敏とかになってもちょっと困るけど」

 肩を竦めつつ笑みを浮かべて告げるシェリル。
 その言葉を聞きつつ、ランカの方へと視線を向ける。
 アクロバット飛行も大体が終わり、今はもうランカのライブ一色になっている様子を見ながら、スライムを使って周囲を警戒する。
 ……とは言っても、この騒がしい中での警戒だ。音や熱といったもので判別出来る訳も無く、あくまでもやらないよりはマシといった程度のものだったが。
 そして、当然と言うべきか何も起こらないままコンサートは進んで行き……とうとう最後の歌も終わる。

『みんな、ありがとう!』

 大きくそう告げながら頭を下げると、次に周囲から聞こえてきたのは『アンコール』の声だった。

『アンコール、アンコール、アンコール』

 周囲の客達が皆揃って告げているそのアンコールの声に、小さく笑みを浮かべるランカ。そして、再びマイクを口の前へと持っていき……

『じゃあ、これが本当に最後の1曲となります。聴いて下さい!』
『わあああああああああああっ!』

 大勢の、悲鳴のような歓声が上がっている中で再びランカが歌い始め……同時に、俺はソレに気が付く。
 この場には最も相応しくないその感情。……即ち、殺気を。
 周囲を素早く見回すが、近くではない。少なくてもナイフやら何やらでの暗殺といった行為ではないだろう。そうなると……狙撃か!?

「シェリル、ちょっと出て来る。お前はここにいてくれ」
「……分かったわ」

 それだけで俺が何をするのかが分かったのだろう。シェリルは小さく頷くと、周囲でランカの歌に熱中している観客達は関係無いとばかりに俺に近付き、軽く唇を重ねる。

「幸運のおまじないよ。行ってらっしゃい」
「ああ、行ってくる」

 周囲の数名がこっちを驚愕の表情で見てはいたが――不幸中の幸いだったのはキスをした人物がシェリルだと気が付かれていない事か――それを無視するようにしてその場から離れる。同時に、大統領の近くにいたボディーガードも俺が動き始めたのに気が付いたのか、俄に慌ただしくなっているように見える。
 俺から目を離していない辺りはさすがだが、そうなると恐らく今のキスシーンとかも見られていたんだろうな。
 そんな風に考えつつも周囲を素早く見回す。色々と最悪な事に、大統領がいるVIP席は俺達がいる場所よりも数段高い場所にある。そう、それこそ狙撃をしようと思えば最適な位置に。
 勿論グラス大統領にしても、自分が狙撃されるとは思わなかったが故にこの位置で許容して、更には今の状況で急に席を変えると不審に思われるという理由でこうなったのは分かっている。後は、俺の言葉を全面的に信じられなかったというのもあるだろう。
 ……まぁ、グラス大統領にしてみれば、最近は敵対していたとしてもキノコは長年信頼してきた部下だったのだから無理も無いが。
 ランカの歌を聴いている観客の間を縫うように移動し、多少怪しまれるだろうが地を蹴り、グラス大統領がいる場所へと着地し……

「っ!?」

 突然現れた俺に向けて銃を向けてこようとしているボディーガードを無視しながら素早く周囲を見回し、稚拙な殺気の飛んできている方へと視線を向け……

「……何?」

 思わず目に入ってきたその光景に、動きを止める。
 普通の人間では、まず見えない距離にいる男。手に持っているのは狙撃銃で間違い無いだろう。だが、その男の持つ狙撃銃の銃口の先には……

「バジュラだと!?」

 ランカの歌が丁度一段落したところだった事もあり、俺のその声はライブ会場全体……とまではいかずとも、VIP席の近くにいる観客には十分聞こえる大きさで響くのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:41
PP:1115
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:732 
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