ロックマンX~朱の戦士~
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第八十五話 Guardian
前書き
ゲイトの秘密研究所に向かう4人。
四人の戦士がゲイトの秘密研究所に向かう中、ゲイトは1人のレプリロイドと会っていた。
巨大な貝型シールドを持つ戦闘型レプリロイド、シールドナー・シェルダンであった。
彼は跪き、主であるゲイトの指示を仰いでいる。
ゲイト「シェルダン、“彼”の相手をしてやってくれ。無粋にも僕の神聖な研究所に乗り込もうとする愚か者達だ。イレギュラーハンター・ゼロと、その協力者であるルナの侵入を阻止せよ」
シェルダン「はっ、この命に代えましても」
シェルダンが平伏した時、侵入者を告げる警報が鳴り響く。
ゲイト「どうやら招かざる客が来たようだな」
モニターにゼロとかつては彼女の客として会ったルナの姿があった。
ゼロ「全く、マグマやら氷やら、随分と凝った造りをしている。本当に研究所か?」
ルナ「同感。これじゃあ研究所って言うより要塞だなこりゃあ」
2人は見事なコンビネーションでメカニロイドを破壊しながら先へと進む。
すると研究所に設置してあったモニターにレプリロイドの姿が移る。
ゲイト『やあ、イレギュラーハンター・ゼロ。それから久しぶりだねルナ。』
ゼロ「お前がゲイトか」
ゲイト『全く忌ま忌ましい男だ。僕の計画を邪魔してくれてね』
実際に忌ま忌ましそうな表情はしていなかったが、口元を吊り上げ、ゼロとルナを見下している。
ゼロ「レプリロイドを洗脳し、意のままに操る。そんな下らん野望に付き合っている暇はない。必ず潰してやる」
ゲイト『それで平和が来るとでも?今までイレギュラーハンターやレプリフォースがありながら平和な時があったかい?』
ゲイトの台詞は真実を突いていた。
だがゼロは迷わない。
ゼロ「ウィルスで築いた理想国家なんて幻だ!!すぐに消えて無くなるぞ!!」
ゲイト『戦うことで全てを片付けてきた君にそんなことを言われたくないね。好きにするがいいさ。どうせ君は僕の元に辿り着けない。せいぜい足掻くことだね』
笑い声が響き、モニターの映像が途切れた。
ルナ「行こうぜ」
ゼロ「ああ…辿り着いてみせるさ」
2人は直ぐさま疾走する。
ハンターベースの通信はゲイトの秘密研究所と通じていた。
映像はない。
音声のみがよく聞こえてきた。
極度の電波障害で研究所の内部を探ることが出来ないのだ。
代わりにエックスとルインの攻撃と敵の大破する轟音から状況をある程度把握出来た。
エックスとルインは門番と戦っているようだった。
ナイトメアマザー。
ゲイトにそう名付けられた巨大なキューブが体当たりや炎、雷といった多彩な攻撃を仕掛けて来る。
エックスの苦痛の呻きやルインのいかなる苦痛でもくじけたりはしない気迫の声が通信を通してリアルに伝わって来る。
交錯する音を聞く度にエイリアは思うのだった。
エイリア「ゲイト…どうしてこんなことを…あなたはそんな愚かな人じゃないはずよ?」
呟きが聞こえていたのかゲイトは答えて来る。
ゲイト『忘れられないんだよ。僕の研究が理解されるどころか、処分されたことがね。優れているのに…何故?エックスやゼロやルインなんて未だに謎に包まれていて、危険な部分が沢山あるかもしれないのに、どうして処分されない?』
エイリア「それは…」
ルイン『エックス!!』
エックス『離れろルイン!!砕け散れええええええ!!!!』
直後、一段と激しい轟音がした。
恐らくエックスがナイトメアマザーにギガアタックのギガブレードを喰らわせたのだろう。
轟音が次第に弱まっていくのに合わせ、ゲイトが己の気迫を最大限に発揮した。
ゲイト『ナイトメアマザーが倒されたようだね…直にエックスとルインが僕の元に来る。待っているよエイリア!!僕の力を、今こそ証明してみせる!!』
そしてほぼ同時刻。
シールドナー・シェルダンはゼロとルナの訪れを待っていた。
脳裏には“あの日”の記憶が過ぎる。
あの日…。
『シールドナー・シェルダンがイレギュラー化したぞ!!』
『ジム博士を殺したんだ!!』
『やはりゲイトに造られたレプリロイドだ。最悪の結果を齎した!!』
機能停止した博士の傍ら、静かに博士を見下ろしていたシェルダンにイレギュラーハンターが武器を構えた。
シェルダンは突如イレギュラー化したジム博士を処分。
苦しくも最善の選択をした。
丁度それを目撃されたシェルダンはハンターからイレギュラーと見なされた。
ゲイトに造られたというたったそれだけのことで。
違うと言いたかった。
だが…ガードとしての役目を果たせなかった。
そしてイレギュラーに間違えられるほど世間から必要とされていないと悟った。
シェルダン『博士…』
守るべき人の亡骸を見る。
シェルダン『すまなかった…』
そしてシェルダンは自害した。
最期の時、駆け付けた蒼、紅のハンターの姿が見えた。
ゼロとルナは強力なデータ反応を感知した。
一瞬ハイマックスかと思ったが違う。
無機質な奴とは違い、何処か剛直な気配がした。
ルナ「あいつは…」
扉の向こうにはかつて自分やエックス達が救えなかったレプリロイドの姿があった。
ゼロ「シールドナー・シェルダン…」
シェルダン「来たかゼロ…そしてジャンク屋の娘よ」
ゼロ「あの時はすまないことをした…。イレギュラーハンターが本物のイレギュラーを見抜けないとは…部下とはいえハンター失格だ…」
シェルダン「世の多くの人が君のことを必要としている。私はガードとしての役目を果たせなかった…イレギュラーに間違えられるほど世間から必要がないと悟った私は…然るべき道を選んだだけ…しかし私を必要としてくれる人がいたのだ。あのお方は…再びチャンスをくれたのだ…。そして今度こそガードとしての使命を全うするつもりだ命に代えてもあのお方をガードする!!」
ゼロ「止めろシェルダン!!お前なら分かるはずだ!!今何をすべきか…主の暴挙を止めるのも“守る”ことなんじゃないのか!!?」
ルナ「そうだぜ!!主の間違いを正すのは“守る”ことに繋がる!!」
ゼロとルナの言葉にシェルダンは答えず、貝型のシールドを手に取った。
シェルダン「…来いっ!!」
ゼロ「チッ!!ルナ、下がれ!!」
シールドが投げられた。
セイバーで破壊を試みるが、堅固な盾に損傷を与えられなかった。
直撃する寸前、ゼロはダッシュでかわし、シェルダンにゼロナックルによる打撃を喰らわせる。
シェルダン「ぐはっ!!」
ゼロ「戦いたくはなかったが…仕方ない!力ずくで通してもらうぞ!!」
シェルダン「そうはさせんぞゼロ!!」
シェルダンは貝を戻すとその中に入り、ゼロ目掛けて体当たりした。
ダブルジャンプを駆使して回避し、リコイルロッドを喰らわせるが効かない。
どうやらシールドに身を隠しているうちはどのような攻撃をもってしても通用しないようだ。
ゼロはバスターを抜き、シェルダンが生身を現した時にダブルチャージショットを喰らわせるためにチャージを始める。
そして姿を現したシェルダンにバスターを向ける。
ゼロ「ダブルチャージショット!!」
シェルダン「甘いな!!」
今度は別のシールドを張り巡らせる。
オレンジと青の光で全身を守る。
おまけにシールドからは光弾が放たれた。
ゼロ「(くそっ、反撃の隙を見つけないと…)」
シールドブーメランで光弾を跳ね返すがそれすらも防がれた。
シェルダン「逃がさんよ!!」
防戦一方のゼロを追い掛けるシェルダン。
ゆっくりとした動きだが、威圧感のせいでシェルダンの身体が巨体に感じられた。
部屋の隅に追い詰められる。
するとルナの声が電子頭脳に響いてきた。
ゼロ「(これはシンクロシステムか?)」
電子頭脳の波長を同じにしてリアルタイムでレプリロイド同士の機能を共有するシステム。
このシステムは、絶対に会話を傍受されないという特徴を持っているが、共有化するというのは情報だけではなく感覚まで共有してしまう。
下手をすれば共有化した痛覚によりダメージが倍になるというデメリットもある。
ルナ「(ゼロ、シェルダンのシールドは時々薄くなるんだ。薄くなった瞬間に一撃を入れろ!!)」
それだけ言うとこれ以上のシンクロは危険と判断したのか、シンクロシステムが解除される。
そしてルナの助言通りにシェルダンのシールドが薄くなったのを狙ってチャージしたリコイルロッドの一撃を喰らわせた。
それを受けたシェルダンはのけ反る。
ゼロ「悪いがお前を倒す!!」
セイバーによる斬撃を絶え間無くシェルダンに浴びせる。
しかしどんなに攻撃を浴びせてもシェルダンの闘気は失せなかった。
シェルダン「我が命に代えても、あのお方を…」
ルナ「おいおい…」
ゼロ「チッ!!」
ゼロは身体が傷つくのも厭わず、シェルダンに突進した。
シェルダン「何を…」
意識が遠退く、首筋の攻撃がシェルダンの意識を奪ったのだ。
ゼロ「お前を死なせたくない…だから…」
自分でも甘いと思うが…。
ルナ「こいつはハンターベースに転送すればいいな?」
ゼロ「ああ、頼む」
シェルダンをハンターベースに転送した後、2人は戦場を進む。
後書き
シェルダンがハイマックスの代わりにナイトメアマザーの次の相手として抜粋。
ハイマックスはウェポン研究所で破壊されたため。
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