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ゼロの使い魔ー紅の書ー

作者:使い魔
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偵察

 
前書き
 

 
 首都レキシトン。

 王家派が、貴族派に敗北した始まりの土地で、
貴族派の本拠地にされている。

 一般人に及ぼす被害を、抑えたいと考える者なら、
人が大勢いる場所を、拠点などにしないだろう。
奴等は過激派で、王国の実権さえ握れれば、
その行程で、流れる血には目もくれず、
手段を選ばない・・そんな連中に屈して、
国を預けては、遠くない未来に血が溢れる。

 アルビオンだけではなく、トリスタニアが
狙われるだろう・・国土は周りの国と比べた場合
一番の小国でアルビオンから距離も近い、
恰好(かっこう)の的というわけだ・・

 トリスタニアを巻き込む訳にはいかない、
断じて・・頼んだぞクー

 彼等と初めてあった礼拝堂を訪れ、
物思いに耽(ふけ)ながら、ステンドグラスを
仰ぎ見た。

「会って数日しか経っていないが・・断言できる! クーならやってくれるとーー」

 ◇◇◇

 大きな街だけど、活気がまるでない、まるで・・
人だけが忽然と消えてしまったかのように、
街は静寂に包まれ、人を見掛けない、昼時なら
騒がしいくらいが普通だろうに・・・・
 
 仮面に黒い布服という、怪しい格好なため、
高めの建物から、遠目の魔法を使い偵察を、
開始しする。

「レキシトンに人住んでるんだよな? ウェールズ」

 辺りの警戒し身を屈めながら、念話を使用して
情報を求める。

  (そのはずだが・・気になることでもあるのか?)

  頭に直接響いてくる声に、違和感を
覚えるが振り払う。

  慣れないとな、この力は便利だし使う頻度も
これから増えてくはずだから・・

  「違和感というか、昼間なのに人が誰も外に出てないんだよ」

  違和感というより、"異常"だろうーー胸騒ぎがする。
額に汗を滲ませながらも、頭を冷やした。

  (貴族派を警戒して外に出ず、息を潜めているか・・貴族派が関係してるかの二つに一つだろうな)

  二人の空気に重苦しい空気が流れ込む。
だからと言って焦りは禁物だ、それは二人とも、
理解しているが、民を出来るだけ巻き込まずに、
内乱を納めるどころか、"既に"巻き込んで
しまっていたのだから・・・・

  「レキシトンを拠点にしてると言っても少し離れてる可能性の方が、高いし街を出て周辺を見てくる」

  注意深く視界に人がいないことを、確認してから
移動をする。

  (了解した・・レキシトンから見て、東が怪しいかもな)

  「手掛かりもないから、手当たり次第に探すつもりだったし助かる!」
 
(また何かあったら、念話で伝えてくれ・・健闘を祈る)

  「見つけ次第連絡する! また後でな!」

 さてと・・・・責めてアジトくらいは今日の
うちに発見しておきたいよな・・
東に向かって走り出す。

 目を凝らさないと、見落としてるな・・
普通の人間だったら、わからないかーー
オレだったらここ隠れるって場所に、
ディテクトマジックをしてたら、
風石の反応とは違う魔力を関知した。

 錬金で山のように擬装された建物か?
人が入っていきやがった。 
ーー今日はここまでか、時間的に
ギリギリだな・・朝から行動してたが、
そろそろ夕方だ。

「ーーーーウェールズ、東の末端に錬金で山に擬装した拠点を発見した」

  敵に見つかったら厄介だと判断して、その場から
走って撤退しながら報告をする。一日目で、
アジトを見つけ出せたなら充分な成果だ。

(錬金でそんな物を製造してたとは・・周到だな、一旦戻ってくれ)

 周りに気づかれてないのを確認を怠らず意識を、
集中させる。

「そういうだろうと踏んで、撤退してる!」

  距離がある程度稼げたところで、フライを
唱え、地面より少し高い程度の低空飛行で、
飛び続けた。高低差がある場合は足に軽く、
ウィンドを掛けジャンプで避ける。

(偵察が得意分野ってだけあって、流石だな!!)

「夕飯には間に合うようにする! 先に食うなよ!!」

  笑いながら夕飯の話をはじめた。
確かな手応えを感じながら偵察の成功を確信
する。

(わかったから早く戻って来るんだぞ! レンが心配してるから・・)

「わかってるって! 任せておけーー!?」

  ーーゴォォ!!

  突然の事態に念話を中断せざるえなかった。
目の前の空間ごと、風の槌に叩きつけられた
ような風圧と衝撃が叩きつけられる。

 気づかれていたのか!? メイジは何処にいる・・

 杖を構えながら、警戒するが、敵は見えない。

  (クーどうした!? 何か起きたのか!)

  切羽詰まってるような危機迫る声色で、
叫びが頭に走る。

「敵襲だ・・恐らく手練れの風のメイジが一人、エアハンマーしたから、トライアングルは確実だーー」

 油汗が額から頬を流れていく、奇襲してきた割りに、
動きがなく静かなのが、不気味なくらいだ。

  なにが狙いだ・・焦らしてんのか?
趣味悪い野郎だぜーー

(なんだって・・切り抜けられそうか?)

 苦虫を噛み潰したような、歯痒(はがゆ)そうに
しながら状況を確認する。

「多分無理だ・・少し念話をやめる、悪いーー」

 念話をしながら、暗闇からこちらを狙ってる敵を
相手するのは厳しい・・・・

(わかった・・帰ってくるんだぞ・・絶対に!!)

  願うような、重々しい声が最後に木霊した。

 言われなくても・・帰るさ・・意地でもな!!

 脚に力を込めて迎撃態勢を維持する。こっちが・・
疲弊するように、揺さぶってだろうがよ・・
一瞬の油断で命を落とすような奴等と、何度も
殺りあってきたんだ!! 舐めんなよ・・

 レンがいないのは、初めてだけどな・・
リーチは短いが杖を剣に見立てて・・
接近戦になったらブレイドで・・
ブッた斬る!!
 
 唯一の救いは夜でも明るいってことかな、
浮遊大陸のいいとこだ・・
 
 黒い雲が突如頭上に現れた、
「ライトニング・クラウド」の雲が、
狙いを定めている。

「ウォーター・シールド!!」

 雲の目の前に水の壁を展開させ、雷が飛来
するまえに食い止めた、水は電気を通しやすく、
水に面白いくらい感電し、水と絡まり
暴れ回った。

「なかなかやるようだな・・」
 
 ハットを被った白髪の男が、涼しい顔で、
堂々と前から現れた・・

「それはどうも・・堂々と前から来るなら最初からそうしろよな・・」

 皮肉を言いながら、視線が弾けるように絡み合う。

「ここで死ぬ人間に語るのは無駄だろう?」

 言葉を交わす意味などないと、余裕綽々な
態度で嘲笑(あざわら)ってるようだ。

「甘く見たこと後悔させてやるよ!!」

 地面を力強く蹴り肉薄、腕を伸ばし
固定化した杖で、連続で刺突を繰り出す。

  「剣術に矜持があるようだが・・一手足りんな!」

 動きに合わせるように左右に体を傾け、
側面を弾き刺突をずらした。

「それで終わりなら、こちらか仕掛けさせてもらう」

 同じような構えをとり、もの凄い速さで、
突きを放つ。

「確かに速いな! だがよ! もっと速い奴を知ってるだよ!!」

  グラディアスの速さに比べたら、可愛いもんだぜ!
お前の速さなんてな!!

 突きを見切り相手の懐に踏み込む。

「ーーなんだと!? 私の突きを簡単に避けたのか!!」

 一旦後ろに下がり、態勢を整えようとするが・・
そんな隙を与える程クーは甘くなかった。
 
「遅えんだよ!!」

  渾身のブレイドを至近距離から、横に刃を
斬り込む。

 メイジの腹部から、夥(おびただ)しい量の血が
流れた・・間違いなく致命傷だろう。

「ぐッーーはァ・・」

  呻き声をあげ、絶命したようだ。

「ウェールズ・・今から戻るーー」

 悪人でも人が死ぬのを見るのは、嫌な
もんだぜ・・・・

  (無事でよかった・・相手はどうしたんだ?)

 安堵したように力を抜いたような声が聞こえる。

「ーー死んだ」

  沈んだ声で、一言ですませた。

(そうか・・どんな容姿か教えてもらえるか?)
 
「白髪で髪が長く髭も生えてるな・・」

  撤退しながら、詳細を口にする。

(それだけだと・・厳しいな・・他に何かないか?)

 言いたいことは分かるけどさ・・
考え込んだ末にでたのが、速さしか
浮かばなかった。

「杖を突くのが速かったくらいか・・な・・」

(もしも・・私の想像通りなら・・厄介だな、運んできてもらえないか?)

「早くいってくれよ・・わかった」

(すまないな、頼んだクー)

 早いとこ済ませて帰ろう・・
死体をレビテェーションで浮かせて、
城まで急いで向かう。
 
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