とある3人のデート・ア・ライブ
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短編1 退院祝い
前書き
一度書いてみたかった短編です
上条「不幸だぁぁぁぁッ!!!」
士道「いや、これは不幸ってレベルじゃないだろ」
琴里「絶対何か取り憑いてるわね……」
佐天「上条さんって……幸福な時ってありましたっけ……」
十香「うむ……これは流石に私も同情するぞ、うん」
よしのん『いや〜……これは、なんというか……ねぇ?』
四糸乃「当麻さん……頑張って、ください……」
一方「いや、もう無理だろ」
一体どうしてこんな会話になったのか。それは数分前に遡る。
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士道「よし、みんな揃ったな」
士道が周りを見渡す。そこには見慣れた顔がいっぱいあった。
士道「よし!上条の退院を祝って、乾杯!」
『かんぱ〜い!』
今日、6月23日(土曜日)に上条当麻は無事退院した。この騒ぎはその祝いをやろうというものだった。
士道の家で開催されたパーティー(?)には、士道、上条、十香、四糸乃、琴里、佐天、一方通行の7人で行われた。
その内、折紙は監禁中、真那は用事、狂三とは連絡が取れず、令音や神無月は仕事があるということで来られなかった。
本来は琴里も仕事をするべきなのだが、令音の要望でこっちに参加することにした。
テーブルにはお菓子やジュースが無造作に並べられている。
ワイワイ騒ぎながら、みんなはつかの間の休息をとっていた。
数十分後、ギャーギャー騒いでいたのが十香の一言で一瞬にして変わる。
十香「シドー!久しぶりに人生ゲームをやろう!」
十香は士道に誘われて1度やったことがあったのだ。それはなかなか面白かったらしく、こういう時には必ずやるものだ、と思い込んでるほどだ。
士道「俺は構わないけど……」
と言って、士道が皆の方を向いた。
琴里「いいんじゃない?」
四糸乃「私も、やってみたい、です……」
よしのん『おお!四糸乃が積極的になったね〜』
佐天「私もやりたいです!」
上条「俺も別に構わないけど」
一方「好きにしろ……」
全員はオッケーらしい。
ただ、全員でやるとなると、人数が多すぎる。
士道「よし、人数が多いから2人1組になるか」
琴里「でも7人だから1人余るんじゃない?」
よしのん『じゃあ、四糸乃とよしのんは一緒にやるよー。それなら残り6人になって丁度いいんじゃない?』
琴里「そうね。じゃ、クジを作りましょう」
よしのんの提案に琴里が頷く。皆もそれに賛成のようだ。
数分して、琴里がクジを作ってきた。割り箸の先端に赤、青、黄色を2つずつ6本に塗り、同じ色になった者がペアということだ。
恨みっこなしということで四糸乃がクジを持つかかりになった。四糸乃は後ろを向き、割り箸を適当にバラバラにする。その後再び右手に割り箸を全部持ち、こちらに振り返りこちらに突き出すようにする。
琴里「さ、みんな選んでいいわよ。私は余ったのでいいから」
一方「残り物には福があるってか?まァ、別にいいけどよォ……」
十香「(シドーと一緒になれますように……)」
佐天「どれにしようかなぁ……」
士道「(とりあえず、上条と一緒にならなければそれでいい。あいつと一緒になると何やらかすか分かんねぇしな……)」
上条「(何だ?士道の睨むような目線は……何か俺悪いことでもしたか……?)」
と、様々な思いもあるが、皆は自分が引きたいと思った割り箸を決めたようだ。
皆はゆっくりと自分が選んだ割り箸を親指と人差し指で掴む。それを見た琴里も余っている割り箸を親指と人差し指で掴む。
琴里「みんな決めたようね。じゃあ四糸乃、『いっせーのーで』の合図で割り箸を掴んでるその右手を離してちょーだい」
四糸乃「は、はい……!分かり、ました……!」
琴里「みんなはそれと同時に割り箸をちゃんと引いてね」
『了解!』
皆が賛同したところで琴里が一拍置いた。そして言う。
琴里「じゃあ、みんな行くわよ。……いっせーのーで……ッ!!」
そして、琴里の掛け声で四糸乃が右手を離すと同時、割り箸を掴んでいた6つの手と腕が高く上げられた。
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よしのん『さ〜、ペアが決まったようだね〜。ここはよしのんが親切丁寧に紹介してあげるよ』
誰に向けてのセリフかは分からないが、よしのんは声をいつもより大きめに言った。
よしのんは時計回りにペアの組み合わせを言っていく。
よしのん『最初のペアは″これぞ、THE普通″……士道くんと涙子ちゃんペア!!』
佐天「ハハ……」
士道「ま、とりあえず上条と一緒のペアじゃなくて良かったよ。佐天さん、よろしくな」
佐天「こちらこそ。っていうかよしのんのネーミングセンスはスルーですか?」
士道「ま、気にしたら負けだ」
佐天「それは誰の名言なんですか……?」
よしのん『あの〜……そろそろ次の紹介行ってもいいかな〜……」
なかなか会話をやめない士道と佐天に耐えかねたよしのんが横から口を挟んだ。2人はゴメンなさい、と一言言って静かになった。
よしのん『続いてのペアは、天才とバカが合わさるとバカになる″……あーくん、十香ちゃんペア!』
一方「俺はバカになるつもりはねェからな……」
十香「む、バカとは何だバカとは!私はそこまでバカではないぞ?」
一方「どの口が言ってンだ。中間テストの時も俺がテスト前に教えてやったにも関わらず、ほとんどのテストが欠点ギリギリってのはどォいうことだァ?」
十香「そ、それは……」
一方「ちなみに、五河兄妹と上条と佐天は俺が教えたおかげでそれなりの点数は取ってきたンだかなァ….…」
十香「むう……ら、来週から始まる期末テストで私がバカじゃないことを証明してやるぞ!見てろよ、あーくん!」
一方「ほォ……それは楽しみだなァ……そんな自信満々なら俺が教えなくても大丈夫だな」
十香「い、いや……それは少し困るぞ、うん」
よしのん『あの〜……』
よしのんが説得しようと思ったが2人は聞く耳持たずだったので勝手に紹介することにした。
よしのん『最後のペアは、″幸運と不幸、どっちが勝るのか″……琴里ちゃんと当麻くんペア!』
上条「ひどい言われようだ」
琴里「でも、事実でしょ?」
上条「上条さんも好きで不幸になってるんじゃありませんことよ?」
琴里「でしょうね。好きでそうなってるんなら、士道に劣らない変態よ?」
上条「……それは嫌だな。って、士道は変態だったんでせうか?」
琴里「あら、知らなかったの?マザコンでシスコンでロリコンと言ったら士道のことだから」
士道「ちょっと待て。お前らさっきから俺の悪口言ってないか?」
上条「………士道、一度他人からやり直させてくれ……」
士道「いやいや、嘘だからな!そんな真面目に土下座なんかしなくても!っていうか、どうでもいいけどお前の土下座、綺麗だな!」
上条「土下座だけはスピード、綺麗さ、どれも負ける気はしないぜ!」
士道「グッジョブ、じゃねぇよ!お前は何を極めてんだよ!ってかお前は過去に何があったんだよ!?」
佐天「……」
士道「いやいや、佐天さん?結構リアルな顔で引かないで!結構傷つくから!そもそも琴里の言ったことは全部嘘だからな!?」
琴里「騙されちゃダメよ。この一瞬でも涙子や四糸乃を狙ってるかもしれないんだから……」
佐天「……」
士道「無言で俺から離れた!琴里!お前のせいで完全に誤解されたじゃねぇか!あと、上条もいつまで土下座してんだよ!?」
終わりそうにない会話。四糸乃とよしのんは完全に蚊帳の外された。
この状態が10分以上続いた、というのはまた別の話……
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ー
ジャンケンでルーレットを回す順番が決まった。
上条・琴里→四糸乃・よしのん→一方通行・十香→士道・佐天
と、なった。
琴里がルーレットと回す。
8のマスが出てとことこと駒を進める。
琴里「職業は……政治家ね」
人生ゲームにおいてある意味一番給料が高い職業だ。琴里は流石というべきだろう。
続いて四糸乃がタレント、一方通行が医者、佐天がプロ野球選手となった。
続いて上条チームよターン。上条がルーレットと回す。
5が出た。
珍しくまともな数字が出たと思えば、そのマスは
一回休み。
上条「不幸だ……」
次によしのんが駒を進める。マスには株券が発行できるというマス。よしのんは一枚株券を入手した。
十香と士道もルーレットを回し、中々高い数字が出て、あっさり上条チームを追い抜いた。
そして上条チームは一回休み。
特に何も起こらなかった3ターン目が終わり、4ターン目に入った。
4ターン目で四糸乃チーム以外は全員結婚マスに到着し、5ターン目に突入した。
上条がルーレットを回し、そのマスは一回休み。
よしのんが回し、給料日のマスに行った。
十香はなんともラッキーなことに3万円をもらうマスに止まった。
士道は5千円をもらうマスに止まり、6ターン目へと続いた。
しかし、何が起こるか分からないのが人生ゲームだ。
気づけば上条・琴里チームは約束手形が5枚あり、四糸乃・よしのんチームが先頭を走り、一方通行・十香チームは一方通行の戦略のせいかダントツでお金を所持しており、士道・佐天チームは職を失っていた。
琴里「ねぇ。どうやったらこんなに約束手形を持ってくるのかしら?」
上条「上条さんだってしたくてしてるんじゃありませんことよ!?」
よしのん『四糸乃!このまま一位になっちゃおうよ!』
四糸乃「う、うん……!がんばろう、よしのん……!」
十香「あーくん大丈夫なのか?私達一番遅いぞ?」
一方「心配すンな。手はある」
佐天「どうしましょうか。職がなくなりましたけど……」
士道「う〜ん……」
多種多様な反応を見せたがゲームも大詰めだ。そろそろ勝負が決まってもおかしくない。
琴里がルーレットを回し、8が出て四糸乃・よしのんチームを追い抜き、ゴールにかなり近づく。
四糸乃は不運なことに1が出てしまった。
一方通行は驚くことに10を出し、さらに給料日を2回通るという芸当?を見せた。
佐天は6を出したが、あまり恵まれないマスに止まってしまい、次のターンへと移った。
あと11マス。仮にここで上条が1を出しても次のターンで琴里の運で10を出して勝利することが出来るかもしれない。
上条がルーレットを回す。
出た目は10
琴里「嘘っ!?」
上条「やった……上条さんにもとうとう幸運が……!」
上条は喜んでいるが琴里は青ざめている。
もちろん上条が10出したことにも驚いているが、それ以上に驚くべきことがあった。
それは、
ボードゲームの代名詞。
ゴール直前の落とし穴。
『ふりだしに戻る』
上条「……不幸だあぁぁぁ!!」
士道「いや、これは不幸ってレベルじゃないだろ」
琴里「絶対何か取り憑いてるわね……」
佐天「上条さんって……幸福な時ってありましたっけ……」
十香「うむ……これは流石に私も同情するぞ、うん」
よしのん『いや〜……これは、なんというか……ねぇ?』
四糸乃「当麻さん……頑張って、ください……」
一方「いや、もう無理だろ」
という経路があり、上条・琴里チームの勝利はかなり遠ざかった。
その後、どのチームが勝ったかは……それは皆さんの想像に任せるとしよう。
後書き
人生ゲームには『ふりだしに戻る』なんてありませんけど、上条さんの使う人生ゲームにはあってもおかしくないかな?笑
次の話から凜袮編へと入っていきます。
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