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ドリトル先生と伊予のカワウソ

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第八幕その五

「イギリスというと」
「他にはないからね、イギリスって」
「食べものでも惨敗だよ」
「うん、日本はその点でも凄いよ」
「お料理は段違いだよ」
 そこまでいいというのです、とにかくです。
 イギリスのお料理を出すとなるとです、これは。
「ティーセットと朝食だね」
「うん、その二つだよ」
「これでいこう」
 こうお話してでした、とりあえずです。
 先生は長老さんにです、あらためて言いました。
「では道後温泉で」
「うむ、我等は日本の馳走の用意をしてな」
「場所はここがいいですね、温泉には入っても」
 ここでふとです、先生はお考えを変えて言いました。
「パーティーは」
「?どうしてじゃ?」
「はい、道後温泉は日本なので」
「わし等はイギリスのことも知るべきか」
「はい、そう思いまして」
 それでというのです。
「カワウソさん達のお屋敷にもです」
「行くべきか」
「そこでもです」
「お互いのことを知るべきか」
「これでどうでしょうか」
「ふむ、ではな」
 ここまで聞いてでした、長老さんはまた先生に決断を伝えました。
「それでいこう」
「はい、それでは」
「仲立ちは先生達にお任せする」
「それではあちらにまた」
「うむ、赴かれてじゃな」
「お話をしますので」
「お任せしようぞ、さて」
 ここまでお話してでした、長老さんは。
 ご自身のお茶を飲みながらです、こう言いました。
「お話が終わったところでじゃ」
「はい、お茶ですね」
「いやいや、お茶の後でじゃ」
 それからのこともお話するのでした。
「丁渡昼じゃ、だからのう」
「それでなのですか」
「昼食を用意しておいた」
 既にというのです。
「遠慮せず食べていって下され」
「何か悪いですね」
「いやいや、先生には今回お世話になっておる」
 だからだとです、長老さんは笑ってお話するのでした。
「だからこれ位はのう」
「左様ですか」
「それではじゃ」
 あらためて言う長老さんでした。
「お昼を召し上がって下さい」
「それでは」
 こうしてでした、先生は長老さんにお昼をご馳走になることになりました。そうして長老さんから頂いたものは。
 お蕎麦でした、今回のお蕎麦は天ぷらそばではなく。
 たぬきそばでした、長老さんはそのお蕎麦を前にして先生に言いました。
「我等は狸、じゃからな」
「たぬきそばですか」
「天ぷらそばもよいが」
 それでもというのです。
「やはり蕎麦はこれじゃ」
「たぬきそばですか」
「狐さん達がきつねうどんを好きなのと同じじゃ」
 それも全く、というのです。
「わし等はな」
「たぬきそばなのですね」
「うむ」
 まさにとです、長老さんはにこにことして先生に答えました。 
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