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ロックマンX~朱の戦士~

作者:setuna
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第八十一話 Magma Area

 
前書き
ハイマックスを撃退したルイン。
そしてエックスはマグマエリアに向かう。 

 
ヴォルファングをメンテナンスルームに送るとエイリアはヴォルファングに謝罪した。
ヴォルファングはエイリアを許し、それを聞いたエイリアが再び泣くという事態が発生した。
しばらくしてエックスがマグマエリアに向かおうとするところをエイリアが止める。

エイリア「エックス…気をつけて…」

エックス「ああ」

転送室に向かうエックスを心配そうに見つめるエイリアにアイリスは声をかける。

アイリス「心配…ですか?」

エイリア「ええ…今更ながらにあなたの気持ちが分かった気がするわ……」

アイリス「…大丈夫ですよ。必ずエックスは帰ってきます。だって帰りを待っていてくれる人がいるんですから」

エイリア「…………そうね」



































マグマエリアでは大型メカニロイドが暴れていた。
緑のコアを有するメカニロイドは、緑の光弾を侵入者目掛けて発射してくる。
エックスはレプリカファルコンアーマーの機動力を駆使しながら、攻撃をかわしつつ、コアに攻撃を加えなければならないのだが、エックスにとって1番辛いのは…。

エックス「何故、君達まで攻撃してくるんだ!!」

ナイトメアウィルスにより、イレギュラー化したレプリロイド達である。
彼らもまた、エックスの“敵”だった。
彼らは弱い。
しかし普通の善良なレプリロイドであった彼らを撃ち抜くことはエックスにとって耐え難い苦しみであった。

エックス「何でこんなことになるんだ…!!」

レプリロイド達をスピアの一撃で破壊していく。
彼らからは必ずナイトメアソウルが回収されるのであった。

エックス「(これが全ての元凶…まるでシグマウィルスのようだ。とりついたレプリロイドをイレギュラー化してしまう悪魔のウィルス…)」

シグマウィルスとナイトメアウィルスの違う点は、“イレギュラー”がパターン化された攻撃しかしないことだ。
シグマウィルスに感染したイレギュラーは狂暴化し、見境なく暴れだす。
2つのウィルスはその点が決定的に異なっていた。
何故ナイトメアウィルスのようなものを造ったのか?
怒りをもって制作者に問い質したい。



































そしてマグマを乗り越え、謎を解明する鍵を握る調査員の元へ辿り着いた。

「へへへっ、よくここまで来たな!今までの奴とは格が違う感じだな?」

エックス「ブレイズ・ヒートニックス。間違いないな?」

ヒートニックス「そう!俺様がヒートニックスよ。地上にはヤワな奴しかいねぇから退屈だったぜ」

炎を纏ったヒートニックスが自信たっぷりに言う。
エックスの全身から吹き荒れる闘気に呼応するかのようにヒートニックスの炎が勢いを増す。
ヒートニックスの燃え上がる炎を前にしても臆することなくエックスは声を低くしながら問う。

エックス「お前達は何を企んでいる?レプリロイドを傷つけ、狂わせて……何が目的なんだ?」

ヒートニックス「全く面倒だぜ。レプリロイドを洗脳しろって言われてもな。俺様にはこんな気のなげえ作戦は性に合わねえ」

レプリロイドの洗脳。
それが目的か。

エックス「そんなことのためにレプリロイドを犠牲にしたのか!!絶対にお前達を止める!!悪夢を終わらせてみせる!!スピアチャージショット!!」

スピアチャージショットがヒートニックスに向けて放たれた。
しかしヒートニックスはスピアチャージショットを炎で相殺すると、高笑いした。

ヒートニックス「気に入ったよあんた。いいぜ!命の奪り合いといこうか!!」

地下からマグマが競り上がる。
間髪入れずにヴァリアブルエアダッシュで足場を移すとマグマからヒートニックスが飛翔した。
炎を纏って突進するヒートニックスを回避するとソニックブームを喰らわせる。

ヒートニックス「そうこなくちゃな!!次はどうだ!?」

今度は上から炎の川が出現した。

エックス「くっ、こんなことまで出来るのか!?」

このままではレプリカファルコンアーマーの機動力をもってしても回避は不可能。
だが1つだけ手段がある。

エックス「ブレードアーマーッ!!」

エックスは即座にレプリカファルコンアーマーからブレードアーマーに換装する。
ブレードアーマーはファルコンアーマーを元に近接戦闘に特化させたアーマー。
ヴァリアブルエアダッシュとホバーが使えるレプリカファルコンアーマーに比べれば総合的な機動力は下だ。
しかし。
エックスは凄まじい勢いで離脱した。

ヒートニックス「何!?」

あまりのスピードにヒートニックスは目を見開く。
ブレードアーマーの能力の1つ“マッハダッシュ”。
ブレードアーマーはレプリカファルコンアーマーに総合的な機動力は劣るが瞬間的な加速力はレプリカファルコンアーマーを大きく上回るのだ。
着地すると再びマッハダッシュ。

エックス「ディバートブレード!!」

音速の速さでヒートニックスに肉薄すると強化されたバスターから発現させたXブレードによる強化されたチャージブレードを喰らわせる。

エックス「俺はナイトメアを…お前達を止めるまでは決して諦めたりはしない!!」

ディバートブレードを受け、酷い傷を受けたヒートニックスは笑っていた。

ヒートニックス「最高だぜあんた!!だが、この攻撃に耐えられるかな!!?」

黄金の炎を全身に纏いながらエックスに向けて高速で突進してきた。

エックス「う…わああああ!!」

ゴッドバード。
神話に語られるフェニックスよろしく、熱い炎だった。
体当たりをまともに受けたエックスは壁に押し付けられた体勢で必死に足掻く。
焼ける痛みと背中に感じる圧迫。
しかし友や仲間達、そしてナイトメアで狂わされたレプリロイド達のためにという思いがブレードアーマーからレプリカファルコンアーマーに換装させた。

エックス「スピアショットウェーブッ!!!!」

広範囲に渡り、無数の貫通弾を発生させるスピアショットウェーブを炸裂させ、ヒートニックスを弾き飛ばす。

ヒートニックス「俺様の最強の技を!!?」

スピアショットウェーブの貫通弾は炎に相殺されてしまったが、エックスはレプリカファルコンアーマーからブレードアーマーに換装する。
ブレードを天に掲げ、そのまま真っ直ぐに振り下ろす。
圧縮エネルギーの解放により、刀身から放たれる2発の衝撃波。
かつてエックスが纏っていたアルティメットアーマーのみ使用可能だったノヴァストライクと同等かそれ以上の威力を誇ったバスターブレードによる絶技。

エックス「ギガブレードーーーーーッ!!!!!!」

先程のスピアショットウェーブに続くギガブレードの連携。
アーマーを連続で換装することで可能となるギガアタックの連続使用。
しかしそれはエックスの全身に多大な負荷を掛けるが、その代償に見合うだけの破壊力はある。
強烈な衝撃波を受けたヒートニックスは倒れた。
彼の命の炎はまだ続いている。
エックスはバスターブレードを構えながらヒートニックスの様子を伺う。

ヒートニックス「最高だぜ…俺様を倒せる奴がいたとはなあ…」

満足感に満ちたような声色で呟くとヒートニックスは激しい炎を上げて大破した。
最後の紅が空を焼き尽くす光景を眺めながらエックスは思う。

エックス「(ヒートニックス…戦うことでしか己を証明出来ない…そんな奴だった…。)」

自分はどうだろうか?
違うと否定したところで戦闘型として造られた自分は…。

エックス「(いや違う。ライト博士は戦いのためだけに俺を造ったんじゃない。平和を守るためにこの世界に生を受けたんだ。俺は兄さん達の意志を継いで、戦い続ける。)」

幻を見たのはその時である。
炎の向こうに見慣れた真紅のハンターの姿が見えた。

エックス「ゼロ…!?いや、お前は…ゼロの偽者…ゼロナイトメアか!!」

ゼロナイトメア「一緒にイレギュラーを倒そう…昔のように」

エックス「そうだな…まずはお前からだ偽者!!」

ゼロナイトメア「とうとうお前もイレギュラーか、昔から怪しいと思っていたがな。お望み通り処分してくれるわ!!」

開戦と同時にバスターを放つ。
オリジナルのゼロが失ってしまったZバスターのダブルチャージショットがエックスに迫る。

エックス「ドリルファング!!」

バスターブレードをダッシュしながら敵を刔るように突き出すドリルファングでダブルチャージショットを霧散させる。

ゼロナイトメア「電刃零!!」

エックス「スラッシュショット!!」

両者が勢いよくブレードとセイバーを振るうと同時に衝撃波が放たれ、ぶつかり合う。
放電現象が発生するが、威力は互角だったらしく相殺された。

エックス「うおおおお!!」

ゼロナイトメア「はああああ!!」

マッハダッシュで肉薄し、バスターブレードをゼロナイトメアに、対するゼロナイトメアもセイバーを振るう。
どちらも重すぎる一撃。
片手同士の迫り合いだが、相手に分があるのは明白だ。
エックスはバスターに左手を添えると足に力を入れる。

ゼロナイトメア「その程度か!!」

強引にエックスをセイバーで弾き飛ばすと、拳に灰色のエネルギーを収束させ、地面に叩きつけた。

ゼロナイトメア「真滅閃光!!」

かつてゼロが使用した滅閃光の改良型。
放たれた一撃はエックスを更に吹き飛ばし、周囲の地面を陥没させる。

エックス「くっ!!ディバートチャージショット!!」

ダメージは喰らうが、飛ばされた勢いを利用することで、敵から距離を取るとブレードアーマーのチャージショットのディバートチャージショットを放つ。
フォースアーマーとアルティメットアーマーのプラズマチャージショットと同じように、プラズマによる追加ダメージを与えられるようになるが、近接戦闘に特化しているアーマーのために、ディバートチャージショットの性能はフォースアーマーのレプリカのプラズマチャージショットにも劣る。

ゼロナイトメア「温いな…ダブルチャージショット!!」

ゼロナイトメアのダブルチャージショット。
1発目はディバートチャージショットで何とか相殺出来たが2発目はバスターブレードで切り払う。
更に電刃零が繰り出され、再びゼロナイトメアのフルチャージショットが放たれた。
単発で放たれたフルチャージショットはエックスに迫るのと同時に分裂を繰り返し、単発から弾膜へとその規模を変える。
無数の灰色の光弾は瞬く間に視界を覆い尽くし、掻い潜る隙間は伺えない。

エックス「ぐっ!!」

即座にブレードアーマーからレプリカファルコンアーマーに換装し、ソニックブームで弾幕に穴を空ける。
そしてブレードアーマーに再換装し、マッハダッシュでゼロナイトメアに肉薄する。

エックス「でやああああ!!」

ゼロナイトメア「チッ!!」

バスターブレードを振るうエックスに対し、ゼロナイトメアはセイバーで受け止める。

ゼロナイトメア「なるほどここまでとはな…あの爺の言っていたように俺の宿敵というのも満更出鱈目ではなさそうだな!!」

零距離で放たれるフルチャージショット。
身体を捻ってかわすが、ゼロナイトメアは攻撃の予備動作を終える。
その手に掲げられたセイバーが、天井に届くほど伸びている。
膨大なエネルギーを注ぎ込むことで、セイバーの出力を限界まで引き出しているのだ。
かつてゼロがシグマに使おうとし、不発に終わった幻夢零。
セイバーを力任せに振り下ろす。

ゼロナイトメア「一刀両断!!幻夢零・改ッ!!!!」

幻夢零は絶対防御不可能の技。
回避は明らかに間に合わない。
放たれた斬撃はエックスもろとも、辺り一帯を容赦なく吹き飛ばす。
立ち込める土煙の先には、無残に砕け散った敵の姿が横たわっているはずだ。
…これがオリジナルの技ならばだ。

ゼロナイトメア「ふん、他愛のない」

勝利を確信したゼロナイトメアが嘲笑う。

エックス「この程度か?」

ゼロナイトメア「何!?」

エックスは立っていた。
無傷とはいかなくとも、両の足でしっかりと、力強く。

エックス「お前はゼロじゃない。彼の強さは俺が身を持って知っている。ゼロは…」

ヒートニックスとの戦いの時と同じようにブレードを天に掲げ、そのまま勢いよくに振り下ろす。
バスターブレードのエネルギーを圧縮し、解放する。

エックス「本物のゼロはもっと強かった!!!!」

再び放たれたギガブレード。
先程の幻夢零・改により、ギガアタック使用のエネルギーが溜まったのだ。

ゼロナイトメア「うわあああああああっ!!!!」

ブレードアーマーの最大の攻撃を受けたゼロナイトメアは断末魔の叫び声を上げると霧散した。
ゼロナイトメアの消失に伴い、立ち込めていた邪気も消えた。

エックス「……任務完了だ」

マグマエリアを攻略し、エックスはヒートニックスの残骸からナイトメアソウルを回収するとハンターベースに帰投するのだった。 
 

 
後書き
ヒートニックスとゼロナイトメアの連戦。 
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