銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません
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外伝 歴史の転換点
前書き
お待たせしました。
済みませんが、ラインハルトの運命は次回と言う事で、今回はやってしまった感じの話です。
けど書きたかった。
外伝として話数から削除しました。
帝国暦486年1月
■銀河帝国 帝都オーディン
この所、銀河帝国各地で即売会なる会合が度々行われ、帝都オーディンでは年2回の割合でコミックマーケットなる貴族平民を問わない集いが行われていた。当初、内務省警察局及び社会秩序維持局は共和主義者や反帝政派の集まりではないかと内偵したが、実際は全く関係の無いもので有った。
なんとその集いは、同人誌や同人ゲームと言う手作りの本、ゲーム、グッズなどを売り買いする集いだったのである。何故その程度の事が此処まで大それた集いになるかと言えば、その原因はここ数年燎原の火のごとく乱立し始めたショタ、ペド、ロリ、歎美など目を覆いたくなるような薄い本や、エロゲーなるパソコンゲームが乱立してきた事により起こった現象だったのである。
この様な退廃的な風俗はルドルフ大帝が厳禁して以来、帝国ではとんとお目にかかれなくなってきていた居たのであり、風紀を取り締まり臣民を弾圧する事悪名高い社会秩序維持局としては、この様な退廃的文化を蔓延させる事は反帝国活動に繋がりかねないと邪推して当初は取り締まりを考えたが、肝心の社会秩序維持局自体が一斉検挙前の数年前の内乱で廃止されてしまい、その影響で取り締まりが緩くなった事。更に決定的だったのは事も有ろうに皇女テレーゼが即売会を主催者として開催するという事件に因り、皇帝フリードリヒ4世もなし崩し的に許可をした為に公式的な祭典と成っていたからである。
つまりは皇女自らがコミケなる即売会を開催したことで、帝国全土に萌え、腐女子、オタクなどと称するものが貴族を中心に発生していた。何と言ってもただでさえ暇を持て余していた上に、元々ルドルフ大帝以来の質実剛健な社会に嫌気がさしていた者達の中には、フェザーンやフェザーン経由で同盟から帝国では発禁の物を手に入れる者達も居る始末で有ったから、この様な退廃的な新文化を貴族であるが故、そして素行不良の子弟達で有ったために率先的に受け入れる事に成ったのである。
更にGIO48を切っ掛けに、金と暇を持て余した門閥貴族による御当地アイドルの乱立などで、帝国は空前の萌え文化が乱立し、オーディンへにある電気街は大発展し、メイド喫茶やコスプレなどが乱立していたが、テレーゼ皇女の宣言により参加するのは貴族の子弟だけではなく下級貴族や平民すら参加可能であった。中には自分の所領に同じ様な萌える街を作る猛者まで出る始末であり、それに因り家族の思わぬ性癖に気づかされて辟易とする者達も続出していたのである。
これらのことを鑑み、内務省解体と社会秩序維持局の廃止は、アイドル文化やオタク文化を発展させるために、テレーゼ殿下が率先して決めたのではと、文化の担い手達からは考えられ、テレーゼ殿下はアイドル界、オタク界から神の如く信奉される事に成った。
また帝国経済の発展にもアイドル文化、オタク文化は貢献した。当初は財務省も学祭で学生の行う屋台程度と即売会の事を気にもしていなかったが、その後実際に調べた即売会の余りにも巨大な売り上げに、財務尚書カストロプ公爵は新たな汚職利権だと考え、私腹を肥やそうと画策したのであるが、テレーゼが密かに看破していた事と、カストロプ公爵自身が監視対象で有った為に目論見は看破されており。
皇帝から同人誌などに関する、財務省、内務省などの介入禁止と、全ての指導はローエングラム大公テレーゼが行うと言うお墨付きが発せられたために、全く手が出せなくなってしまい、じたんだ踏んで悔しがったのである。
(その為、後世の歴史学者の中には、クロプシュトック侯以来の一連の内乱はテレーゼ皇女が自らの趣味のために、敵対者である内務省、財務省、社会秩序維持局などを潰すために仕込んだという荒唐無稽な説を唱える者も出る事になったが、多くの歴史学者は偶然の一致で有ると切り捨てている。)
そして、家族のせいで酷い目にあっている人物が此処にも居た。
春麗らかなオーディンの大気を裂くように軍事宇宙港へ滑り込む一隻の戦艦があった。大貴族の私兵艦隊の旗艦なのか、その艦はヴィルフェルミナ級で有ったが、戦艦の側面には何やら大きな物を掻き消したかのように粗っぽく再塗装がされていた。その中から一人の荒れている二十代の女性がオーディンへ降り立った。
「あーーーーーーーーーーーー!!!あの阿呆兄貴め!!イエス、ロリーター、ゴータッチってなんだよ!!!それに金髪X赤毛本とか、ショタとかなんなんだよ!!!挙げ句に妹萌だってんだ!!!リズタンハアハアってなんだよー!!!」
独り言とは思えない程の大声で叫びながら向かうのはノイエ・サンスーシでもオーディンに有る自邸でもなく、ヴェストパーレ男爵邸であった。
テレーゼとGIO480がイゼルローンヘ行っている関係でV480のプロデュースをしながらGIO480の練習生の面倒を見ているヴェストパーレ男爵夫人はこの所忙しくて、ノイエ・サンスーシにも行かずにいたために、アンネローゼとのお茶会も全くと言って良いほど行われなくなっていた。
その為に、テレーゼの仕込んでいるグリューネワルト伯爵夫人は悪女であるという噂も殆ど入ってこない状態であった。元々貴族社会でも変わり者の評判の高い男爵夫人であるが故に、最近忙しくし過ぎてグリューネワルト伯爵夫人と疎遠に成ったと見える男爵夫人に態々噂を教える者もおらず、テレーゼ自身も噂の届かぬように指示していた事で、完全に渦中から離れた状態に有ったのである。しかも、アンネローゼは愚痴を言うタイプではない為に、TV電話で話してもそれを気づかれない状態で有った。
そんなV480のレッスンで忙しい、男爵夫人の元へ有る大貴族の娘が訪ねてきたのである。
「あら、エリザベート殿じゃない、久しぶりね。今日はどういう風の吹き回しかしら?」
男爵夫人は、2年ほど所領へ帰って以来オーディンへ来ていなかった彼女が訪ねてきたことに驚く。
「どうもこうも無いんだよな。うちの馬鹿兄貴に熟々愛想が尽きて家出してきた」
そう言う、エリザベートの顔には非常に疲れた様な影が見える。
「又どうして?」
男爵夫人の質問にエリザベートは口をへの字に曲げながら答える。
「どうしてもじゃ無く、あの阿呆が事も有ろうに俺の寝室にまで侵入して来やがって、“リズタンハアハア妹萌ー”って寝込みを襲って来やがったんだぜ!」
「あらら、それはお気の毒に、で貞操は守られたのかしら?」
「有ったりめーだ、キックで吹っ飛ばした上に、連続パンチでボッコボッコにした」
非常に落ち着いて話を聞く男爵夫人と激高しながら叫ぶエリザベートの差が象徴的である。
「それなら良かったんじゃ?」
「それが、よくねーんだわ、ボコボコにしたらしたで“ツンデレ乙”とか“女王様もっともっと”とか叫びやがって気色悪いったらありゃしない」
「それは引くわね」
余りのキモさに男爵夫人も引く。
「だろう、その上、殿下のご指示で即売会では貴族だろうが平民だろうが平等だから貴族の特権笠に着て無理矢理にでも人気サークルの薄い本を手に入れようとしても並ばなければ駄目だからって、家臣を使って1ヶ月前から会場で並ばせて全種類買うとかしてるんだぜ」
「あらあら、それは家臣の方が気の毒ね」
「それも帝国中の即売会へ家臣送っているから毎日のように宅配で薄い本やゲームが送られて来るんだ。その上、GIO480のディスクを握手券欲しさに10万枚買ったとか、グッズを買い占めたとか。阿呆としかいえねー!!」
「それはそれは」
「その上に奴の部屋は所狭しと薄い本と、エロゲーがうずたかく詰んである上に、最近じゃ親父が居ないのを良いことに、屋敷中にエロフィギュアが飾ってあって、壁という壁にはアニメやマンガのポスターだらけなんだぜ、一緒に住んでる身にもなってくれっていうんだい」
「幾ら何でもそれは引くわね」
「だろう、挙げ句の果てに、私兵艦隊の各艦の側面に萌え絵を描き込みやがって、全く消すのにどれだけかかったかわからねーっていうの!その上、戦術コンピュータの声や画像をアニメのキャラの物にもしてんだから、阿呆としかいえん、あんな奴をお兄様って言っていたかと思うと虫酸が走るわ!」
「うーん、マクシミリアン殿は既に病気なのね」
「ああ、病気も病気だよ、その上、あの馬鹿“イエス・ロリータ・ゴー・タッチ”って言って領内から年端もいかない幼女を召し上げて、裸にして首輪して鎖で繋いで弄んでいるんだぜ。あんな阿呆と血が繋がっていると思うとぞっとするわ!」
「あららら、それってもう取り返しのつかない人間じゃ?」
「そうなんだよー、うちは親父は守銭奴で兄貴は性犯罪者と来ているから、もう家名捨てたいわ」
疲れた表情でガックリと肩を落とすエリザベートには哀愁が漂っていた。
そんな中、再度男爵夫人邸に来客が現れた。
「「男爵夫人、こんにちは」」
可愛い声で2人の少女が挨拶してくる。
「あら、マリーにカリン、いらっしゃい」
訪ねてきたのはマルガレータ・フォン・ヘルクスハイマーとカーテローゼ・フォン・クロイツェルであった。彼女たちはテレーゼのイゼルローン遠足には一緒に行かずに、ベーデミュンデ侯爵夫人の元でお留守番状態だったのであるが、イゼルローン要塞への叛乱軍襲来で夫人が大騒ぎして皇帝陛下が宥めている時間以外は、テレーゼの代わりとして可愛がられているために、辟易して時たまこうして逃げて来ているのである。
「御客様でしたか、それならば今日は失礼させて頂きます」
マルガレータがとても13歳とは思えない程の確りとした受け答えをするのを見て、エリザベートは佇まいを正して挨拶する。
「これは失礼致しました。私はエリザベート・フォン・カストロプ公爵令嬢と申します」
「これはご丁寧に、私はマルガレータ・フォン・ヘルクスハイマー伯爵令嬢と申します」
マルガレータが挨拶するのを見て慌ててカリンが挨拶する。
「私はカーテローゼ・フォン・クロイツェル侯爵夫人と申します」
カリンの場合は年相応に恥ずかしそうな挨拶であった。
この後、何が話されたかは関係者が口を噤んでいるために不明であるが、これから1年後にGIO480に御姉様と言われれ親しまれる門閥貴族出身の精悍な男役が誕生する事に成った事で、少しだけ歴史が変わる事に成った。
ヴェストパーレ男爵夫人とエリザベート・フォン・カストロプ公爵令嬢との間に接点があるとは大概の者は驚くのであるが、これはテレーゼが暗躍した頃に遡る。
あの頃のテレーゼは原作キャラ及び二次創作キャラを探してはグリンメルスハウゼンに頼んで看視や接触をしていたのであるが、その中にエリザベート・フォン・カストロプ公爵令嬢の姿も有ったのである。
彼女が貴族子女としては変わり者で孤立していた事を知った為に、同じ変わり者の自分を含めて親しくなるように色々とパーテーや軍事教練などに誘う事をしてテレーゼ自身だけでなく、男爵夫人にも友誼を持つようにしていたからであった。
後書き
酷い話でございます。
エリザベート・フォン・カストロプ公爵令嬢は道原判マンガのキャラです。
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