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美しき異形達

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第二十話 錬金術その八

「あそこにね」
「あそこなあ」
「ゲームも沢山あるし」
「カラオケだってね」
「ダムもセガもハイパージョイもあるしね」
 つまり結構な機種が揃っているというのだ。
「声の変換とかして」
「声変えて歌うと面白いよな」
「カラオケの楽しみ方の一つよね」
「男の声にしたりしてな」
 そうしてとだ、薊は笑って裕香に返した。
「面白いよな」
「そうでしょ、だからね」
「あそこな」
「どうかしら」
「あそこ機種も揃っててお店の中も綺麗でサービスもいいんだよな」
「いいお店よね」
「しかもな」
 それに加えてだとだ、薊は笑顔のまま裕香にこうも言った。
「あそこ店員さんいるだろ」
「私達と同じ高校生の」
「そうそう、あのちっちゃい」
「あの人がどうかしたの?」
「いや、お店にベイスターズのグッズ一杯あってさ」
 横浜DENAベイスターズのことである、本拠地は横浜スタジアムだ。中華街のすぐ傍にある球場である。
「カウンターにはスコアボードがあってさ」
「横浜の実況もかけててね」
「独特だよな」
「あの人横浜ファンだからね」
「それでああしてるんだよな」
「それがいいのね」
「あたし横須賀だからさ」
 育ったのが、というのだ。
「横須賀ってベイスターズの二軍の寮と練習場があるんだよ」
「前言ってたよね、そのこと」
「海自さんの基地のすぐ隣にあってさ」
 横須賀の基地だ、海上自衛隊最大の基地である。
「横須賀中央駅の前の商店街にもベイスターズの選手結構来るんだよ」
「だからなのね」
「横須賀はベイスターズファン多いんだよ」
「そうなのね」
「そう、だからな」
 それでだというのだ。
「あたしも横浜ファンだし」
「あのお店いいのね」
「ああ、馴染むよ」
 横浜ファンとして、というのだ。
「あの人も生まれあっちなんだよな」
「ええと、元々は横須賀か湘南生まれで」
「やっぱりあっちか」
「それでこっちに引っ越してきて」
「ああしてビル持ってお店やってるんだな」
「あのビル全部あの人のお家のものらしいわ」
「へえ、そりゃ凄いな」
 ビル一つを使ってそこで幾つもの店を経営しているからだ、薊はそれで言ったのである。
「結構お金持ちなんだな」
「そうみたいね」
「それであのお店もか」
「結構お客さん多いから」
「儲かってるんだな」
「そうだと思うわ」
「そりゃいいことだ、それじゃあな」
 その儲かってる店に行って、と言う薊だった。
「もっと儲けさせてもらうか」
「二人で行って」
「今日はカラオケだな」
「そうね、何歌うの?」
「AKBとかモーニング娘。とか」
「モーニング娘。はまたグループ名変わったのよね」
 毎年変わる様になっている、中々面白いネーミングである。
「そうよね」
「だよな、後はももくろとか」
「派手に踊るの好き?薊ちゃん」
「歌って踊るって好きなんだよ」
 この辺り実に薊らしいと言えた、自分でも笑ってそうだと言う。 
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