美しき異形達
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第二十話 錬金術その二
「実際に石でも何でも金に変えられて」
「大金持ちになれるのね」
「金以外にも出来るからな」
「じゃあダイアでも何でも」
「そうなんだよ、変えられるからな」
「凄いわね、賢者の石って」
「本当にな、それにな」
薊は裕香にさらに話した。
「ホムンクルスだってな」
「それもなのね」
「そうだよ、腎臓生命体だって作ることが出来るんだよ」
「賢者の石で?」
「いや、そっちは別だけれどさ」
賢者の石は使わないというのだ、生命を生み出すことについては。
「それでもな」
「命を生み出すことも出来るの」
「凄いぜ、錬金術は」
「先輩がお話してくれた通りで」
「科学に近いな、それもかなり未来のな」
「ううん、それじゃあ」
「あくまで実際にあったらだけれどな」
この前提がある、しかしそれでもだというのだ。
「あれさえあったらな」
「怪人も作られるのね」
「科学よりも楽にな」
「そうなのね」
「実際にあったらだよ」
薊はこの前置きを忘れなかった。
しかしだ、それでもだと裕香に話すのだった。
「けれど本当に錬金術なら」
「金や命だってね」
「しかもな」
「しかも?」
「新しく生み出す命にな」
薊は怪人のことを念頭にして話した。
「そういった人間と他の生きものを入れることだってな」
「錬金術なら」
「出来るだろうしな」
「じゃあ余計に」
「錬金術だと怪人も作られるしな」
それでだというのだ。
「あたし達の相手は錬金術師の可能性は高いな」
「そうなるのね」
「錬金術なあ」
ここでだ、薊は考える顔になって裕香にこうも言った。
「有り得ないとか頭から言うとそれで終わりだよ」
「それでなのね」
「ああ、思考停止だよ」
それでだというのだ。
「空想とか否定出来ないな」
「そうよね、確かに」
「本当にな」
「錬金術ね、ひょっとしたら」
「ひょっとしたら?」
「いや、今ふと思ったんだけれどね」
ここでだ、裕香は薊にこう言ったのである。
「天極先輩のお祖父さんだけれど」
「あの天才科学者の?」
「そう、あの人はね」
どうかというのだ。
「ひょっとしたらだけれど」
「あの人も錬金術をしてたかも知れないっていうのね」
「それはないかしら」
「どうだろうな」
「あれっ、ここで違うだろって言わないの」
「まずないとは思うけれどな」
それでもだというのだ。
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