『曹徳の奮闘記』改訂版
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第三十七話
―――『四斤山砲』―――
幕末から明治初期までに使われた旧日本陸軍の主力野砲である。
午砲としても使われていたらしい。
最大射程距離は、約二千六百メートルで、四斤とは砲弾の重さが四キロからきているらしい。
この四斤山砲の設計図は、あの曹家の屋敷の倉庫の中にあったあの書簡に描かれていた。
書簡の人物は四斤山砲の砲兵をしていたみたいだ。だから描かれていた。
まぁまだ他にもあったがそれは後程にな。
「………鼠は上手く出来たか?」
夜、見張りで俺が警戒していると、クロエが聞いてきた。
「まぁ、上手く出来ているだろう。馬騰は漢の忠臣らしいからな。袁紹に何か疑問があったら味方してくれるか、攻撃はしないと思う……多分な」
「……多分じゃ駄目だろう……」
クロエが溜め息を吐いた。
「まぁ、仕掛けはしといた。さぁてこれから連合軍はどう出るかだな」
「……強行突撃か?」
「今のところの可能性はそれが高いな。大将は袁紹だしな」
まぁ、馬鹿だしな。
「砲弾はあるのか?」
「さっきの戦闘では六発を使用した。元々は二百発あるからまだ充分戦える」
真桜に言って量産出来て良かったよほんまに。
「そうか。なら大丈夫だろうな」
クロエは少し安心したように言う。
「交代しよう。桜花を抑えてきてくれないか?」
「……出撃出来なかったからまた酒飲んでるんか………」
全く……。
「それじゃぁ悪いけど頼むわ」
「あぁ」
俺はクロエと見張りを交代してシ水関に戻った。
―――シ水関―――
「あ、長門」
シ水関に戻ると、焔耶がフラフラしながら歩いていた。
「大丈夫か焔耶?」
「あぁ、桜花の絡み酒はきついぞ。雪風も倒れたし、星と霞は何処かに逃げるし……」
「分かった。後は俺に任しとけ。ゆっくり休んどけ」
「あぁ済まない」
焔耶はフラフラしながら自分の部屋に戻っていく。
俺も行くか。
―――桜花の部屋―――
「うにゅぅぅぅ~~~」
「………かなり酔ってるな」
テーブルの上には何本もの酒瓶があった。
「ほら飲み過ぎだぞ桜花」
「んぁ………長門だぁ♪」
桜花はニヘェとニヤケながら俺に抱きついてきた。
「こら桜花(お、桜花のプニプニが……プニプニがッ!!)」
桜花め……わざとか?
「なぁ長門ぉ。何れ私を戦わせてくりぇないんらぁ?」
呂律がヤバイぞ桜花。
「………あのさ桜花。何でシ水関に立て込もってるか分かるか?」
「ぅ~、董卓様と袁術様が無実を証明すりゅために、張譲を捕縛する時間稼ぎらろ?」
「分かっているなら我慢しろよ。俺と同じ前線にいるんだから」
「………分かってりゅ。分かってりゅけど、わらしは武官らから戦場でしか長門に良いところを見せれらいんだ」
桜花は俺の胸に顔を埋めて、フルフルと左右に頭を振る。
………桜花マジパネェ………。
「戦えないならわらしは必要ないのか?」
「………落ち着け桜花。大分混乱してるぞ」
「でもッ!!」
あぁもう。
「桜花ッ!!」
俺は桜花を抱き締めた。
「な、長門………」
「大丈夫だ、桜花は必要だ。だからんな事を言うな」
「………うん」
桜花は力強く頷いた。
翌朝、桜花はかなり嬉しそうに連合軍の見張りをしていたのであった。
「あぁ長門。良い時に来てくれた」
「どうしたクロエ?」
前線陣地に行くとクロエは慌てていた。
「連合軍が夜中に大分落とし穴を塞いだみたいなんだ」
「何ぃ?」
「気付かなかったのか?」
「気付いてはいたが、昨日は闇夜だったから矢を射っても中々命中しなかったんだ」
ちぃ、予想外の事だな。
「連合軍は?」
「此処から約五里のところにいるみたいだ」
クロエはそう答えた。
「五里か……」
「こちらから攻めこむか?」
「それをしたら向こうの思うつぼだ」
北郷はもうこっちに大砲がある事を気づいただろうけど、何で落とし穴―――堀を埋めるだけにしているんだ?
「長門、あえて砲撃してみるのはどうだ?」
クロエがそう言ってきた………ってッ!?
「そういう事かッ!!」
「な、長門?」
クロエが不審に俺を見る。
「今すぐ真桜を呼んでくれッ!!緊急事態だッ!!」
俺はそう叫んだ。
後書き
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